詩人:どるとる | [投票][編集] |
私が私でいる意味はどこにあるのだろう
知っているなら教えてほしいよ
私は私が一番わからない
私は私が一番解せないのです
世界はただ、それをそれとしか教えてくれないから
僕はそれがそれである意味を知りたいのさ
私が私という名前で
ここにいるのはわかる
だけれどなんのために私は私なのか
どうして私は私と私にわからせられるのか
それがいつまでもわからない
それだけがずっとわからない
私が私のために私を殺さずに生かす
今日と同じ景色の明日で
私はまた何度でも私になる
だけどまた何度でも私は私を見失う
他人は自分を映す鏡というけれど 私は他人を映しているのか
私の鏡は ひどく錆びついている
私が私という名前じゃなくても私は私なのにそれじゃ私じゃない
私とあなた そしてあなたと私
人が変われば私が変わる
私がほかの私になれないように
私が私という名前で
ここにいるのはわかる
だけれどなんのために私は私なのか
どうして私は私と私にわからせられるのか
それがいつまでもわからない
それだけがずっとわからない
だから私は私でも
私とはかぎらない。
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僕は目を閉じて
ただ 呼吸を合わせて
吸い込んだ息を吐き出す
世界は遠ざかったり近づいたりする
光のない夜にも
闇を抱いた朝にも
命は懸命に
この世界を駆け抜ける
何もない 今日の日のありふれた当たり前を
見つめていよう 愛すとしよう
精一杯の心で
街は時計をしている
夜明けに待ち合わせて
太陽が昇れば 目を覚ます
繰り返しは繰り返される
出口のない今日も
迷い悩む明日も
傷だらけの体で
全てと向き合っている
ただどこまでも青く果てしない世界は
まるで若さを手放せない僕のよう
不完全な完成形
早足になったり
途中で立ち止まったりする旅は
まだもうしばらく続く
物語の次のページがめくれている
何もない 今日の日のありふれた当たり前を
見つめていよう 愛すとしよう
精一杯の心で。
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今日が昨日と何ら変わらないと思うのは
自分の昨日や今日しか知らないから
昨日死んだ人や今日死ぬ人のことを知らなければ 誰も笑っていれるのに
僕の知らない今日を知ってるあなたは
僕の知らない世界を生きている
僕の知らない世界を見つめてる
僕にはわからない 痛みや悲しみが
僕の知らないあなたの世界を濡らしたなら
今日はあなたにとって一番苦しい日だ
今日はあなたにとって一番悲しい日だ
他人と自分が見てる世界を同じだと
思うのは自分の世界しか見えてないから
昨日は当たり前だったはずの世界が 途端に崩れ去った時
僕は僕の知らない今日を知るだろう
でもあなたには僕の見てる世界は見えない
だから誰も 他人の見てる世界には入り込めない
僕には 見えない 僕の見てる世界しか
僕の今日は晴れだけどあなたの今日は晴れですか?
今日はあなたにとってどんな日ですか?
明日はあなたにとってどんな日だろうか
僕の知らない今日を知ってるあなたは
僕の知らない世界を生きている
僕の知らない世界を見つめてる
僕にはわからない 痛みや悲しみが
僕の知らないあなたの世界を濡らしたなら
今日はあなたにとって一番苦しい日だ
今日はあなたにとって一番悲しい日だ
一番忘れられない
思い出深い日になるだろう そう願いたい。
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見えないものをつかんだとしたらてざわりは心にのみ届く
透明なそれを あるはずもないそれを
確かにしている 僕らの感覚
第六感が 働けば
ないものもある世界
第六感が 冴え渡れば
見えないものも
聴こえないものも
ある世界 ある世界。
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ひとつの大きなテーブルを囲むように
たくさんの命がたくさんの物語を読む
そこにある 朝や夜は
テーブルに並べられた前菜に過ぎない
もう しばらく 生きられそうだから
もう しばらく 泣こう 笑おう 戯れよう
色のない あざやかな陽射しが 僕を射抜けば
朝はすぐそこに
光を光に変えて
無を有に変えて
世界をつくる
何もない 場所に
感情を 組み立てる
嘘が本当になる
そしてまた始まる
いつもどおりの朝。
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そして僕は目を閉じて世界を遮る
それで逃げきったつもりだった
だけど僕の閉じた瞼の向こうには
変わらず忙しい世界があるんだろう
知っているよ だからこそわずかでも
世界から距離を置くために
悪あがきのまばたきを繰り返すんだ
暗闇の中に佇んで
見えるはずもない光を探している
重ねていく 時と時
すれ違うような命は死と隣り合わせ
僕はただ、何も知らないふりで 今日を通り過ぎていく
隔てるものなんて本当は何もない
全て僕がつくったイメージだ
見つめる先に 確かにあるものを
それと認識させるものはなんだろう
わからないことがわからないんだ
最初から解けない謎を抱えている
嘘で隠れた世界に もういたくない
夜なんかより 海の底よりずっと暗い
明日を知っている
変わりゆくもの そして変わらないもの
その狭間で呼吸する
僕らには何も知らされていない 無意味の意味があるなら
このまばたきひとつにも意味はあるのだろうか
瞬間、遮られる世界が 次の瞬間にはもう違う世界なら
僕も違う僕だろう
暗闇の中に佇んで
見えるはずもない光を探している
重ねていく 時と時
すれ違うような命は死と隣り合わせ
僕はただ、何も知らないふりで 今日を通り過ぎていく
僕はただ生きる それだけしか出来ない
物語の終わりまで
そして僕はまた何度でも同じ場所に戻る
今日という場所でまた今日を待つのさ。
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たったひとつの命を
たったひとつの命が
生み出し育む
そんな波のような繰り返しの中
たったひとりの私と
たったひとりのあなたが
恋をして愛し合い
そして生まれるたったひとりの人
何度でも何度でも寄せては返しながら
浜辺へと流れてく小さな貝殻
また時が流れて 波にのまれていく
ひとりにひとつ与えられている命
それは思うよりもかけがえのない命
君はこの世にひとり
僕もこの世にひとり
それは思うよりも
すてきなことだろう
すてきなことだろう
たったひとつの命が
たったひとつの命に
重なり合えばまたひとつの命になる
たったひとりの私も
たったひとりのあなたも
たったひとつの世界の中のたったひとり
何度でも何度でも 行っては来て
長い旅から帰った旅人は命を持ち帰る
ひとりにひとつ 許されている時間
それは誰にも等しく同じだけの時間
少しだけ遅かったり
少しだけ早かったり
すれ違うけれど
誰のせいにも出来ない
なんのせいにも出来ない
たとえば 沈む夕日を見つめる瞳の中に
たとえば 誰かとつなぐ手のぬくもりの中に
たとえば こうして 歌を歌う声の中に
目には見えない暗闇の中耳にも聞こえないような無音の中に
それはそっと紛れているんだろう
ありふれたひとつだけを僕らはひとつだけ持っている
ひとりにひとつ与えられている命
それは思うよりもかけがえのない命
君はこの世にひとり
僕もこの世にひとり
それは思うよりも
すてきなことだろう
すてきなことだろう
僕はいつまでも忘れないだろう
たったひとつの命が燃え尽きても
残されたたったひとりの誰かが
僕の命を 覚えててくれるのなら。
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ねえ 折り紙の色のついてない白い裏側は
どうして白いのかわかるかい
思うにね それは人の命のよう 僕らはそれぞれ違うけど
人間というところでは何ひとつ変わらない
同じだ
だから折り紙も裏を返せばみんな折り紙だから白いんだよ
戯れにつくった 私の両手で
ほらね 折り鶴ひとつ 今にも飛びそうさ
青い空を 優雅に飛ぶだろう
自由は不自由の中に 不自由は自由の中に
なんとなく 意味など無いと思いこんでいる全てが意味のあることだ
そうさ 僕ら人間ももとを正せば みんな人間だから 違わないんだよ
偶然に生まれた 命はあなたという形の
この世にただひとつのあなたという名前
夢の後先へ 物語の終わりへ
悲しみは喜びの中に 喜びは悲しみの中に
わがままに 分けている 命には本当は どんな色でも同じ色なのさ
戯れにつくった 私の両手で
ほらね 折り鶴ひとつ 今にも飛びそうさ
青い空を 優雅に飛ぶだろう
自由は不自由の中に 不自由は自由の中に
なんとなく 意味など無いと思いこんでいる全てが意味のあることだ
だから誰かが 誰かを差別する理由がわからない
僕には全て同じきれいな花にしか見えないから。
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人は未来へ 向かって歩いていく そんな生き物だ
いつも前を向いて 空を見上げて 生きられない
でもなるべく前を向くように努力している
口笛を吹き鳴らすのは
おどけたように意味もなく笑うのは
どうにもならない今を ごまかしたいからに他ならないけど
それをただ 「逃げ」なんて言わないでほしい
ひとつだけ 未来に持っていけるものが
あるとしたらそれは小さな小さな箱ひとつ
夢という名前の見えないものをたくさん詰め込んだ 未来という名前の箱
開けるのは まだだよ
鍵をかけておこう
叶わなかったときのために「諦め」という保険をかけて
地団駄を踏んだり
子供みたく駄々をこねたりするのは
変わらない自分に
嫌気がさすからに違いないけど
それをただ「ばか」の一言で片付けないでほしい
開けるなら今 君の勇気が必要だよ 叶わなくても叶ってもそれがあなたのつかんだ未来
文句や言っても後悔をしても もう遅いからね 何も言わずに受け入れよう
ひとつだけ 未来に持っていけるものが
あるとしたらそれは小さな小さな箱ひとつ
夢という名前の見えないものをたくさん詰め込んだ 未来という名前の箱
子供から大人になった今
開けようか 紐解くのさ 僕がここにいる本当の意味を。
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楽しいだけの絵本を子供に読ませてはいけないよ
血に染まってない絵本を子供に読ませてはいけないよ
命が 関わらない 絵本を子供に読み聞かせてはいけないよ
死体を見て「恐い」と思う気持ちや
「気持ち悪い」と思う気持ちを
抱かせながら 教え込みながら
小さな体躯のおまえを少しずつ ねじ曲げてやる
他人の痛みは 己の痛みをもって 知りなさい
光を求めるなら暗闇の中を歩く 勇気を持ちなさい
手を振り 歩いていこう
血の流れる様を 隠そうとする世の中を許すな
本当に子供たちが学ぶべきは
お利口な勉学ではなくて 計算出来ない心や魂のかたち
愉快なだけの物語を子供に見せてはいけないよ
世界には戦争もいじめもあるって 嘘をつかずに
親が自分の声でちゃんと世の中の有り様を話さなきゃ
どうして人が人を殺めてはいけないのか
殺めたとこで得られるものはない
そういうことも わからせなきゃ
正しさだけを 信じようとする 人に育てないで
他人の痛みは 己の痛みを通してでしかわからない
傷の深さや罪の重さ軽さで全てを決めるな
血の雨に濡れながら 行こう
きれいごとまみれの世の中を 鼻で笑え
光の中はさそがしあったかいだろう
だが、ぬるま湯から出てたまには
冷たい風に からだを晒せよ
あって 困るようなものでなければ
ずっとそのまま 我が身となれ
だけどいつしか生まれた「それ」は親不知のように
やがて、あなたをもどかしさで包むよ
だから さよならをしよう そのあまい心に
手を振り 歩いていこう
血の流れる様を 隠そうとする世の中を許すな
本当に子供たちが学ぶべきは
お利口な勉学ではなくて 計算出来ない心や魂のかたち
血の雨に濡れながら 行こう
きれいごとまみれの世の中を 鼻で笑え
光の中はさそがしあったかいだろう
だが、ぬるま湯から出てたまには
冷たい風に からだを晒せよ。