詩人:どるとる | [投票][編集] |
眠るように逝ったあの子の命は
どこに行くのだろう
小さな子供をなくした親はただ
悲しみに嘆いて
「どうして」ばかり繰り返す
運命というどうしようもないものに
憎しみをどれだけ抱いてもむなしいだけだ
昔、命を灯に喩えた人よ
あなたの想像力には感服するよ
最初の勢いがだんだん小さくなって
弱々しくなってやがて消える様に
あなたは灯の姿を重ねたんでしょう
僕も同じ 君も同じ
誰も長さはまちまち
でも、灯を胸に
ともして 生きている
残酷という言葉を嫌悪するのは 悪いことばかり見つめるから
どうして僕らは自分の命さえ 自由に出来ないの
ほんとはもっと生きたいのに
運命という絶対的なものの前では
僕らの都合など簡単に叩き伏されてしまう
命が灯ならば 赤く燃え盛る炎
生きているって君も燃えてごらんよ
身体は日々老いていくけれど
心だけはずっと変わらないから
ああたとえ明日をもしれぬ命でも
今日を精一杯生きるんだ
そしてやがて押し寄せる大きな波に 命を明け渡すとき笑えるように
昔、命を灯に喩えた人よ
あなたの想像力には感服するよ
最初の勢いがだんだん小さくなって
弱々しくなってやがて消える様に
あなたは灯の姿を重ねたんでしょう
僕も同じ 君も同じ
誰も長さはまちまち
でも、灯を胸に
ともして 生きている。
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すっかり寝静まった
街並みを 夜が歩く
悲しみも喜びも
誰かの痛みも
夜は残さずに
平らげてしまう
大きな口をあけて
闇のような深い口で
丸呑みさ
ラララ ラララ 夜明けのサンセット
心開け放したままで世界がまた光に
包まれるまで 僕はもう一眠りだ。
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好きという気持ちは 見た目きれいで
ナイフを入れれば頗る醜い
果汁のような 中身が飛び出して
お互いになじり合ったり 疑い合ったり
みっともないもんだ
愛は ほんとはね
それほど美しくなんかなくて
理想の域を出ない架空のおとぎ話
ざくろのような
醜悪な容姿です
人を思いやったり気遣ったりって
簡単に言うでしょう
だけど心の中はどす黒くて
そんなに人をしょっちゅう大切になんか出来やしない
人は ほんとはね
それほど 優しくはなくて
血みどろリアル
異臭を放つラフレシア 好き嫌いの分かれるものです
でも、愛せるのは
そんな人だから
傷のひとつふたつ
気にはしないよ
見た目だけですべてを決める人は知らないんだよ
ざくろの甘さを
愛は ほんとはね
それほど美しくなんかなくて
理想の域を出ない架空のおとぎ話
ざくろのような
醜悪な容姿です
ざくろのような
不憫な容姿です。
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杖が必要さ 旅に出るのなら
傘が必要さ 涙を流すのなら
道は まだ続く 果てしない荒野のように
まだ先も見えない 未来は未来 どんな未来でも
処女童貞のように 清らかであれ
心だけは まっさらな洗いたてのシャツのように
処女童貞のように 汚れなき生き様で
どこまでも 真っ正面で 融通のきかない人であれ
夢が必要さ 現実だけじゃ苦しいよ
浪漫が必要さ 男も女も誰にでも
道は未知のまま 見えないものばかりさ
未来はどこまで行っても未来のまま
処女童貞のように 大人になりきれない
幼いままの君の純粋な心が良心だよ
処女童貞のように 君は君のままで
僕は僕のままで いつまでも皮を被った
膜を張ったままの小さな天使
その羽根は 明日に飛び立つ勇気。
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流れる街の風景を
電車の窓から見ていた
時刻はもう午後5時
空は真っ赤な夕暮れさ
この窓の向こうにはいくつもの
人々の暮らしがあるんだろうな
僕の知らない悲しみが
僕の知らない喜びが
そして僕の知らない幸せが
生まれては消えてく
気泡のような物語
駅名を告げるアナウンスは機械的で
感情の入ってない
機械仕掛けの言葉
へたくそでもいいから
誰かのためにって
みんな 思えたらいちばんいいのに
僕の知らない 場所で
僕の知らない 人たちが
それぞれの暮らしの窓に
今を映しながら 命をつなげている物語
気づけば 眠ってしまって
気づけば ほら降りる駅を 告げる
アナウンスが聞こえて
ホームに降りれば すっかりあたりは暗くなってた
そうやって日々を
繰り返してく
くだらないことも
案外大切なことも
この窓の向こうにはいくつもの
人々の暮らしがあるんだろうな
僕の知らない悲しみが
僕の知らない喜びが
そして僕の知らない幸せが
生まれては消えてく
気泡のような物語
僕の知らない 場所で
僕の知らない 人たちが
それぞれの暮らしの窓に
今を映しながら 命をつなげている物語。
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この世にあるありとあらゆる影をなすものは
対になるものと向かい合って存在している
ちょうど蝶番のように 似て非なる
分身と重なり合いここにあるよ
動かないものさえ小刻みに息をする
命も人の思いも目に見えず聴こえないものまで
なぜか、ここにあると解るよ
君の足元に 伸びた影は君が確かに
ここにいるという紛れもない証
君がちゃんと 笑い泣けるように
影はあなたの存在を足元で支えている
僕が僕だとわからなくなったときは あなたの声や瞳が
僕が僕であることを確かめてください
人の存在なんて
ないと思えば簡単に消えてしまうよ
おぼろげで儚げな存在を 守るのは形のないものだろう
わからないものばかりだ でも暗闇の中に無音の果てに目や耳を凝らしてみる
君の足元に伸びたその影を否定するなら
忽ちあなたはあなたである意味をなくす
生きている証を欲するなら
その足元の影に 答えを見出してごらん
きっと影は教えてくれるはずだ
言葉じゃなくて 表情でもなくて
もっと わかりやすい感覚で
君の足元に 伸びた影は君が確かに
ここにいるという紛れもない証
君がちゃんと 笑い泣けるように
影はあなたの存在を足元で支えている
君の足元に伸びたその影を否定するなら
忽ちあなたはあなたである意味をなくす
生きている証を欲するなら
その足元の影に 答えを見出してごらん。
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僕は僕が僕であることを肯定は出来ない
同じように
僕は僕が僕でないと否定する事も出来ない
壮大なたとえ話
僕は僕でないとすれば誰なんだろう
そして僕は僕であるとすれば
それ以上でもそれ以下でもない存在なのか
空と大地が 無数の命をはさみ込んで
押しつぶすギリギリのラインで うまくとどまっている
悪魔的思考回路で解き明かした難題は
きっと考えるまでもない簡単な解答さ
君は君が君であることを望もうが
望まなかろうが君であることには変わらない
僕は僕が僕であることを好もうが
好まなかろうが どうだっていい
地球儀を回して この世のすべてを 解き明かそうとした
哲学者曰わく世界は謎と神秘に満ちている
だけど僕の世界は完結した単調な物語
理想と現実をアップロードした 世界では
僕はただの情報のひとつに過ぎず 特別でもない
神的思考回路で解き明かそうとした方程式
白紙のままで提示した 摂理への抵抗
無力で非力な僕が出来る最後の悪あがき
空と大地が 無数の命をはさみ込んで
押しつぶすギリギリのラインで うまくとどまっている
悪魔的思考回路で解き明かした難題は
きっと考えるまでもない簡単な解答(こたえ)さ。
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蝶が蜜を吸うように
それは食事に似た
行為なんだよ
息をするのも 息を吐くのも
歩くという行動も
笑い泣く行動も
動物的行動学に
直結する お利口さんの能弁
何が幸せなのか
何が不幸なのか
僕にとって君にとって
ただ、与えられた猶予の中で 僕らは
一分一秒たりと無駄にせぬようにと
誰かが敷いたレールの上を走る列車になって 糞不味い石炭を餌にして生きる
庭の一角に設えた
犬小屋の中で眠る
名前さえない居候
夏の狂ったような陽射しはアスファルトを焼き
こんがり焼けた アスファルトは蛙の丸焼きを つくりました
何を幸せと呼ぶか
解釈は無限大
常識にとらわれるなかれ
幸福の名を語った退屈を幸せと呼ぶなら
それはなんてお粗末な人生なんだろう
蝉時雨の一声一声に命の重みを感じた時本当の幸福を静寂の中に見つけた
痛みの向こうに
苦しみの傍らに
幸福はあると知る
ただ、与えられた猶予の中で 僕らは
一分一秒たりと無駄にせぬようにと
誰かが敷いたレールの上を走る列車になって 糞不味い石炭を餌にして生きる
少し無謀に無理をする。それもわるくないな。
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僕は季節を選ばない
咲く季節を選ばない
僕は場所を選ばない
咲く場所を選ばない
僕は水や肥料を選ばない
育てる人を選ばない
ただ、美しくなりたければ
誰かの真似をするんじゃなく
美しいと思う生き方をすればいい
月下美人が咲くころに 僕は窓を開けて
月明かりの中、花びらを摘んで風に放つ
月下美人が枯れるころに 僕は目を閉じて
月明かりの中、命をもがれて 空に落ちる
さながらそれは花が咲いて散る様に似ている花の一生に重なる物語
僕は僕を選べない
どんな命も選べない
選べるのは 生まれ落ちたあとの
退屈を埋め合わせる時間稼ぎだけさ。
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舞い落ちる花びらに
命の終始を重ねて
燃え盛る夕陽の赤さにその片鱗を垣間見る
動かざるものに息を吹き込む遊戯(あそび)
神への冒涜 それは許されざる行為
楽になれるなら
僕は己の命も
他者の命も
奪ってみせる
花びらに映る
醜さと美しさ
陰陽思想のよう
対成すものと知れ
余韻に似た後味
苦味と甘味
狂気と正気の境
舌を差す雨
陽射しは 濡らす
はみ出した部分を
見えないもの、
実体のないものにも
舌はある
感じる心 受け止める心
それだけあればいい
「感覚」だけで
生きている。