詩人:どるとる | [投票][編集] |
雪が降る街を行く
僕は一人きり
お気に入りのスニーカーと
忘れられない歌を連れて
空の終わりを探すような そんな宛もない旅に出る
言いそびれたありがとうや
今すぐ伝えたい想いを胸に
雪が降る街を行く
僕は一人きり
うぬぼれたように
酔いしれたように
心と体は 寸足らず
ほら 雪が足跡をつけたそばから埋めてく
振り返ったらもう 消えてるわだち。
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いつもは気づかない 当たり前という言葉に隠れて
見えないままの 誰かの優しさや ちょっとした思いやり
言葉になんかすることのできない気持ちだ
世界中の 一人一人にいる 大切なあなたに
伝えたい気持ちがいつの間にか歌になる
ありがとうっていう言葉じゃ 返せないくらいの気持ちだ
だけどきまってあなたは言うよありがとうっていう言葉だけで十分だよって
家族がいて 恋人がいる 立場は違えども
同じ人間だから 同じ心を持っている
口では 感謝なんかみじんも してないそんなあなたも
本当は 誰より感謝してる人が一人はいるはずで
もらってばかりいるこの感謝の気持ちを ありがとうの言葉に変えて 伝えたい人がいる
ありがとうって言うたびに 僕らはまたひとつ大人になって
心が 大事なことを知るだろう だからこのありがとうをあなたに届けよう
目をつむって数を 数えたら
もう一度目を開けて君を見る
さっきまでの君とは少し違う
生まれ変わった そういうことにして
些細ないざこざは 忘れて ほら 笑ってみよう 抱き合ってみよう 愛のままに
ありがとうっていう言葉じゃ 返せないくらいの気持ちだ
だけどきまってあなたは言うよありがとうって いう言葉だけで十分だよって
だからありがとうにはありがとうって返すんだ。
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行き止まりの道 冬の寒さのせいで
いつまでも離れない手を離したとき
僕らは大切なものまで落としてしまった
小雪混じりの 朝にはかじかむ手を
あたためてほしいと願う
愛してるって 大好きだって
手を握って さよならのかわりに
抱きしめて そしてひとつになって
夜でも朝でも そんなふうに笑って
変わらない 愛をくださいな。
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意味のないことを繰り返して
行ったり来たりする思いの中
帰り道にたどり着いたら 行こう
屋根を飛び越えて イメージの向こうへ
少しのまどろみ 開けたままの窓
風の形は どこか優しげに
昨日見た夢の続きを 今夜も見よう。
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僕らは見つめている明日のその先を
夕暮れの魔法で 誰も彼もが同じ切なさを
共有する街で 呼吸をするだけの魚
ふと手を伸ばせば 届きそうなのに
こんなに遠い距離に心はある
目を閉じて 数秒 息を結ぶ
手をつないだときのぬくもりも
手を離したときの寂しさも
同じように 抱きしめられたなら
きっと 離れ離れになっても
心は重ね合わせられる。
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吹き抜けのように 伽藍とした 廊下に
靴音が 鳴る セーラー服のスカーフが風になびく
忘れられたような 机の落書きと
転がった 折れたチョーク
机の 上の真っ白なノートと
窓がつくる 陰影
降りてくる陽射し
孤独さを隠して 走る校庭に
夕暮れの魔法で 誰も彼もが寂しくなる
オレンジ色の光の中で同じ色に染まる
下手くそな 日常描写の中に
ただ息をする 青春映画の主人公とヒロインは
名前もない少年と少女だった
シャッターが降りるその瞬間の刹那を
閉じ込めたような写実的世界。
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砂ぼこり舞う 道のはるか先まで
終わらない空の青と花々の緑色
地図などない旅だ コンパスなど もってのほか
ルールなどない この世界では
自分だけが唯一の道しるべ
旅は続いていく 通り過ぎた車窓の向こうに
見えない誰かの涙がこぼれて 笑顔がはちきれて
曖昧な 足取りでもあやふやな 進路でも
雲の足跡を辿り 宛もなく行くしかない
言葉を必要としない旅だ 手取り足取り生きてく
遠い山に 日が昇り 気づけばもう 日は落ちようとしてる
僕らは さまよう旅人 理由もなくただ生きる
麻酔のかわりに暇さえあれば歌ばかり歌ってる
古い壁画にあるように
歴史はいくつも積み重なって
螺旋の渦の 途中を生きてる
僕らは迷子のようだ
ああ 行き場すらないじゃないか
旅は続いていく 通り過ぎた車窓の向こうに
見えない誰かの涙がこぼれて 笑顔がはちきれて。
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ぴかぴかに輝くきれいな歌を歌おうとして
口を開いたら きれいごとしか言えなかった
愛を歌っても 夢を歌っても
きれいな歌にはならなかった
きれいな歌を歌うためには
汚れてみることだ
きれいな歌を歌うためには
傷ついてみることだ
正しくあろうとする心が 間違いを引き起こす
まっすぐ歩いてるつもりで
気づけば 道をそれている
渦を巻くテーブルの上のおやつのバームクーヘン
あんなふうになりたいな 誰かのお腹を幸せで満たして
悲しみを知って 喜びを知って
はじめて人の痛みを知った
人の痛みを知るためには自分ばかり見ないことだ
人の痛みを知るためには目に頼りすぎないことだ
目を閉じたその先にある 見えない光に気づけるかい?
優しい気持ちになる その一口が 幸せの入り口
あなたはまるであなたはまるで
バームクーヘンのようだ
正しくあろうとする心が 間違いを引き起こす
まっすぐ歩いてるつもりで
気づけば 道をそれている。
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銭湯帰りのほてった体で
僕は ゆらゆら 湯気の中を
行ったり来たりするイメージだ
アパートは海の中 海月の星が輝く
ああ 夜の怪物が 徘徊する街角に
赤い炎が 灯って 白いため息が悩ましく 煙るだけ。
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星ひとつない夜には寂しさが
はみ出してしまうよ 笑わないでね
ありふれた優しさで 簡単に満たされて
うぬぼれたように僕は笑った
見上げた 空を流れるひとすじの光
弧を描いて 落ちたのを見た
少しだけ 明日が楽しみなのは
単純に明日が晴れだから
ポケットに忍び込ませた右手
ふるえてるから 寒いのでしょうか
緩い傾斜でまどろんで 冷たい夜風に酔いしれて 数秒息をのむ
目を閉じた 暗闇にも描く光
下手くそな タッチで描いていく
プラネタリウムの真似した空に
かすかな幸せが 頬を伝う真夜中
二人の間に余計な言葉は必要ない
空いた隙間を埋めるのは
手を握るような 温もりだけが
星になって あの夜空を飾るから
見上げた 空を流れるひとすじの光
弧を描いて 落ちたのを見た
少しだけ 明日が楽しみなのは
単純に明日が晴れだから。