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どるとるの部屋  〜 新着順表示 〜


[7258] 紙ひこうき
詩人:どるとる [投票][編集]


遠い日幼い時分飛ばした紙ひこうき
僕は手先が不器用だから折り目をなかなか合わせられず
「角と角を きれいにそろえるのがコツだよ」
そんな母親の声を今もかすかに覚えてる

あなたが いなくなって 僕は
こんなにも きれいに紙ひこうきが
折れるようになったのに
見せるあなたがいない

いい子になるよって約束したあの夕暮れ
ベッドで 寝たままのあなたを
最後に見たのは いつだったかな
すごく痩せたあなたが力なく笑ってた

あの 空に 翼を広げる 誰かが投げた紙ひこうき
願い事を 書いて飛ばすと 願いが叶うという話

「お母さんが元気がなりますように」
あの日の僕の願いは叶わなかった

大人になって 仕事に追われて
あなたのことを考えるのが少なくなった
お陰さまで忙しくしているよ
あなたがくれたこの命を一度は粗末にしようとした おろかさを許して

僕の子供に 紙ひこうきを教えるときは僕が適役さ
「角と角をそろえるのがコツだよ」
いつの間にか母親の言葉を真似してた

あなたがいたこと 時々忘れそうになる
それが 悲しくて
大事な思い出を忘れないように そんなときは紙ひこうきを折るの

だいだいに暮れた 夕焼け空に 紙ひこうきが飛んでる
君が飛ばした紙ひこうきと僕が飛ばした紙ひこうき

「どちらが長く飛んでいられるかなあ」
空の遠くまで飛んで あなたに届けと祈った

会いたいと 思うことのないようにしないと
すぐに 涙に包まれてしまうから
僕は あなたの顔を必死に忘れようとした
でも覚えているより忘れることのほうが悲しいと 思った

あの 空に 翼を広げる 誰かが投げた紙ひこうき
願い事を 書いて飛ばすと 願いが叶うという話

「お母さんが元気がなりますように」
あの日の僕の願いは叶わなかった

もう一度紙ひこうきを飛ばすなら
違う願いを書こう
「あなたが幸せであるように」

2016/01/17 (Sun)

[7257] 夜明け前
詩人:どるとる [投票][編集]


まだまっさらなページに描いた
小さなあしあとは明日へと続いてく

昨日の僕が刻んだわだちの上を
辿るように歩いていく先にある未来

まだ夜が明ける前の 街並みに落ちる光が
涙のように見えた 空も泣いているんだね

何か 悲しいことがあったのかな
薄紫色に染まった空が淡くにじんでる

言葉が言葉にならないときは
何に頼ればいいのかなって探してる道しるべ

空は 流れ 移り行く季節は花を散らし
風をはこんでいく 僕らの行く先へ

まだ朝というには暗い街並みに日が昇れば
この気持ちも少しはおとなしくなるかな

大人になるための少しばかりの試練
成長痛ともいうべき必要な苦悩

物語は 続きを求めてさまよっていく
まだ真っ白な明日に描かれる世界は
どんな世界かなあって想像する今日

まだ夜が明ける前の 街並みに落ちる光が
涙のように見えた 空も泣いているんだね

何か 悲しいことがあったのかな
薄紫色に染まった空が淡くにじんでる。

2016/01/17 (Sun)

[7256] 
詩人:どるとる [投票][編集]


目映いばかりの夜明けの空に
間に合うかな 自転車漕いで坂道をかけ上がる

夢からやっと覚めた僕は
まだ寝ぼけた頭のままで 新聞を逆さに読んだりしてる

顔を冷たい水で 洗って 自由に跳ね回った 寝癖を直したら
新しいドアを開けるよ

イメージで背中に描いた 翼で夜を飛び越えて 朝をこの手に抱きしめよう

こぼれる光を ひとつぶ残さず 拾い集めたら 知らない今日の はじまりはじまり

地図なんかなくてもたどり着けるさ
迷わずに行けるほどこの世界は 簡単じゃない

とりあえず 胃袋に炭水化物かっこんで
誰にもまだ教えてない構想を練っている

次の日曜日 二人で天体観測をするんだ
しし座流星群が 何十年ぶりかに 観られるらしいよ

空に描いた 二人の夢を ひたすら設計図どおりに 組み立てていく作業

時には 理想と現実とのギャップに苦しむ日もあるけど そんなのは想定の範囲

憧れたあの人を 追い越すことばかり
考えていた少年の僕は
手当たり次第に 自分の力を試した
それでも見えたものは あまり 上出来とは言えなかった
せいぜいが小さなプラモデル程度の 曖昧な結果だ

イメージで背中に描いた 翼で夜を飛び越えて 朝をこの手に抱きしめよう

こぼれる光を ひとつぶ残さず 拾い集めたら 知らない今日の はじまりはじまり

出会ったことのない未来の来訪のための犠牲
新しい世界のはじまりはじまり。

2016/01/17 (Sun)

[7255] はじめて記念日
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昨日と同じ今日はどんな日だろう
あなたにとって 僕にとってどんな日だろう

あなたが 生まれ落ちて 産声を上げた日に
目にした世界は あの頃より 広がったかな

言葉を覚えて 歩き方を覚えて
愛にふれて 思い出ができたよ

今日という日がどんな日でも何曜日でも 雨でも晴れでも たとえば嵐でも
君が出会った 気持ちがあれば 今日ははじめて記念日。

2016/01/17 (Sun)

[7254] スタンドバイミー
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風のささやきに耳をすましてみれば
取って付けたような生きる理由を
まんま宛にしてる 今日がたやすく笑い飛ばせるくらいに
ばかばかしいことだと気づいてしまう

忙しい街並みは たくさんの人であふれ
今日も 人はわけもなく先を急いでる

瞳の奥に咲いた花や夜空の星を
思うこともないまま

何の所以もない 今日が名残惜しいのは
少しだけでも今日が楽しかったからで

だからどうってわけじゃないけど
スタンドバイミー なんとなく打算みたいに言ってみたかっただけ

泣きじゃくる人を見て見ぬふりをして
見なかったことにしたよその無関心さが
誰かを 知らないあいだに傷つけている
そんなことにも気づけなくなったのさ
いつの間にか自分しか見えなくなった

ページをめくる手が手繰り寄せた
今日が たとえ誰かの涙を呼ぼうとも

いまだ続く 悲しい戦争の被害者や
闘うことを望まない無防備な命に歌う

愛と平和だなんて鼻で笑っちゃうくらいきれいごとだと 思ってるけど望む未来は

紛れもなく 争いのない 誰もが笑えるそんな未来の筈だろう
待ちわびた今日が 昨日より少しいい日だといいな

夕暮れの街 お別れを交わすとき
離れてく手が 消えてく温もりを

大切だと 抱きしめたら熱を失い すぐに冷えた手も
君の温もりを 忘れちゃいない
ここにあるよ 大切なものは

何の所以もない 今日が名残惜しいのは
少しだけでも今日が楽しかったからで

だからどうってわけじゃないけど
スタンドバイミー なんとなく打算みたいに言ってみたかっただけ

それだけだ 恥ずかしいから詳しくは聞かないでって
僕は照れて顔をそらした。

2016/01/17 (Sun)

[7253] ハッピーバースデー
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空に星を降らして いつかの約束が空に描かれる

まぶたの裏に 浮かぶ未来に
会いに行こう

ハッピーバースデー
ろうそくを立てて
今日という
記念すべき日を祝おう

君が生まれた喜びに
君が生まれた悲しみに
出会った今日にありがとう。

2016/01/17 (Sun)

[7252] 風の歩き方
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草木の揺らめき イモムシの呼吸に
目覚めて はじめて出会う光

風の歩き方を 知ったときには
目に見えるすべては意味がなくなった

風の上を歩いて 世界の果てにゆく

どこまで行けるだろうたったひとつの心で

宛もなく。

2016/01/17 (Sun)

[7251] ハウス
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大きな風に さらわれていく
平たい 大地に 物語が
広い世界を さらに広げていく

家を建てよう 家族を持とう
花を育てよう 本を読もう

手紙を書こう カーテンをひらこう
絵を描こう 愛をささやこう

ひとつの屋根の下にいくつもの
物語が 始まっては終わる

ここにおいで 帰っておいで
ドアを 開けて待っているよいつでも。

2016/01/17 (Sun)

[7250] PM
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手のひらに息を吹きかけながら
大切な人を待ちわびる真夜中には
白い雪が 降るだろう
予報どおり 積もるほどではなかったけど

降るような奇跡の ひとつを つかんだ
君は 運命という言葉を嫌うけど
この出会いだけは そんな匂いがするんだよ

零時過ぎの 真夜中の街は息を潜めたように

静まり返っている 寒い中 待たせてしまわないように

早く来たつもりなのに すれ違う二人

ドラマみたいに 抱きしめてねって笑うから

恥ずかしそうに 照れながら僕は走ってきた君を大きな体で受け止めた

ちょっと自信がなくなってしまうと
芋づる式に 落ち込んでいく性格で

全く仕方のない人ねって 笑われたけど
そんな僕を好きな君も同じ生き物だよ

手のひらをかざすと 冷たい雪が ふれたとたんにとけて消えた
時間と同じさ 一分一秒も儘ならない

時計なんて本当は捨ててしまいたいよ

時間になんて左右されないで君と会いたい

ふれた手の温もりもちょっとした仕種まで 愛らしい

なんでも大袈裟に考えるのは悪いくせ

日付が変わって まもなくして 雪が止んだアスファルトをうっすら白く染めただけ

こんなに楽しい時間は いつまでも続いてほしいなあ
でもいつまでも続くものなんてないなんてセンチだね

僕らは僕らの何に恋をしているんだろう
それさえ曖昧だけど ただ 気持ちのままにお互いを求めた

零時過ぎの 真夜中の街は息を潜めたように

静まり返っている 寒い中 待たせてしまわないように

早く来たつもりなのに すれ違う二人

ドラマみたいに 抱きしめてねって笑うから

恥ずかしそうに 照れながら僕は走ってきた君を大きな体で受け止めた。

2016/01/16 (Sat)

[7249] 夕暮れ色の置き手紙
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空に綴る思いはあの日のさよならを
染めてくれるかな きれいなオレンジ色に

君が残した ひとつひとつを 思いながら
忘れそうになりながら
あわてて思い出す

そんな日々を生きていたら 時間に置き去りにされたよ

君のせいさ どうして こんなたくさんの思い出を残したままで行ってしまったの
思い出は傷痕になる
開いたよ 今日も君を 夢に見るたび

忘れられるわけもないじゃないか
忘れるために 積み重ねた思い出などひとつもないから
これからも 僕は思い出と一緒に生きる

この思い出は 置き手紙のように
僕の心に消えない痛みと 幸せをくれる

優しさと切なさが同居した 君の好きだったあの夕暮れ空のよう

どれだけの言葉を繰り返せば
君への感謝は 伝えられるの?返す人もない

けれど広すぎる 部屋見渡しながら
電気も点けないで暗い部屋に一人君を思い出す

どんなふうに笑えばいいかも 忘れてしまった
幸せって どんな色どんな形だっただろう
作り笑いはすぐに涙になる

眠れない 夜に君の面影を探すよ

忘れられるわけもないじゃないか
忘れるために 積み重ねた思い出などひとつもないから
これからも 僕は思い出と一緒に生きる

この思い出は 置き手紙のように
僕の心に消えない痛みと 幸せをくれる

優しさと切なさが同居した 君の好きだったあの夕暮れ空のよう

君ともう一度 会えたなら どんな言葉を言うだろう
なんて無理なことばかり考えては
今夜も眠れない 長い夜を過ごしてる。

2016/01/16 (Sat)
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