詩人:どるとる | [投票][編集] |
ざあざあと 押し寄せる波音遠く
灯台の明かりが 指し示す先には 浮かぶ白い舟
夜の海は ただ闇を抱きしめたまま
誰かの 閉じた瞼の裏の世界のように
じっと朝を待っている。
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目が見えない人は
目のかわりに
心で 相手を見つめる
耳が聴こえない人も
耳のかわりに
心で 思いを読み取る
心があれば そこにある風のささやきや草花の息づかいに気づくことができる
目や耳を頼らなければいけない理由はどこにもない
わたしはあなたの見つめる景色
わたしはあなたの聴いてる音色
そしてあなたはわたしの中で
わたしというただひとつの世界になる
そんな気がする
足の歩けない人は
足のかわりに
本の中で歩けばいい
手が不自由な人は
手のかわりに
口で絵を描いている
頭働かせて いくら考えてみても 世界は広くて 考えるうちにいやになる
だから心の中で わたしがわたしとお話するんだ
あなたはわたしが見つけた居場所
あなたはわたしの愛する人
いつかわたしはあなたの中に
わたしと同じ気持ちを見つけたよ
それがわたしの
一番好きなわたし
あなたを愛して はじめて自分が好きになれた
あなたに愛されている自分が 愛おしいのは
あなたがわたしを 愛してくれるから
わたしはあなたの見つめる景色
わたしはあなたの聴いてる音色
そしてあなたはわたしの中で
わたしというただひとつの世界になる
そんな気がする。
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近未来。死刑ではあまりに甘いという意見が国民の大半から出たため、国は極秘に開発していた輪廻転生機を使って犯罪者を小さな虫や動物に永遠に転生させて生き地獄を与える。つまり何度生まれようが自然の摂理や脅威にさらさせて永遠に生と死を繰り返させる刑を死刑を廃止するかわりに制定した。
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他社とのコミュニケーション能力の欠如が問題視されている中、政府はコミュニケーションによる無駄な争いや事件や事故を懸念し、コミュニケーションをとらなくてもコミュニケーションをしたのと同じ気持ちになれる会話できる機械を作った。
思考する機械は売れに売れた。会話する必要がなくなった社会では人との会話はすべて機械を通して行われるので生活のすべては機械中心に行われる。
だがどんなに機械が発達しようと血の通わない機械とする会話はやはり退屈で機械はこちらに都合のいいことばかりを言い、喧嘩などする必要もする要因もなくなったがそれがぎゃくに苛立ちを募らせた。やがて機械は次々に廃棄処分にされ暴動が起こりやがて小さな国はあっという間に滅んだ。
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人はなんにでも名前をつける。
人には人の名前、動物には動物の名前があり食べ物には食べ物の名前がある。
子供のエフ氏がただひとつだけ名前がわからないものがあった。
それは我々の生活にはなくてはならないものだと大人は言う。それなのにそれには名前がない。
大人はそれをなんの躊躇もなく使い、あろうことか身につけるという。材質はざらざらしていて伸縮性があり使い方としては肌につける代物らしい。一体なにに使う代物なのか
子供のエフ氏には到底わからない。
ただ大人はこれをある大事な時にだけ使う。そう言うだけであとは頑なにその名を子供たちには伝えないものだ。
きっと素晴らしい使い道があるに違いない。大人は大人になればわかると言っているから大人になるのがエフ氏も楽しみだ。
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ある国の工場で働くY氏。この工場がなにを作ってるのかはわからない。位の低い我々はただただ運ばれてくるものを流すだけだ。
ある日、思った。隣の工程はなにをやっているのか、ここから出たことのないYは知りたくなり工場が稼働していない時間を狙って隣の工程へと行ってみる。
すると、たくさんの自分そっくりのロボットが並んでいた。
その途端、暗かった工場に電気がつき、見たこともない白衣を着た人間がやってきてこう言った。
「カンペキなプログラムだ。明らかに自分を人間だと思い込んでいる。ついに完成しました。心を持つロボットの完成です」
その途端、Y氏は目の前が暗くなった。意識がなくなる前に博士は言った。
「死に際も人間らしい。どうやら回路がショートしたようですな。人間でいうところのショックってやつでしょう」
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Kのおばあさんが昔からずっと大事にしていた指輪がある。指輪は高価なもので売れば相当なお金になることがわかる。
やがて時が経っておばあさんは死に、遺品を整理していたらその指輪を見つけた。もらおうと思って指輪に手をかけた瞬間、指輪がいきなり光って音声が聞こえた。
「がちゃピー、聞こえますか?聞こえますか?M8星雲モア星です。おばあさんに八十年指輪を預かってもらったのですが、それを条件にお金を渡す約束をしたのですがどうやらおばあさんは亡くなってしまったようですね。かわりにお孫さんのあなたにお礼を贈ります。」
すると指輪はひときわ強い光を放って瞬時に消えてしまった。
かわりに米粒ほどの何かがあった。
よく目を凝らすとそれは小さな小さなおもちゃのような札束だった。
どうやらモア星人は小さな種族でその体のサイズに合ったお金らしい。
しかしこれではこの星では到底使えない。Kは残念そうに肩を落とした。
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男は大金と引き換えにある荷物をあずかる。荷物は大きな箱。だが、条件があって荷物を絶対に開けてはならないと約束させられる。しかし男は我慢ができず開けてしまう。箱を開けると中にはまた箱があり、その箱を開けるとまた箱がある。 箱は開けるたびに小さくなり、最後の箱を開けると自分そっくりの小さな人間がいる。するといきなり屋根が開いて、自分が上から覗きこんでいる。
そして自分そっくりの小さな人間に手を伸ばすと上から覗き込んでいる大きな自分が自分に向かって今まさに手を伸ばすところだった。
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ある男が会社に行きたくなくて仮病を使った。心配した男の母親は男に医者に診てもらうように言った。仮病なのにと医者に診てもらうと医者はペポラ病という最近発見された新種の病気の病だと聞かされる。男は信じなかったが、ペポラ病の患者は末期になると周りの人間の言葉の語尾に必ずペポと聞こえてしまうと言われた。医者の言うように母親や父親友人までもすべての人間がペポと語尾につけて話して聞こえる。もう終わりだと思った頃、新薬が開発されたと医者は言って新薬を男に投与した。すると周りの人間は語尾にペポとつけて話しているように聞こえなくなり、病気が完治したと思った男は人が変わったように真面目に働くようになった。
久々に会社に行く男を見送る母親はポケットから新薬と言われた薬を取り出し口に運んだ。 母親は一言、「甘い」とつぶやいた。
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神を信じない男と神を信じる男がいた。 神を信じない男は神がいるなら見せてみろと言った。では神にあなたに天罰を与えるようにとお願いすると言われた。その日から神を信じない男に良くないことばかり起きる。 さすがに参った男は神を信じる男に神にもう天罰を与えるのはやめてくれと言うと神を信じる男はこう言った。 「それは無理だよ、だってあなたにとっての神様はこの世にはいないからね」