詩人:どるとる | [投票][編集] |
ただ、小豆のとぐ音 中空を彷徨い
音はすれども姿は見えず しょきしょきなる音 聞こえたり
誰ぞ名付けたか
怪しきその出来事
小豆とぎと伝わらん。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
いつかここに小さな家を建てる
そして誰かひとりを死ぬまで愛する
犬や猫なんか
買ったりもする
ありとあらゆる概念から解き放たれて
ただ真っ白でただ自由な心で風の中に背筋をのばして立つ
いつかここに小さな墓を立てる
そして僕ら空の上天国に住居をかまえる
時々、神様に楯突いたりもする
ありとあらゆる当たり前の中に眠る幸せ
大事なこと、見つめるべきものは 得てして すぐ側にある
ほら、例えば 君が見上げるあの 広がる空の青さにも 希望や夢がたしかに見えるだろ?
ただありふれた人生をまっすぐに生きていきたい
生まれて 死んでいくまでの時間を 人生と呼ぶけれど 特別なものなんて何もなくて構わないから
ただ、大好きな人と笑って たまには泣いて 喧嘩もして
日々をおもしろおかしく暮らしていけたならそれが幸せだって思うよ
「当たり前でも何不自由ない毎日」 それにかなうものなんてそうはないから
明日も今日と変わらずにあなたと 二人でありふれた人生の1ページを きざもう
何ひとつどれひとつ二度とかえらない
今日という一度かぎりの時間を少しずつ少しずつ失いながらも 生きる喜びに酔いしれながら
いつか歳を重ね老いに気づき歩いてきた道を振り返る時
生きてきて良かったなあと
生まれてきて良かったなあと
思えたならばそれは素晴らしい人生だよ
どれだけありふれた人生でも きっとその時ばかりは まちがいなく 幸せに気づけるから。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
空を見上げれば そこに雲があるように
僕らの存在なんて そんなもんでしかない
そんなものさ
簡単なことなのにそれを難しく考えるから
いつもうまくいかずに空回り 小さな小石にも躓く始末
見方を変えれば 道端に咲く花に気づく
僕らの頭なんて大してよくできちゃいない 不完全もいいところ
だからこそ、だからこそ 感情と心で誰かの痛みや涙に 関わろうと 少しおせっかいなくらい優しくなれる
大事なものは きっとそんな気持ちなんだ
僕らはいつのまにか忘れてる 何かを…
いつ雨が降ってもいいように 置き傘を置いておくように
用心の上に用心を重ねて 悲しいこともわかっていても立ち向かう そしてわかっていた涙をのむ今日
てるてる坊主は 役に立たない 悲しみ受け流す傘もない
相変わらず 嘘はお上手で お世辞もプロ並みときてる
そんな大人に囲まれて 僕はそれでも自分を見失わない
例えば 誰かと相合い傘して 帰るような
そんな心のゆとり
少しはあるつもりさ
だから一緒に帰らないか? 人ひとりぶんくらいは 余裕があるんだ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
おまえさん、今宵もあの娘(こ)とお出かけかゑ
おめゑをこんなに好いてるのに おめゑはあの娘に惚れている
おかげで私は待ちくたびれ
こんなに首が伸びて
妖と化してしもうた
そんな私の名は 長い首持つ ろくろ首
美人と近づきゃ 腰抜かす どこまでも首伸びていき 好いた旦那を追いかけて 顔ペロペロと舐めまわし
心の臓止まるまで驚かす 江戸の昔に伝わらん。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
古びた草履や古びた茶碗 人間共に捨てられて 恨みつらみで蘇る 物から生まれし妖よ
江戸の都を 練り歩き 女子供もお構いなしに 長い舌で 顔舐めて 楽しそうに 驚かす
化けも化けたり 古草履
舞いに舞いたり つくも神
魂ぞ尽き果てるまでうらみます この世の未練 妖となりて人ぞ驚かす。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
鳥の羽根やら動物の毛より 生まれし 梟とも並びし森の古株
体躯は 毛に覆われて 獣ぞ操り 人ぞ脅かす
博識の森の番人
けうけげん
森ぞ汚す者 問答無用で 懲らしめる
今日もどこかで
獣と共に 森ぞ守る愛ある妖。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
幻ぞ 目には見えねど音、聞こえたり
人の痛みや涙 踏みつけ 欲に急ぐ 哀れな者共
影絵のように 鮮明でいて 実態のないその罪深さに 溺れ 果てては妖のごとく 笑いまする
障子に映りし 影の向こう 正体見たりと襖開け放てど
そこにはただ夜の闇のみ 果てもなく広がらん
否、
逆さまぞ 目に見えるものほど 奇怪なり。