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どるとるの部屋  〜 投稿順表示 〜


[8397] エンドロール
詩人:どるとる [投票][編集]


映画の終わりの寂しさのように
さっきまでの物語は 跡形もなく
胸の中からすっかり消えている

それは眠ってる 間に 過ぎていた 通り雨

どうして 明日は来るのだろう
僕には行く宛など ないのに

映画の終わりに雨のように
落ちてくる エンドロール

きれいなだけの 言葉で飾られた
映画の内容なんて いちいち覚えてない

気づけば 誰もいない映画館に
一人残されて 退室を 余儀なくされる
人生とは それによく似た 境遇。

2016/10/30 (Sun)

[8398] 未来
詩人:どるとる [投票][編集]


時計は 回って
昨日と同じ
変わらない空を
映した水たまりが

波紋を広げながら
一秒を重ねてく
絶え間ない毎日を
飽きもせず眺めてる

風のあとを追いかけていく
綿毛の 旅立ちは少し 危うくて かすり傷を抱く

踏み出したその一歩は いつか
あなたを 踏み越えるための
今は小さな 一歩でも やがて
たどり着くその日にどんな 悲しみも
笑い飛ばせるくらいの 未来

ひとひらの物語
心を動かしてく
あきれた顔で
君は 笑うのだろう

僕の本気の冗談を
今に見てろって
握りこぶしひとつ
つくっていた

見上げた空は 高くて指先さえ届かない
叶う保証もない 夢に 時間を 費やしてる

リスクのない夢なんて ただだっていらない
叶えられるかどうかじゃない
叶える気があるかどうかだ
それいかんで 道は切り開かれていく
目指すのは地図にない 未来

今はまだ 何度も
転んで 悔しい思いをしておくことだ
それがいつか 宝物になるだろう

踏み出したその一歩は いつか
あなたを 踏み越えるための
今は小さな 一歩でも やがて
たどり着くその日にどんな 悲しみも
笑い飛ばせるくらいの 未来。

2016/10/31 (Mon)

[8399] 花束
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手のひらを 開いて
そこに咲いた
ぬくもりに

生まれた 意味を
知ったのは いつだろう

あなたがくれた
見返りのない愛を
償うことができるなら
僕にはどんなことができるだろう

人が生まれて
死んでいくまでの
わずかな時間で
どれだけの
悲しみを 喜びを
わけあうことが
できるだろう

愛されたように
愛していくよ
私と同じ名前と
血潮を分けた
小さな 君に
心に 届けよう

思い出を集めた花束を。

2016/10/31 (Mon)

[8400] あした
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雨が止んだら 傘をたたんで 君の顔を
覗きこんで いたずらそうに 笑う

風が運んだ花びらの行方なんかは
新聞にも書いてないから死ぬまで わからない

長い髪をひとつに 結んだ君の 襟足を
風が 撫でたら 言うんだ この気持ちを

僕らは 他愛もない会話をしながら
途切れないように会話をつないでく

リレーのように見えないバトンを渡して
いつの間にか はぐれるとも知らないで

それぞれの未来が 口を開けて待ってる
どうやらここらでもう さよならだ

見えない あしたを イメージで汚しながら
あるいは 飾りながら 不安をあざ笑った

僕らは 愛という言葉も知らないうちから
唇を 重ね合わせる意味を 悟っていた

宛もない 僕らは ただ疲れるまで歩いて
途切れた遊歩道 振り返る先に揺れる 街明かり

答えのないことをいつまでも 話した

途方もない先の未来なんて
僕らにはまるで他人のことのようで

長い夢から目覚めた僕は気づいた
思ったより いろんなものを
なくしていたことに
でも同じだけ 何かを手に入れたということも

僕らは 他愛もない会話をしながら
途切れないように会話をつないでく

リレーのように見えないバトンを渡して
いつの間にか はぐれるとも知らないで

それぞれの未来が 口を開けて待ってる
どうやらここらでもう さよならだ

望まなければ会うこともないだろう
だから さよならだ。

2016/10/31 (Mon)

[8401] 奇跡
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泣きべそかいて 笑われて
赤く腫れた頬を指差して
そんなに泣くなと 慰められた

夜はただ ゆっくりと 過ぎていった
時間を 転がすように 運び届けるように

持ち運びできない 思いなのになあ
素知らぬふりで 懐にしまいこんで

そして

ありふれた 気持ちが 奇跡なんだと
気づいた瞬間の ときめきだけは
誰にも 渡せないと思った心から

だからこの思いは僕だけのものだ

これでいいはずだ何もかも全て
忘れたことも思い出すこともなく
吐き捨てるように 歌ってた

電車を逃したけど終電に間に合った
それも 違わず奇跡なら

ああ この思いは
泡のように
溶けてあとは 消えるだけ

ありふれた 気持ちが 奇跡なんだと
気づいた瞬間の ときめきだけは
誰にも 渡せないと思った心から

だからこの思いは僕だけのものだ

そんな 気持ちさえ揺らぐほどに
君は 僕をどうしてそれほどまでに愛してくれるんだろう。

2016/10/31 (Mon)

[8402] 終電
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いつまでも終わらない宿題のような
絶え間なく積み重なってく時間の掟で
がんじがらめに縛られたまま

流れにまかせて ただ泳ぐのなら
自由など 永遠に見えはしないだろう

旅人になるのなら 傷を抱くことだよ

僕はまたひとつ 大人になってしまった
歳を重ねて 威張りくさって

偉くなどないのに 見栄ばかり張って

終電も過ぎた 真夜中の 駅のホーム
ベンチに座って 明かりに 話しかけていた

君は 少年のまま 今も変わらない歌を歌ってる


君の青春は きっと流行りのペンケースと真心ブラザーズ

僕はまた ひとつ嘘に救われて狡くなる
もう引き出しは ひとつもない

日比谷線の窓の外 ぽっかり浮かぶ月

言葉にしたら きっと敗けを認めたことになるだろう
負け惜しみでも強がるほうがいい

その時流れた涙は星になった
そういうことに しておこうか。

2016/10/31 (Mon)

[8403] マシュマロ
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結局僕は君のついた嘘を 許してしまうんだろう

何度だって 裏切られて でも許してしまうんだろう

好きなだけで いくらでも ばかになれる

泣いたあとの笑った顔が見たくて
僕は 君をわざと許すんだよ

マシュマロみたいな 柔らかな 頬
少し 赤らめて
林檎みたいに 膨らませた

幸せは いつでも
そばにあると 知る。

2016/10/31 (Mon)

[8404] あるカメラマンの死
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何の前触れもなく
落ちてくる思いに
うなずいたのは
昨夜の出来事で

名前も知らない
誰かの死を
知ったのは
今朝のニュースで

どうでもいいよ
忘れればいいよ
消えればいいよ
跡形もなく

ただ過ぎてく時間に追われていた
途中で 入れ替わった
僕が追われるほうだ

カメラは写すだろう明日の 世界を

そこに笑顔があるなら
惹かれてしまう 涙があるなら
レンズの向こうに 現実を映すよ

嘘偽りのない 今を伝えるよ
戦地の土に骨をうずめて

平和を 誰より 願いながら
その礎に なれたならと。

2016/11/01 (Tue)

[8405] ティッシュ配りさんのクリスマス
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いつの間にか降り出した雪がちらほらと
どこまでも伸びた道に 白い絨毯を広げて

誰もが そわそわしながら待っていた
夜がついに やっとことさやって来たんだ

吐き出す息で 冷えきった手を温めて
凍えないように コートの襟をピンと立てた

壁に寄りかかって 見上げた夜空に
流れ星がひとつ 駆けていった

願い事は 言えなかったけれどいいんだ
待ち合わせてる 君に出会えれば

名前も知らない どこかの街で
なれそめも 知らない人たちが

恋に落ちて 手なんかつないだりして
クリスマスの夜を 思い思いに過ごしてる

サンタクロースはいるかいないか
わからないけど もしもいるならば

今夜くらいは奇跡を起こしてください
泣いてる暇もないくらい 笑って 過ごせたならいいな

大人になってからはクリスマスなんて
年末の忙しさに 忘れてしまったりする

カレンダーを見てやっと今日が
クリスマスイブだと気づくしまつで

いつもは受け取らないポケットティッシュ
出し抜けにメリークリスマスと 言われた

寒い中ティッシュを配って 白い息 吐き出すあの人にも恋人がいるのかな

だとしたら 仕事が終わったら 恋人に会いに行くのかな

段ボールいっぱいのティッシュ
その一つ一つにあるドラマ

受けとる人と受け取らない人
無視をする人や睨んでくる人

段ボールが空になる頃 恋人に電話を入れる
路地の陰に隠れて 会う約束を取り付ける

少し遅れるけど 走って行くから待ってて
そんな会話が イメージできてしまうんだよ

受け取ったその時の笑顔は きっと
恋人に会える嬉しさの あらわれだろう

だとしたらありがとうと 言うべきだったかな
なんてことを考えながら ティッシュで鼻をかむ夜

聞こえないけど 少し遅れてありがとうと寒空に呟いた。

2016/11/02 (Wed)

[8406] 風にたゆたう花のように
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手の届かない 空に伸ばした小さな手

空を見上げれば あまりにも僕はちっぽけで

踏み出した一歩が 簡単にぬかるみに埋まる

お金や愛に 困った時は
親や友達が助けてくれる

人生に 迷った時は
自分が自分を 助けるしかない

行き先なんて そんなのは 元からないよ
この道は ただ地面に根を張り 伸びるだけ

目的なんて そんなのは 言い訳なんだよ
意味のない 人生に生き甲斐を 押しつけて

この世界に 産み落とされた
この 悲しみを 笑い飛ばすだけ

風にたゆたう花のように
生まれ持った この体と心で

思いのままに 声を歌にするだけ。

2016/11/02 (Wed)
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