詩人:どるとる | [投票][編集] |
何気ない誰かの言葉ひとつで 思いがけず救われる日もある
ありがとう ありきたりな言葉しか返せないけど
あなたはきまって笑ってくれるよね
そしてそれを当たり前と言うんだ
言葉はきっとそれだけじゃ届かない
言葉の中に心を込めてはじめて
言葉になるんだな
何気なく交わす言葉の中に そっと心を込めて
僕も誰かのことを言葉で救いたい助けたいな
そんなふうに 思ったらいつの間にか
僕のただの言葉は少しだけ鈍く光った。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
鏡に映る僕の姿 それは本当の僕の姿
だけれど心までは映らない 映せない
合わせ鏡の向こうに 連なるいくつもの僕
そのどの僕も本当の僕であるように
色んな僕が 僕の中にはいるんだ
正しいことをする僕
悪さを働く僕
嘘をつく僕
素直な僕
誰かを助け支えられる僕
強い僕 弱い僕
ずるい僕
鏡は映す 心を映せない代わりに
いくつもに 重なり合った僕の姿を。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
握ったその拳は何を殴る為にあるの
弱い自分を殴る為にあるんじゃないのかい
痛みを分け合い親が子を殴る時のように
優しさは時に鬼の顔であなたを睨む
だから勘違いしてしまうんだね
だからわかりづらいんだね
本当の優しさというものがもしもあるならば
きっと間違いを犯したあなたを 叱りつける
誰かの拳が本当の優しさなんだろう
ねえ 殴られたほうも痛いが 殴るほうも痛いんだよ
繰り返す心と心の痛み分け あなたを育む優しいまなざし
世の中で生きていくために
していいこととわるいことの区別
出来るようにわかるように教えるはずの親なのにどうだろう 今の世の中は
痛みを教えないばかりに 伝わらない本当の優しさってもの
痛みを教えながら 拳で優しさを語るのが本当の優しさなのに
言葉だけで許されてる子どもたちは
痛みを知らないまま育って大人になる
そうして世の中に出れば ほら人の痛みがわからないから
傷つけることさえ厭わない そんな人ばかりいるよ
僕の親もその親もその親の親も
きっとそうやって形は違えど同じ
優しい拳で 教えられたんだ心のあるべき姿を
本当の優しさというものがもしもあるならば
きっと間違いを犯したあなたを 叱りつける
誰かの拳が本当の優しさなんだろう
ねえ 殴られたほうも痛いが 殴るほうも痛いんだよ
繰り返す心と心の痛み分け あなたを育む優しいまなざし
ねえ あなたを殴ったあとには 静かな夜の海のように
落ち着いた波のさざめきが聞こえる
明くる朝はいつもみたいに優しく笑うあなたがいる
ほらね愛は 確かにここにあるでしょう
ほらね優しさは嘘じゃないでしょう。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
何もする事がない休みの日
暮れゆく空を ぼんやりと眺めていた
ふいに浮かんだ言葉が引っかかる
ああ 僕はどうして生きているんだろう
何のために 誰のために 生きているんだろう
繰り返し繰り返すその問いかけに答えられないまま
「大人」という終着駅に着いてしまった
僕は今もずっと同じ迷いに悩まされている
見えないままのゴール スタート地点に戻ろうとしても
引き返せないくらい歩いてきてしまったんだ
花は咲かずとも花で 夢は叶わずとも夢だ
だから僕は僕の思ったように生きてみようと思った
それがいちばん正しいんだと信じて
重たい体を引きずりながら
ドアを開ける 冷たいノブを回して
アパートの切れかかった電灯が
照らす廊下には 誰の姿もない
ただ 自分のためだけに 生きる
笑うことも泣くことでさえも 最近じゃ面倒で 人付き合いもない
「死」という言葉に憧れを持つのは
いけないことだろうか 教科書や聖書は「生」にのみ光を見いだせると記す
意味もなく点けているテレビ
つまらない番組が つまらない企画をやってる みんなくたばりゃいい
花は枯れてもなお花で
夢は褪せてもただ夢で
変わらないんだと誰かが言っていました
だからとりあえず生きてる
それがいちばん正しいんだと思い込んで
花は咲かずとも花で 夢は叶わずとも夢だ
だから僕は僕の思ったように生きてみようと思った
それがいつでも正しいんだと信じて。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
星を数えながら 歩くいつもの帰り道はちょっと遠回り
見上げた空には 数えきれない星が輝いていた
この胸を 満たしているのはほんの少しの不安と期待
いくつもの物語が あの空に見えるよ
幸せってきっとあんなふうに ささやかに輝いている
明日はこのぶんじゃ晴れそうだね
星たちがおしえてくれている
星を数えながら 歩くいつもの帰り道はちょっと遠回り
見上げた空には数えきれない星が輝いていた
輝いていた。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
通り過ぎてく
景色の中に
取り残されている
気持ちになったよ
もうじき
日が暮れるね
街は相変わらず
やさしい色をしてる
なんにもいいこと
なくたって
なんとなく
幸せさ
だって僕ら 今日も生きてる
たったそれだけのことがなぜだろう
とても幸せなんだ
幼い子供が
戯れに描いた落書き
それによく似た
あたたかい景色
ほらね 触れても
いないのに
僕はいつでも
この街といっしょさ
たったひとりの
帰り道
悲しいことのほうが多いくらいなのに
それでも いいさ
生きていればかならず
いいことがあるって思うことにしよう
幸せはあとからついてくるから
夜が朝が 繰り返されて 忘れた頃に
気づけば 歳を重ねて やがて笑って
空に昇れたら それで幸せ
だって僕ら 今日も生きてる
たったそれだけのことがなぜだろう
とても幸せなんだ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
終電間際の駅のホームは人もまばら
遠ざかってゆく 電車を見送ったなら
改札を出て いつものように 泣きながら帰ろうか 独りきりで
悪いことをしたみたいな
正体のわからない罪悪感に包まれながら
いつも何かに申し訳なそうに生きる
僕らの毎日
あなたの瞳の中に映る僕というものは
どんなふうに見えているのだろう
傷つけないようにと人に向き合うと
うまく自分を出せない
一度絡まった糸はほどけないのか
生きたいけど 生きたくない
生きたくないけど 生きていたい
笑いたいけど 笑いたくない
泣きたいのに 泣きたくない
心と気持ちが 逆さまさ 僕は何をどうしたいんだろう
気づけばいちばん傷ついてほしくない人がそばで泣いてる
神様が 僕に課したルールは単純で
ただ死ぬまで生きればそれでいい
だけどそれまでは何をしても基本自由で 生きようが死のうが関係ないのさ
「責任ある生き方」さえ出来れば
誰もが幸せになれるけれど 鳥かごの中で誰かに飼われてるようで いい気はしないんだよ
「無秩序」と「不条理」の中で 生まれる「矛盾」は見えているものを巧妙に正当化している
生きたいとだけ 考えたいのに
死にたいと言う自分もいる
死にたいと言う自分がいることを
生きたいと言う自分は否定し続ける
そして 生きたいと言う自分のことも死にたいと言う自分は否定し続ける
身勝手に命の大切さを謳う償いの日々
生きたいけど 生きたくない
生きたくないけど 生きていたい
笑いたいけど 笑いたくない
泣きたいのに 泣きたくない
心と気持ちが 逆さまさ 僕は何をどうしたいんだろう
気づけばいちばん傷ついてほしくない人がそばで泣いてる
ピースの欠けたジグソーパズルのようさ
大事な何かが足りないよ でも僕に足りないものって一体なんだろう。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
たとえば文字を書いていく過程で間違った文字を消しゴムで消している
その行為はきっと間違った自分を 無かったことにしたいという自分の弱さのあらわれ
間違った自分を 消さないように それを「恥」に思えた
自分をいつでも 思い出せるように
間違ったら 消さずに残しておこう
たとえばどんな時でも どんな場所でも
間違ったその事実は消せないように
あなたの心に刻まれる
もがいて あがいて試行錯誤した 今日の自分がいた事の証明はきっと間違ったその事実が教えてくれるから 無意味なんかじゃないんだ
ほら 正しい答えに導いてくれるだろう
少しずつでも正解に近づいてゆくだろう
たとえば生まれながらに障害を持った人は 普通の人と同じように笑ったり泣いたりしちゃいけないの? 間違ったことを間違ったままにしているのかい?
多分彼らは 彼らなりに自分なりの正解を見つけ出すために
生きているんだろう
僕だって同じじゃないか 何ひとつ違わない
たとえば運命なんてものがあるとしたら
それはとても残酷なものなんだと 僕らが決めつけたら この世界はなんだろう
笑って 泣いた 今日の日のすべては きっと間違ったままの
自分に新しい世界を見せてくれるに違いない 正しさの形なんてないのさと 言っているよ
刻まれたハンデの痕は 角度を変えれば誇りにも見える
もがいて あがいて試行錯誤した 今日の自分がいた事の証明はきっと間違ったその事実が教えてくれるから 無意味なんかじゃないんだ
ほら 正しい答えに導いてくれるだろう
少しずつでも正解に近づいてゆくだろう。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
広げた手のひらをあなたと繋ぐと
伝わるぬくもり 心まであったかいね
親から子へ 恋人から恋人へ 愛の形は様々だけれど
きっと大した違いはないよ 誰かを思うことには
あなたを愛していられる幸せが幸せ
あなたに愛されている幸せが幸せ
あなたと生きていられる幸せが幸せ
あなたと笑い 泣ける幸せが幸せ
当たり前なこと そのすべてが幸せ
日の暮れた道を歩いていたら
手を繋ぎながら歩く家族を見たよ
なんとなく こっちまであったかくなったのはなぜ
心がふるえたのはなぜ 誰かの幸せを感じたからかな
あなたと寄り添える幸せが幸せ
喧嘩して仲直り出来た幸せが幸せ
あなたと趣味が合うと幸せ
何でもないこの幸せが幸せ
あなたを好きだと思える僕が好きだ
あなたに愛されている僕が好きだ
あなたを愛していられる幸せが幸せ
あなたに愛されている幸せが幸せ
あなたと生きていられる幸せが幸せ
あなたと笑い 泣ける幸せが幸せ
当たり前なこと そのすべてが幸せ
続いていく日々 そのすべてが幸せ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
嘘をついたよ 誰かに
嘘をついたよ 自分に
やりたくないこと
すべてに嘘をついてる
本当は嘘なんてつきたくないのに
何故だろう 嘘をつくことに慣れている
嘘の嘘は 嘘さ
重ねた嘘は
積み上がり
天までも届く
本当の嘘は どこだ
塗りつぶした
あの涙は
あの痛みは
見えないままさ
伸ばした手は
宙を舞って
やがて地に落ちる
さらば 今日も
僕は嘘つきだ
さらば 今日も
僕は弱虫だ。