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どるとるの部屋  〜 新着順表示 〜


[6857] 夢見人たちの秘密基地
詩人:どるとる [投票][編集]


ざっと一週間かけて築き上げた 僕らだけの自信作の秘密基地
「僕らの七日間戦争」に憧れていた頃の傑作品

忘れられたような空き地の裏の雑木林の奥にかまえた

体がくたくたになって日が暮れるまで遊びまわった
屋根の隙間から 見える夕暮れや星空を今もおぼえている

魔法なんて使わなくても あの頃は見るもの聞こえるものすべてがあざやかだった

のぞきこむホロスコープの向こう いくつもの思い出が

万華鏡みたいに のぞきこむたび 形や色を変えて

過ぎ去った 今もあの頃と少しも変わらないままそこにあって

夢見人たちの秘密基地には天高くかかげた「青春」という 旗が揺れている

雨風に 負けるたび補強していった 直しては壊れて 壊れては直して

近所の悪ガキに壊されることしばしば そのたびに 涙をのんだよ

お菓子やジュースを飲みながら ラジオを聴いた

家出をするときはきまってこの秘密基地に集まって ささやかなストライキを起こした

あの頃の僕らには恐いものなんてなかった 仲間がいれば いくらでも強くいれた

ただ ばかみたいに笑い転げて くだらない話に花を咲かせた

缶けり 鬼ごっこ かくれんぼ やることはたくさんあった

遊ぶことに忙しくしている僕らは 多分幸せだったんだろう

僕らの心の引き出しの奥に いつからかしまってしまった思い出の話さ

追いかけても追いかけても つかまえられないほど明日は遠くて
いつまでもこうしていれると思った

のぞきこむホロスコープの向こう いくつもの思い出が

万華鏡みたいに のぞきこむたび 形や色を変えて

過ぎ去った 今もあの頃と少しも変わらないままそこにあって

夢見人たちの秘密基地には天高くかかげた「青春」という 旗が揺れている

いつの間にか僕らにはそれより大切なものが出来てしまった
だから思い出はただの思い出になった。

2015/11/21 (Sat)

[6856] 空の飛びかた
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はるか昔の人たちは空を飛ぶことを夢見たという

両腕に羽根をつけて鳥の真似をした

やがて飛行機や熱気球が発明されて
人は空に近づいた

いくら手をのばしてまも届かなかった
空がいつの間にかこんなにも容易く

手もふれそうなくらい近くにある

息を深く吸い込んで
生きてるって 感じてみよう

どんなに手をばたつかせても
空の飛びかたひとつわからない
風もつかめない僕には 空は遠い

でも だからこそ夢はどこまでも広がる

だからはるか昔の人たちは空を飛びたいと夢見たんだろう

本当に飛べてしまった人たちは 幸せなのかな。

2015/11/21 (Sat)

[6855] 調理器具のメロディ
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キッチンの大合唱

おたまやお鍋が

音を立てて バラバラのメロディが

つながって ひとつの音になる

トントン カシャカシャ

カンカン ポンポン

キコキコ ラララ

誰も知らない秘密のメロディ。

2015/11/21 (Sat)

[6854] 世界の表紙
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どこまでも終わらない 道の上に

どこまでも終わらない物語が

ページを広げているよ 青い空の表紙

どこまで続いているのかこの道は

どこまで続いているのかこの空は

ただどこまでも終わらない世界が

ページを広げているよ 見渡す限り世界だ

花は咲き 鳥は歌い

夜には星が輝き

雨が降り 陽射しは注ぎ

手を結んで 開いて

日は昇り やがて 日は沈み

朝が来れば 夜がやって来て

また次のページへ

風の向こうへ

旅立つあらすじ。

2015/11/21 (Sat)

[6853] まばたき
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思い出は 凪いだ

海のざわめき

潮風の ささやき

どれだけの言葉も

どれだけの愛も

形のない 波に

さらわれて しまう

まばたきも できないほどのこの幸せを

痛いくらいに奥歯でかみしめたい

空高く積み上げた 涙を光に変えて

空に放つ 手向けの花のように

ページをめくれば

新しい色に出会える
新しい 洋服と恋人

どれだけの季節と

どれだけの風景を

勝手気ままに

忘れてきたかなあ

息継ぎもままならないほどのこの幸せに

肩まで浸かり その熱にうかされていたい

はるかずっと先まで続く物語のあらすじ

写したみたいに 同じ空と道が続く

ワイパーが 雨を 邪魔くさそうに

しきりに 忙しそうに 退かしていく

ちっぽけな 悲しみのせいで

希望がいよいよ 底が尽きそうだ

ぼんやり 浮かんだ
今なら簡単に死ねそうだ

安易にそう思った

まばたきも できないほどのこの幸せを

痛いくらいに奥歯でかみしめたい

空高く積み上げた 涙を光に変えて

空に放つ 手向けの花のように

雲の切れ間に浮かぶ虹のかけらのように。

2015/11/19 (Thu)

[6852] 箒星
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始まりも終わりもないあやふやで曖昧な

物語の結末を知りながらも先を急ぐ

レールをつなぐように点と点を 線で結べば
ほらね形のない星も星座に生まれ変わる

双眼鏡のレンズ越し
流れた あの星は 何万年前の星かな

降るように こぼれるように

いくつもの光のしずくが

尾を引いて 流れるホウキ星

僕らの願いを 空に届けて

ささやかな 季節の贈り物

今手に入るほんの少しの奇跡

空を切り裂いて 未来を照らして

夜明けまでには 天気予報を裏切って

青空よ雨に打ち勝て

間違いも正しさもあやふやで曖昧な

模範解答なんかない世界に生きている

今日と明日をつなぐように どんなに遠い未来も
今日と同じひとつの道でつながっている

名前のない星ならば
勝手に名前をつけてやる 君の名前はきらり

降るように こぼれるように

いくつもの光のしずくが

尾を引いて 流れるホウキ星

僕らの願いを 空に届けて

ささやかな 季節の贈り物

今手に入るほんの少しの奇跡

空を切り裂いて 未来を照らして

夜明けまでには 天気予報を裏切って

雨よ青空に変われ。

2015/11/19 (Thu)

[6851] ハナビ
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ストロボで焼きつけた あの思い出

花のように 咲いては散ってく
夜空に 打ち上げられた光の閃光

まばたきをせずにごらんあそばせ
どうか その瞬間を切り取って

シャッター切るように閉じ込めるよ

鼠花火が 火花を
散らして 回る

夜店に 群がる少年
金魚すくいに夢中

振り返るその向こう
思い出す原風景は
いつでも そこにある

光り輝きながら回る
フィルムの向こう

君のうなじと 浴衣

硝子細工とフランクフルト

風鈴の音が呼び覚ます 夏休み

恋の傷痕 汗にしみるほど 美しく

藍色に 染まる

鼠花火が 火花を
散らして 回る

夜店に 群がる少年
金魚すくいに夢中

振り返るその向こう
思い出す原風景は
いつでも そこにある。

2015/11/19 (Thu)

[6850] 真珠
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アパートの窓に映る
昨日から降り続く雨
水玉模様の空

窓に描いた しずく

いくつもの雨粒が

真珠のように見えた

通りすぎる 季節に

手を振る風 ふわり

そっと撫でるように
ドアを閉めるよ

さよならを言おう

もう同じ色に染まれない
冬が来ても 春が来ても

花はきっと 咲くたびに新しい色に染まる。

2015/11/19 (Thu)

[6849] アネモネ
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ピントのずれた物語
見えてるようで見えてない節穴の目

赤とんぼ 飛び交う田舎道
友達とはぐれてしまう 夕暮れ

いつまでも もういいかいって声が山々にこだまする

誰かが言っていた 多分空耳さ

それはじんわりと手のひらを染める冬

赤茶けた屋根の上を滑るように降る雪

かじかんだ手を こすりあわせて

通りすぎていく 窓から望む原風景

いつか出会った優しい痛みのようだ

ネジの外れたタイプライター
軋みながらも 仕事だけは難なくこなす

名前をつけたよ 君のはアネモネ
分厚い辞典に挟んだタンポポの押し花

いつまでも 引き出しを閉められずに
眺めてる レンズの向こう

僕を見ているのは あの日の僕だ

楓舞う 並木道に誰かが描いた切なさ

言葉もなくただ立ち尽くすのは凩

ふいに誰かに名前を呼ばれた気がした

振り返ったときには もうあんなに遠く

手放した風船のように 雲のずっと向こう

目を閉じたまま 息をととのえて
散らかした部屋片付けて

思い出重ねた写真も消えない雨の冷たさも

誰かが この唇に残した甘い余韻も
染まってゆく ただ汚れのない純白に

それはじんわりと手のひらを染める冬

赤茶けた屋根の上を滑るように降る雪

かじかんだ手を こすりあわせて

通りすぎていく 窓から望む原風景

いつか出会った優しい痛みのようだ。

2015/11/19 (Thu)

[6848] お疲れ電車
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終電に乗る夜 真夜中をとうに過ぎて
誰かが忘れたビニール傘が寂しそうに

今にも消えそうな明かりに照らされている

電車が見えなくなるまで見送るのが
僕の小さな楽しみになっていた

改札を出ると そこは 海の底みたいに暗い

座席に 沈んで 電車に揺られて見た夢はどんな夢だろう

さっきまでのこともまるで遠い昔のような

時間の魔法で 僕は 目覚めて もう少し

あの角の向こうに
優しい家の明かり

お疲れ 電車が 今日も通ります

ガタゴト ガタゴト。

2015/11/19 (Thu)
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