詩人:どるとる | [投票][編集] |
ただ目の前に 広がる世界を愛するそれだけでいいよ
少しは 笑って 生きていけるだろう
少しは 明日からの世界を愛せるだろう
人はただひたすら歩くだけ 時間の中を
世界の終わりまで引かれた線を なぞるように
僕らは迷うこともなく 手の鳴るほうへ
雨上がりの空が描いた 虹のアーチ渡っていく
虹を染めるひとつひとつの色彩 それがこの世界染める色
僕らの命を染めるのは 何色でもない色でしょう
問いかけられてもわからないだろう
いくらページをめくっても答えは出ない
人はただひたすら埋めるだけ 空欄の中を
世界の神髄を知っているのは 誰もいないんだけど
知らないままでも僕は 僕のまま変わらない
誰かがつぶやいた言葉 積み重なって世界になる
積み上げられた昨日 今日 明日 それが僕の足跡になる
追いかけるほど遠ざかる そういうものだと誰かが笑った
僕にはわからなかったよ
雨上がりの空が描いた 虹のアーチ渡っていく
虹を染めるひとつひとつの色彩 それがこの世界染める色。
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きらめくような またとない景色を
いつか いつか あなたの心のキャンバスに描こう
忘れられたように転がる
靴の片っぽ
思い出とは記憶の片隅に放られた花
笑いながら 泣きながら日は昇っては沈む
明けては暮れる 繰り返す無限ループ
きらめくような またとない景色が
やがて やがて あなたの心を埋めつくす
いくつものその時を繰り返しては
いくつものその時がまたひとつ
夜の向こうへ 朝の向こうへ消えてく
きらめくような またとない景色を
いつか いつか あなたの心のキャンバスに描こう。
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おもちゃ箱をひっくり返して
駄々をこねる子供のように
ないものねだりで 泣くだけで
日は暮れて 気づけばこんな夜の中
回る 回る 時計の針に 引きずられ
夜は有耶無耶なままに明けてしまう
時の 観覧車は誰を乗せて行くのか
行き先なんてないんだ僕らには
ただ順番が来るのを待つだけ
誰が決めたわけでもなくそこに世界があって
動かせない生と死が 隣り合っている
そこにはただのひとつも贔屓も優遇もない
空っぽの心を満たしたくて
とりあえず手頃な何かで代用する
欲望を貪っても 悲しいだけで
夢から覚めたとき僕はそれが夢と気づく
回れ 回れ いくつもの時を越えて さあ
年老いた 旅人の墓標に花を添えるまで
代わる代わる 変わる人の波
どこに行くのか わからないまま
遠くに見えるさよならを眺めていた
誰が 神様でもなく 与えられた自由な体で 一歩ずつ 行きたい場所に近づくんだ
羽もない 僕らはひとつずつ足跡を地道に刻む
物語の片隅に 灯る明かり
いつかは誰も終わりを知る
僕の命にも終わりがある
なんとなく わかるよ はるかなこの道の先でさよならが待ってること
誰が決めたわけでもなくそこに世界があって
動かせない生と死が 隣り合っている
そこにはただのひとつも贔屓も優遇もない。
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小さな子供が 膝小僧擦りむいて泣いている
大人になると転んでも平気なのに
子供は素直だから 気持ちを隠さないんだね
何度も何度でも 転んで膝を擦りむいて
重ねてく傷跡が 固く かさぶたになった頃
人は大人になる
きっと そんなふうに 人の痛みを 知っていくんだね
人に教えてもらわなくても わかるんだよ
だから転んだ人を指差して笑うような人にはならない
僕にはその痛みがわかるから
大人には大したことのない傷跡も
子供には大けがみたいに思うんだろう
素直なもんだから子供は泣くんだけど
大人にはそれが大げさに思うんだろう
どうして泣くのか わからないんだ
傷跡は見た目には わからない たくさんの ドラマを 隠し持ってる
きっと そんなふうに泣くのが 子供の仕事なんだね
大人に忘れてること 教えているんだよ
だから 子供の目は 澄んだ目をしてる
実に素直に感情を表に出すから やるせなくて
嘘ばかりの自分が 恥ずかしくなって見ていられないんだ
君は鏡のようだ 僕の心を映すから
見せないでよ 忘れたはずの素直な心
きっと そんなふうに 人の痛みを 知っていくんだね
人に教えてもらわなくても わかるんだよ
だから転んだ人を指差して笑うような人にはならない
僕にはその痛みがわかるから
心にできたかさぶたひとつ 数えてみたら
もう数えきれないほど こんなにたくさん
そのかさぶたの数だけ心は大人になるんだろう。
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僕らを隔てる距離には小さな隙間があるよ
それは他人という距離だよ
けして埋められない距離だよ
だけど そんな距離さえ
僕らは 関係なく 気にもせずに
心の距離で埋めてしまう
つながってる 君も僕も見えないリボンで結ばれている
世界に結ばれてる けしてほどけない結び目
それは 目には見えない結び目
そして誰にもほどけない結び目
誰がいつ結んだのかわからない ただ誰かと誰かの間に関係が出来たときから
つなげている 他人と他人を 見えないリボンで結んでいる
何百何十何千もの 結び目が誰かと誰かをつなげる
ずっと先の未来でもリボンは誰かと誰かをつなげる
すべてが 正しいと言うことはないけど
人と人の間にある距離はなくならないから
その隙間に 橋を渡すように
心が行き来ができるように
雨は降るよ 君と僕の間に
埋められない隙間にも
愛し合う人の隙間にも
憎み合う人の隙間にも
同じように 変わらない雨が
約束されていたように 僕は君を 君は僕を
もっと知りたくって 近づいて 見つめ合って
知りたくなかったこともあったけど
いつの間にか 前よりずっと君を 知っていた
君を好きになっていた。
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地球をお皿の上に乗せて いただきます
命さえ その器用な指先で弄んでしまう
いわばそれは フォークとナイフの関係によく似ている
僕はフォークで 世界はナイフで
僕は所詮 歯止めでしかない
如何様にも切り刻める その権利はすべて世界にある
量りにかけて 命を比べっこしてみる
命を計る物差しなんかあるはずないのに
人間の尊厳を無視してまで人のすべてを紐解くのか
僕はフォークのままでいいよ このまま
誰かを支えられるために生きれるなら
微かな 力で 影から世の中を支える役目に喜んで徹しよう
自由を与えられているのが唯一の救いだ
何を差し置いても 悲しみがあるのが 唯一の救いだ
茶番は続くよ おもちゃの剣と盾で
争いあう 滑稽な舞台で今日も
国と国とが 幼稚なケンカをしている
神様がいなかったことが 唯一の救いだ
人間の心が すべて悪に傾かなかったことが唯一の救いだ
僕が僕であることが
君が君であることが
二人が違う人間だということが一番の救いだ
お互いにナイフじゃなかったことが何よりの救いだ。
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よーいドンの合図もないけど
生まれたその瞬間から走り出した
君はランナーさ 誰かと競っている
そういうわけじゃないけど
バトンを明日の自分に渡す役目を担う
誰かの為に 生きているなんて
嘘をつきながら 流したくもない汗を流してる
きれいごとだけならきれいに聞こえる
「愛してる」
「誰もが誰かとつながって生きている
誰もが誰かに支えられながら生きてる」
それだけは本当だからありがとうって
そっけなく背中でつぶやいたら
また 走り出す 誰かのどういたしましてが背中越し聞こえる
人は強いけど 反面弱い
脆い心はすぐに「あきらめ」にすがりつく
君は自分が何者なのかさえわからない
だからとりあえずらしく振る舞う
くすぐったい 言葉も時にはほしいなあ
勝手だろう?
誰かのために生きている
そんなきれいごともたまには言ってみたいよ
明日に向かうその途中で 僕はなんとなく立ち止まって
生きている幸せをかみしめて
生きている悲しみに打ちひしがれる
雨が降っては晴れる その繰り返しの先
新しい今日に出会えたらいいなあ
口笛をひとつ吹き鳴らせば どこかでひぐらしの鳴き声
どんな今も抱きしめて 受け止めて
苦いのを我慢して飲み干した その底に光る夢
「誰もが誰かとつながって生きている
誰もが誰かに支えられながら生きてる」
それだけは本当だからありがとうって
そっけなく背中でつぶやいたら
また 走り出す 誰かのどういたしましてが背中越し聞こえる
だから 僕はまた頑張れる
だから 君もまた頑張れる。
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ぼやけたあたまで何を見つめてるの
変わり映えしない景色 行ったり来たりする景色
窓の外には 巡る季節が
通りを横切る 懐かしい風
誰かを そっと包むのに
風鈴の音色が かすかに記憶のかなたで
聞こえた気がした真夜中
枕を濡らして 朝を待つ
きのう見た夢の続きは
もう二度と見れない だろう 多分 それは通り雨
思い出の影が 揺れるのさ 誰かの胸の奥で 花を散らすように
微笑んだその口元に差す影は さよならをはらんでる
追いかける きのうの逃げるそのあとを
まぶたの裏の あの駅の小さなベンチのその隅に
思い出の影は 跡形もなく ただそこにある世界を縁取って
忘れられたようにたたずんでる 胸の片隅にくすぶる。
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覚えているかな 君が生まれたときのこと
あの日、君をはじめて抱いた日のこと
あどけない笑顔で僕の指をつかんでいた
小さな君の手が 僕の心までもつかんだんだ
特別なことは何も起こらないけれど
ただどこまでもまっすぐでなだらかな道を歩く 僕らがいるだけ
君が笑ってたら 僕だって笑いたくて
君が泣いてたら 僕も悲しくなって
心と心が繋がってるって 君が教えてくれるんだ
穏やかな春の陽射しのような あたたかい気持ちで やさしいうた 歌うように
僕は君に今日も笑いかけるよ
増えていく君とのたくさんの思い出
日々、いろんなことがあるもんだね
季節の中をゆっくり歩いているつもりでも
いつの間にか時間は君を大人にするだろう
どれだけの時間とどれだけの季節が巡っても 変わらないよ
僕が君に抱く思いはずっと変わらない
君が愛する誰かを見つけたなら
僕も君と同じようにその人を好きになろう
さよならの時はそう遅くはない いつまでも一緒にはいられない
ウェディングドレスを着た君が 早く見てみたい 悲しい気持ちとうれしい気持ちが僕を包み込んでく
それでも僕は君に幸せになってほしい
あの日 君と二人で肩車して 歩いた桜並木 まだ、君は小さくて 悪戯なその背中を叱ったりもしたけど
今はもう こんなに大きな背中になったね
君が笑ってたら 僕だって笑いたくて
君が泣いてたら 僕も悲しくなって
心と心が繋がってるって 君が教えてくれるんだ
穏やかな春の陽射しのような あたたかい気持ちで やさしいうた 歌うように
君は僕に愛の歌を歌っている
やさしいうたを歌っている。