詩人:どるとる | [投票][編集] |
部屋には いつもの夢の中に 広げた絨毯 果てない宇宙
花さえ咲かない どうしようもない日々
僕は死ぬことさえ出来ない 生き物
たしかなものなんて何もない ただ
ここにあるのは あくびの止まらない退屈と
明けては暮れる 行ったり来たりの毎日
パラパラ漫画のように あらすじのない結末
さよならは いつでもいいけど
最後くらいは 笑えるように
極上の 幸せを用意しといてね。
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交わした 口づけも重ねた手のひらも
どうしようもないくらい 何度でも確かめた愛の程
ここにあるはずの気持ちさえ 疑わしいから
痛みや 安らぎに 命の居場所を 探すよ
見えないものばかりで 迷いそうになる生き方
人の多さに めまいを覚えた あの日に
咲いた花の名前を人は忘れてしまう
風にたずねた 幸せの入り口や 世界のあり方 そんなものに
気をとられて 僕はすっかり見失ってた
大切な全部。
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手と手を重ねるだけで どうして
こんなに伝わってしまうのだろう
離れては ほどけていく手は
ぬくもりさえも 一緒に遠ざかる
残されたものがあるとしたら
冷えた手に かすか灯る 見えない某か
通り過ぎたことにも気づかず
開いたまぶたに 矢継ぎ早に咲いた花
摘んで 愛でて 思い出に なりました
痛みを 残した季節は どうして
絵になるほどに 美しいのでしょうか
たくさんの 夢を描いた画用紙に
めぼしい 未来は 見つからなかった
あなたがくれた声が道しるべなら
少し頼りなくてもいい 手に汗にぎる
窓に 映るのは 悲しみを 覚えず
掌で隠して 涙の上に花を咲かす
少しはきれいに 見えるでしょう
冬の 足音はもう聞こえない
春の真ん中に僕はいる 夏を 待たせてる
通り過ぎたことにも気づかず
開いたまぶたに 矢継ぎ早に咲いた花
摘んで 愛でて 思い出に なりました。
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月面に 不時着
先の尖ったロケットで
クレーターに 縦に立つ銀の鉛筆
宇宙人 タコみたい
月から見た地球
青と緑のビー玉
ソフトクリーム
片手に遊泳
無重力を 満喫
活字の星が闇に 点在
集めて 解読
壮大な 私小説
それは遠い未来への果てない挑戦
夢に翼を与えるエンターテイメント
魔法の呪文を唱えよう あぶらかたぶら。
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一見、意味なし
世界を数値化
計算するのは科学
幽霊なんていないさ
試して試して
ただその繰り返し
ネズミはマウスで
赤い目で檻の中
チューと泣いても
運命は 人の手の中
言葉を介さず
涙も 流さず
それでも、小さな心をふるわしているよ
すくすくと育つ 天をつらぬき
遂に神の庭へ 侵略
原人が見上げた空に星が流れた日に
この世界は 少しだけ 夢とロマンを思い出す
ただなんとなくぼんやりとした創世記。
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自販機の明かり 誰もいない駐車場
猫が寂しそうに目を光らせて横切る
冷たい アスファルトの上に夜が降る
ただ何の雑じり気もない闇の中に
落ちた星が この世界の最後の良心
真夜中はいつも 思いがけず素晴らしい。
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今は親切なんか 求められないらしい
この前も電車で お年寄りに席を譲るとき
年寄り扱いされたのが気にくわなかったのか
大丈夫ですと 少しだけ眉間にシワを寄せながら丁重に断られたばかりだ
よかれと思ってしたことが まさか仇になるなんて
思わない僕の親切は行き場を失い
気まずくなった僕は違う車両に移った
ありがとうさえも素直に言えない 人にだけは
死んでもなりたくないとひそかに 思いながら生きている
たとえそれがいらない親切でもいらないお世話でも
求められなくても僕は人を 気遣い思いやることをやめない
「みんながみんなどこかで誰かとつながってる」
そんな見えない たしかな結びつきを 大事にしたいから
何かの本に書いてあった気がする
人間は親切にされると ためらう傾向にある
その理由が恥ずかしさなら とても くだらないことだ
人の親切を素直に受け取れないのは 恥じゃないのか
ティッシュを 配る人から
何割が ティッシュを受けとるのだろう
無視をする人 快く受けとる人
様々な人間模様が 色濃く 見える
恥ずかしいとか 気まずいとか
そんな つまらない気持ちは 見えない
唯一目を配るべきはその人の心の内側
ありがとうと言い ありがとうと言われ
お互いに感謝をしあったら 余計なものなんかきっと 生まれない
「本当は誰も誰かに優しさを求めてる」
ただその優しさを求める 心が 不器用でへそ曲がりなだけだ
ほら見てごらんこんなに人がいるのにな
どれだけの人が この中で自分より 他人を思う気持ちを 持っているかな
たとえばハンカチを目の前で落とした誰かに 親切に 声かける勇気 たとえばそれが 愛なんてものじゃないのかなあ。
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この世界を 遊泳
少しわがままな夜だ
ホロスコープで近づいたり離れたりする視点
逆さまになったコップに閉じ込めたのは 水と緑
星を撃ち落とす
銀の弾丸
イメージだけで
空を飛ぶ。
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まな板の上から 生まれる世界
ほら やがて湯気を立てて出来上がる
君お得意の 和食がテーブルに並んで
食べてくれとばかりに美味しそうだ
君が好きなものばかり 集めたはずの
僕の 本棚には君の悲しみなんかなくて
だから君が悲しいときには なすすべもなく僕は役立たずになる
寄せ打つ波が 夕日を 支えていられるうちに
君の手を 握り返すよ
「ごめん」の一言を添えて
あとにする 海岸。
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眠れそうもない真夜中は 宛のない
妄想を浮かべて 朝を探すよ
何も見えない闇の 優しい眼差しは
頭を撫でられたときの 安らぎに似て
唇に 重ねた 唇を キスと言うのなら
愛なんて造作もない とても簡単だ
この悲しみを平らげたら あとから行くよ
だから待ってて 明日は笑えますように願うから。