詩人:どるとる | [投票][編集] |
引き出しの中にしまった 傷跡を
今さら 思い出して慌てて引っ張り出す
子供のとき大好きだったアニメの主題歌
歌いながらたどる小さな僕の足跡を
ないとわかっていながら 探す宝物
ステッキひと振りで出来るお手軽な魔法
そんな 奇跡に 出会うための 祝砲
夜明けに鳴らして 君に届きますように
目には見えない真っ白な手紙を送るよ
朝もやに隠れ潜む 顔見知りの悪意を
片手の指だけで数えられたらいい
約束の場所まではもう少し 走らなきゃ
水上バスが 波を立てて橋をくぐる
心の中につくった二人だけの秘密基地
旗には オリジナルのマーク
誰にも邪魔されない 素敵な妄想世界
二人だけにわかる暗号で示した未来
五月の 畦道に雷と雨が 降り注ぐ
雷に怯え濡れながら走った あの日
僕らは何処にいたんだろう
そして何処を目指していたんだろう
それさえ曖昧なのは誰のせいだろう
結局世界を 出来合いの物差しではかる日々
ステッキひと振りで出来るお手軽な魔法
そんな 奇跡に 出会うための 祝砲
夜明けに鳴らして 君に届きますように
目には見えない真っ白な手紙を送るよ
ありったけの思い出と一緒に。
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陳腐な言葉に すがりついて
いつの間にか 笑い飛ばしていた
ただ過ぎるだけに終始してる時間をもて余した
胃カメラのように伸縮自在の
自由なはずの思いは宛もなく 迷子になって
光と影の間を行き交う
あわよくば指先の止まり木においで 世界中にある
ありとあらゆる 奇跡の類いよ
僕に もう一度、幸いの再来を
一触即発の 大激闘
刃を合わせつばぜり合い 火花散る
夜明けに間に合うかなあ
急げば間に合うかなあ
たたんだ翼を 広げ思い出していた
忘れてしまった空の飛びかた
小説の前書きほど邪魔なものはない
早いとこ本文に進んで欲しいのに
くだらない作者の構想数年云々が 長々と続く
時計の秒針に ゆだねる思い
絶えず 仕事する その働きに
敬意をはらいたいよ
一周一分 高くない仕事
願わくば 甘さ控えめの 紅茶がお好みさ
だけどスパイスも欲しいところ
僕らのわがままは 行き着く先を知らず
右往左往する 道程
画面を飛び出す3D
それ以上のハイクオリティ 時代を先駆け
太陽を鷲掴みできるかなあ
高い壁飛び越えられるかな
土砂降り傘を放り投げて 歌う
言葉の雨が 隙間だらけの心に降る
僕は 少しずつ次第に 何かを知る
余白も 埋まってく
そのぶん余計なことも知る
だけど昨日よりはきっといくらかマシさ
今なら 下手くそだって 飛べるんだ
夜明けに間に合うかなあ
急げば間に合うかなあ
たたんだ翼を 広げ思い出していた
忘れてしまった空の飛びかた。
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手をつないで歩く そんな姿を
イメージしながら 幸せを描いてみる
まぶたの裏にぼうっと浮かぶ顔は
いつでも 笑ってる そんなイメージだ
大好きな人に 幸せになってもらうために
僕は 一歩引いて あなたの後ろを歩く
本当は あなたの隣を歩きたい僕なのに
きっとあなたを幸せにできるのは
あなたが大好きな僕じゃない人だから
遠くから見守るだけのドラマの脇役さ
ぼんやりとした あなたの顔を
何度も見ている筈なのに思い出せない
それはあなたを よく見ていないから
あなたの笑った顔や泣いた顔を
大好きな人のすべてを知っているつもりで
知っているのは ほんの少しのあなたでした
あなたを追い越せない 追い着けもしない
イメージするのがやっとなのさ
あなたにとっての一番の幸せは
あなたが大好きな人と結ばれることだ
あなたが選んだ人があなたの大好きな人
僕じゃなくても それはあなたが選んだ
この世界で 一番大好きな人
大好きな人に 幸せになってもらうために
僕は 一歩引いて あなたの後ろを歩く
本当は あなたの隣を歩きたい僕なのに
きっとあなたを幸せにできるのは
あなたが大好きな僕じゃない人だから
遠くから見守るだけのドラマの脇役さ。
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星が 流れる いくつもの物語を
眠れない夜に 語るよ 吟遊詩人のように
窓から風が 吹き込んで ささやく夜には
星や月が素敵な 語り部になってくれる
魔法なんてない 世界にも不思議なことが ひとつ ふたつ
まぶたの裏に 広がる僕だけの箱庭
僕だけの願い事は叶うことはない
ステッキひと振りで使える魔法はない
でも目に見えない感情が僕の中で
魔法のように きらめきながら生まれる
遠い昔に誰かが描いた最初の命の形
見聞きしてきたことなんか
多分必要なんかなくなるよ
大切なのは今を生きること 目の前にある世界がすべて
悲しいことだけどそれが本当のこと
だから僕は魔法使いになれない
だって 願う必要もない
不便なことに 気づくことで
魔法使いには 気づかない 大切なことがたくさんあるから
星の引力で 惹き付けられた物語の 続きを知りたいのなら
本をたくさん読むことさ
ロマンは フィクションの中で生きるものだからね
ふれられるような夢はいらない。
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夜を ひとつ明かして
悲しみなんかは 踏み越えてやろう
もはや僕らを遮るものはない
希望と不安が 5対5で渦巻いてる
世界の真ん中で 僕は今日も
半端なままの 覚悟で 叫んでる大義名分を
夜明けまでには間に合うかな
この思いを明日に運び届けたい
目がくらむほど眩しい 黄金の夜明け
羽を広げた鳥の群れを追い越して
風が 歌う 木々はささやく
すべての命ある 生き物たちが
この世界を染める 色になる
ほら 君もまたこの世界を染める 色のひとつ。
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線香花火のように 落ちた瞬間の美しさ
バケツの中で泳いでる金魚が跳ねた夏
神社の境内に続く長い階段かけ上った
君の丸みを帯びた背中が 遠くなっていく
すぐそこにいるのにあれ可笑しいな
決められたあらすじをいつの間にかそれていた
追いかけなきゃ流れてく涙のあとを
祭りも終わりかけて片付け始めた頃に
君に渡したとっておきのラブレター
君はうれしそうに笑って言ったよね
「ありがとう」
その言葉だけで 僕はお腹いっぱいになったよ
不具合な約束の せいでひとつ乗り過ごした電車
田舎だから 次の電車が来るまで時間があるんだ
炎天下の中で 陽射しが突き刺すように降る
僕は小説家なんかだろうか
やけに 行間を気にする
空いてしまった間をどう埋めようか
そればかりに気をとられてた
誰もが納得する模範回答をください
ひどくぐらついたイメージのままで
打ち明けた思いは青い果実のようだ
とても食べられたもんじゃないけど
「あなたらしいね」って
嫌がるでもなく優しく 受け取ってくれたのを覚えてる
切れた鼻緒を 結び直すように
ほどけたなら何度でも
結んでいこう 下手くそでも
何マイルかは 歩けるだろう
そうやって 少しずつ 距離を伸ばしていくんだよ
祭りも終わりかけて片付け始めた頃に
君に渡したとっておきのラブレター
君はうれしそうに笑って言ったよね
「ありがとう」
その言葉だけで 僕はお腹いっぱいになったよ。
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安っぽい言葉たちが空から舞い降りる
遥か何億光年からのプレゼントのように
星が手のひらに落ちたその日の夜は
奇跡みたいなまやかしも信じられた
あの頃は二人共 本に夢中だった
ファーブル昆虫記とシートン動物記
その二冊が 僕らのバイブルだった
世界の すべてがなんだって
未来が どれだけ変わっても
肝心なところはいつまでも変わらない
僕は僕で不器用さ前回でやってくよ
あらゆるイメージを総動員して
これから訪れる未来を待ち焦がれる
望遠鏡を覗く少年のような心で
まずは手始めに明日を楽しみにしよう。
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ばらばらの音が重なって
ひとつのメロディになるように
そこから 歌にもなる
可能性という足が生えて
自分の足で 立って歩いてく
いくつかの選択肢へ
虹のような七色のオーケストラ
ひとつじゃない 複雑でいて繊細な細やかな仕事
完成された美学 それは完全犯罪
解けないミステリー 胸騒ぎのサスペンス
答えなんかいらないよ
自由な 解釈で如何様にも広がる世界。
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裏路地を吹き抜ける風の名前を
どこかで 覚えてるのはなぜだろう
輪郭だけを 記憶しているんだろう
ふれたときの感触が残ってるんだろう
たとえば 誰かの手のやわらかな
月のような 丸みを帯びた滑らかさを
水面に イメージが船のように浮かぶよ
そんなに波のない海をゆうゆうと進むよ
そのまま夜明けまで漕いで 雲隠れ
白黒のデッサン 昔のテレビみたい
コロネみたいなお下げ髪が 揺れるよ
道を外れて 地図を持たずに 遭難です
デタラメな 線をどこまでも伸ばして
あとは気ままな 心が矢印になって
雲のあしあとを 追いかけるよ
きっとその先にあるんだ
ずっと 追いかけてたすべてが。
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蜘蛛が糸を吐くように レールを手繰り寄せる
電車は走る 何も見えない闇の中を 明かりひとつたずさえて
長い芋虫 這うように走る
赤く錆び付いた 鉄の道を
窓に映る 間抜け面した自分の顔
時々目があって 気まずくなって
船を漕ぐように うとうとしかけて
眠らないようにつとめてる終電の男
あらすじを読むのも疲れたので ちょっとたまには
出来合いの 筋道をそれて 獣道に分けいるのです
くしゃみ一発 数キロ先まで飛ぶ
ミクロの菌類 着地したかもわからない
暗くなったり明るくなったり
目を閉じたり開いたりの繰り返し
あやふやで曖昧な思考が回る
意識の外れでお腹が鳴る 胃袋エンプティ
改札を 抜ければほらやけに月のきれいな夜
黄色い 満月が 夜空を泳いでく すいすいと
幸い悲しみはぼんやりしてる
今ならどうにかこうにか笑えるぜ
窓に映る 間抜け面した自分の顔
時々目があって 気まずくなって
船を漕ぐように うとうとしかけて
眠らないようにつとめてる終電の男。