詩人:どるとる | [投票][編集] |
夜は比較的好きなんだ
めんどうなことも見たくないものも
隠してくれるから
ごまかしてくれるから
すべての光に夜が纏わりついてる
そんな表現が似合うかなあ
すべての悲しみに
すべての喜びに
影は食らいつき
一時的な浅いモザイクをかける
夜を纏う光 悪を知り尽くした正義
断じて きれいごとだけを叫ばない
世の中に はぐれた光
朝を遠く見つめてる
世界を睨みつけてる
ねえ 答えはいつでも暗い暗い闇の中なら
同じだろう 痛みを重ね合わせて
明日へ明日へ急ぐんだ
すべての悲しみに
すべての喜びに
影は食らいつき
一時的な浅いモザイクをかける
夜を纏う光 悪を知り尽くした正義
断じて きれいごとだけを叫ばない
世の中に はぐれた光
僕を遠く見つめてる
その心を 試している。
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海にも感情はあるようで波立つときもあるよ
体中に鱗をたたえた名もない魚が夜の闇の中を進む
ざぶんと音を立てるその波の向かう先は
きっとはじけて散り散りになって
そんな悲しい運命で
それでも波は何度も押し寄せて
存在を提唱している
幾多の波をくぐる
逞しい魚になって
僕は心を世界に
泳がせる 泳がせてる。
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宇宙飛行士みたいに
ロケットに飛び乗って
絶え間なく未来をめざす僕らは
未来飛行士さ 行く先はいつでも未来です
夜と朝の隙間縫うように たどり着く先はいつでも未来だ
未来は未来 腐っても枯れても未来は未来
未来は未来 今日も未来明日も未来
過ぎ去った過去もはるか昨日までは未来
未来は未来。
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あざやかに 君を包むのは形のない音色
ひそやかに 君を照らすのは見えないもの
音にも形はあるんだ
僕らの心が感じるままに形は変わってしまう
指先にチクリ 刺さった傷跡から
にじむ血のように
わかりやすい生きる証があればなあ
何がしかの痛みと共に 襲い来る戦慄
味方じゃないけど嫌いになれない苦痛
それはたとえるなら耳障りなメロディ
深く果てしない愛に満ち溢れているよ
その名はメロディ。
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透明な輪郭をなぞる見えない指先が
頭の中のイメージを縁取ってゆく
それはたとえばここにあるのに
どこにもない幻さ
それでもあると思えばなんだってここにあるよ
見えないものも聴こえないものも
無音の中にそっと耳をすまして
暗闇の中にそっと目を凝らして
想像するんだよ ありもしない世界を
そしてつかまえる感触のない確かなもの
触れられるものなら手を伸ばせばいい
でも見えないものや聴こえないものは
どうやってつかまえればいいのか
それを知るにはさわぐ心を落ち着かせて
静寂の中に そっと紛れ込むかすかな
心の揺れ動きに敏感になることさ
丹念にその音に神経を集めてはじめて
見えてくる聴こえてくるものがある
透明なのに色鮮やかに僕や私だけの世界。
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大切なことは言葉にしなければ
わからないかい?
でもねすべてを言葉にしてしまうことはないよ
だって僕ら口以上にものを言う心っていうものがあるから
うまく言葉にならない時は口を閉ざして
代わりに心に本音を語ってもらおう
言葉じゃ伝わらない
とても伝えきれない
思いがここにある
愛してるという言葉 大切にしたいよ
それでも今はそんな言葉に頼らずに
せっかく持ち合わせたぬくもりで
さわってみよう 大切な誰かの素肌に
そして何も言わずに優しく笑うんだ
その時、言葉以上の何かが生まれるよ
たとえば言葉要らずの会話のような
そんな二人の静かな伝言ゲーム
はじめよう はじめよう
ここにいるよって言わなくてもわかる
嘘のつけない心と心の会話
不器用なところまで誰かにそっくりさ
間違っていいよ 人間らしくていいよ
やがて長い夜は明けて朝陽が差す
その時、なんとなく心が見えるんだよ
積み重ねてく言葉の積み木
バランスを崩したりするのもまた人生
それでも楽しい ゆかいな日々だ
愛してるという言葉 大切にしたいよ
それでも今はそんな言葉に頼らずに
せっかく持ち合わせたぬくもりで
さわってみよう 大切な誰かの素肌に
そして何も言わずに優しく笑うんだ
その時、世界は愛し愛される意味を教えてくれるよ。
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延々転がってゆく
澱んだ闇の中を
僕らは頼る
よりあたたかな大地をもとめて
広がっては縮んで
繰り返す波の形
朝を連れてくるのは夜に違いない
笑顔に隠した壮絶な昔話
僕の存在を 声を出さずに叫ぶのさ
ここにいるよって 何かに抗って
幼い微熱にまだ魘されたまま
白紙のカルテの隅 おどるあがいた痕
易々持ち上げられて
上機嫌で笑ってる
たくさんの道化の中で僕だけは真顔で
世間を睨んだ
何を支えに今日を乗り越えようかなあ
わからないことばかりが散らかっている
正しさのふりした悪と向き合ってる
君の存在を裏づける確固たるあかしを
脳裏に刻みつけて 消えないように
雨上がりに見た虹のように 報われる
数少ない希望にすがりついた昨日がある
僕の存在を 声を出さずに叫ぶのさ
ここにいるよって 何かに抗って
幼い微熱にまだ魘されたまま
白紙のカルテの隅 おどるあがいた痕
上書きするように
未来は積み重なってく
そして真っ白なカルテは埋め尽くされる
思い出にも似たそそり立つ記憶の森。
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なんとなくなんとなく真夜中に外に出て
冷たいドアノブをひねったんだよ
なんとなくなんとなく公園に来たんだよ
そしてブランコを漕いでいる
僕は漕いでいる
吐き出すと白いため息が 煙ってる
煙草の吸い殻 投げ捨て つま先でもみ消す
何もかもがうまくいかないなあ
涙がぽろぽろあふれてくるよ
言い訳する事を許してくれるなら
生まれてしまったからには間違いくらい許せよ
明日がもう目と鼻の先に近づいてる
夜明け前の公園に一人僕は世界から
一番遠いところで息をしている。
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たとえば人の命が今日で終わるのなら
その命が最後まで寂しがらぬように
年老いた手に刻まれたしわの数は
夜空の星のように数えきれない
季節の窓からいろんな景色が見える
夕暮れ時には晩御飯の準備する母親の影が揺れてる
おはようを辿っていくと
必ずさよならにたどり着くのは
今日が明日へと明日が明後日へと
続いてる確かなあかしだ
僕は何処へ帰ればいいだろう
僕を誰が待っていてくれるんだろう
家路はいつでも果てまでも伸びている
僕はその道を歩いていくだけだ
僕は落とした笑顔をひろいながら
沈みゆく夕日を背に口笛吹くだけだ
手のひらで涙を隠すだけだ。
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することをして
やることをやったら
何もすることが
無くなってしまった
空っぽの頭で考えてみたんだ
朝ご飯も晩飯にも手をつけず
手つかずのあしたを僕らはいくつも
抱えながら あるいは待たせながら生きてるんだよ
笑った拍子に涙がすれ違うように
流れ出すのは君の心をあした降る雨が濡らすからだ
所在なげに転がってる無口な小説の続きがまだ残ってる。