詩人:どるとる | [投票][編集] |
覚えているかな 君が生まれたときのこと
あの日、君をはじめて抱いた日のこと
あどけない笑顔で僕の指をつかんでいた
小さな君の手が 僕の心までもつかんだんだ
特別なことは何も起こらないけれど
ただどこまでもまっすぐでなだらかな道を歩く 僕らがいるだけ
君が笑ってたら 僕だって笑いたくて
君が泣いてたら 僕も悲しくなって
心と心が繋がってるって 君が教えてくれるんだ
穏やかな春の陽射しのような あたたかい気持ちで やさしいうた 歌うように
僕は君に今日も笑いかけるよ
増えていく君とのたくさんの思い出
日々、いろんなことがあるもんだね
季節の中をゆっくり歩いているつもりでも
いつの間にか時間は君を大人にするだろう
どれだけの時間とどれだけの季節が巡っても 変わらないよ
僕が君に抱く思いはずっと変わらない
君が愛する誰かを見つけたなら
僕も君と同じようにその人を好きになろう
さよならの時はそう遅くはない いつまでも一緒にはいられない
ウェディングドレスを着た君が 早く見てみたい 悲しい気持ちとうれしい気持ちが僕を包み込んでく
それでも僕は君に幸せになってほしい
あの日 君と二人で肩車して 歩いた桜並木 まだ、君は小さくて 悪戯なその背中を叱ったりもしたけど
今はもう こんなに大きな背中になったね
君が笑ってたら 僕だって笑いたくて
君が泣いてたら 僕も悲しくなって
心と心が繋がってるって 君が教えてくれるんだ
穏やかな春の陽射しのような あたたかい気持ちで やさしいうた 歌うように
君は僕に愛の歌を歌っている
やさしいうたを歌っている。
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あなたには 見えるだろうか
人が抱える傷跡が
目に見える傷跡ならばまだ浅いほうだよ
あなたには 聴こえるだろうか
声にならない助けてが
よく周りに注意しないとわからないままだよ
流れる人波の中 平気で困ってる人のそばを素通りしてる僕らは本当に心ある人か
本当に本当の 悲しみは目には見えない
だからだから そばにいる誰かが
目を凝らして 見つけるんだよ
その人の 抱えている深い深い傷跡を
そして、できる限りのことを 気休めでもいいからするんだ
あなたには 出来ることがある
何も出来ないんじゃなくて本当は何もしないだけだ
あなたと僕を比べてみても
違う人だからそりゃ分かり合えない だけど必ず役目がある
降り続く雨の中 傘も差せずに まともに悲しみを浴びてるような僕らなら人の痛みに気づけるさ
本当に本当の幸せは目には見えない位
ちっぽけなことだったりするだろう
それと同じように悲しみっていうのも
とても小さくて気づけないものだから
時折見過ごしてしまうよ だから誰かの涙のそばにそっと寄り添って 生きなさい
自分だって誰かの助けを知らないうちに借りているんだ
だから全然知らない他人だって 困ってる人がいたなら力になって
ありがとうのひとつももらえずとも見返り気にせずただ心の動くままに人と向き合えたら
きっとあなたの心はまた一歩また一歩と大きくりっぱに育つだろう
だから今日も誰かの涙のそばに。
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ひとりでまともにこの世界を歩くことも出来ない僕には
自分のことや誰かのことを愛すことの出来ない僕には
まだいろんなことが未熟だから
どれから手をつけていいのかわからない
なんとなく 立ち尽くした夜の中
手探りしてる 昨日の自分の抜け殻抱えたまま
ひと皮剥けずに まだ青くさい逸物を
引きずったまま 心も体も大人になれない
童貞なんです
何が正しくて何が悪いかより それを選べる人とか
誰かのこと 傷つけてもあとになって後悔出来る人や
こんなんじゃ駄目だって思ったり
自分を 叩ける 人になりたいと思う
さり気なく 入り浸る優しさの中
手を伸ばせば いつでも僕を心配する人がいてくれる
自分という殻を破れ
大人になるってことは前に進むことだ
一歩ずつでいい 諦めることを諦めよう
ひと皮剥けずに まだ青くさい逸物を
引きずったまま 心も体も大人になれない
童貞なんです
ひと皮もふた皮も 剥けばいいじゃないか
中途半端な 大人なんて大人とは呼べない
だから僕は童貞はやめた 童貞はやめた。
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跡形もなく 消える命に意味なんかいりません
どうせいつかは 何もかも影さえ残さず消えるなら
どうせどうせと繰り返す僕らはいつもあきらめた顔で
生きているという現実からも背中向けて逃げてる
名前なんかいるのかなあ
ただの悲しみや喜びや愛に
そもそもこのわからない世界に
ほつれていく ほどけていく
ほころんでいく物語の途中に生まれた
名もない命の生き様に 興味など無い
毛糸玉のよう 限りある猶予の中で生かされて
ここにある命さえも影を見なければ 信じることさえ危うい
どうせどうせと繰り返す僕らはいつも投げやりで
自分の命にさえも向き合えず己の存在を 宙に浮かせている
変わらないこと 変わってゆくこと
ただの ひとつの存在にも付加価値がある
薄らいでいく色あせていく
忘れられていく記憶の中わずかに灯る思い出
肌身はなさず抱きしめる
見えないままの明日
見上げた空は悩みを深めていく
途方もない 旅路の果てに たとえば続きがあるのなら
終わりも 悲しいだけでは無いはずだ
名前なんかいるのかなあ
ただの悲しみや喜びや愛に
そもそもこのわからない世界に
ほつれていく ほどけていく
ほころんでいく物語の途中に生まれた
名もない命の生き様に 興味など無い。
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光の中に 光を隠すように
影の中に 影を隠すように
孤独の中に 身を置いて
寂しさの中に 寂しさを隠してる
ねえ 生きていくことの喜びを知るには
生きていく苦しみや辛さを知らなければ
見えないままだよ
痛みを堪えて 僕は
いくつもの夜を飛び越えて 必ず朝にたどり着く
それは容易なことじゃない 苦しまずには生きられない だからせめて
悲しみしかないと
希望の見えない僕に明日をください。
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何もない いつもの朝
やることもないから
ずっと あくびしている
なんとなく 誰かを思ったりもする
心の中に出来た少しの余裕で 油断しては傷ついてる
ここから見える眺めはただ ありきたりで
つまらない だけどいつも僕に変わらぬ安らぎをくれる
ただ 夜が 朝になって
朝が 夜になる その繰り返しの中で
人は いつか 消えていく
それだけのことなのにそれだけのことがこんなにうれしくて
悲しいのはなぜなんだろう
ページを捲るのはいたずらな風の仕業さ
命はただ運命にもてあそばれながら
その哀しみを ごまかすように僕らは
あくびするように 悲しくないふりをする
描いている 画用紙には
色の塗られてない今日が
胸の片隅に 放られてる
なんとなく 昔を振り返ったりして
柄にもなく涙ぐんで 届くはずもない空に手を伸ばした
持っているだけの愛で或いは優しさで
つまらない この世界を君と塗り替えていくくらいは出来そうだ
ただ 今日が明日になって
明日が明後日になるだけ 過去と未来は一本の道でつながってる
昨日が今日になったみたいに
今日がはるかな明日まで続いている
そしてもう引き返せない道を僕らは歩く
ふとわけもなく笑ったりするのは
その場しのぎのごまかしなんかじゃない
君がくれた 愛にこたえているのさ
雨上がり 雲の隙間から差す光
逃さぬように つかまえようその両手で
ページを捲るのはいたずらな風の仕業さ
命はただ運命にもてあそばれながら
その哀しみを ごまかすように僕らは
あくびするように 悲しくないふりをする
上書きするように 涙を笑顔で塗りつぶす。
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孤独の中にいるうちに 人の心が見えなくなってしまったのか
誰かの涙を見ても心が痛まないよ
それは惨たらしい朝のニュースを
見飽きてしまったから
或いは見慣れてしまったからなのか
喩えば僕が 無関心に誰かを傷つけても
痛みが伝わらなければ何もわからない
人の痛みを 見るためには心を通して
見えないものを見つめなきゃいけないのに
心が 汚れてしまったら もう何も見えない
目を開けたままじゃこの世界は見えないものばかりだ
暗闇の中に目を凝らせば 見えてくる
光のない世界にも朝はやって来る
通り過ぎる日々の中 遠ざかる今日が
思い出という形で心に刻まれるなら
意味は確かにあるのだろう
けして 無意味なんかじゃ無いはずだ
喩えば 泡のようふいに生まれて ふいに消える命 そのすべてに全神経を注ぐ
人の痛みに気付くためには 自分の痛みに気付くことがどうやら先らしい
汚れた心は 涙で洗われて 隠れた傷跡が見えたら
ほらね不思議 見えないものも感じることでここにある
そばにあるもの 影が無ければ
何ひとつ確かに出来ない
だけど僕らには見えないものも見たのと同じように
感じることが出来る心がある
人の痛みを 見るためには心を通して
見えないものを見つめなきゃいけないのに
心が 汚れてしまったら もう何も見えない
目が役に立たない時には 心の視野で世界を見渡す。
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喩えば この世界が一枚の画用紙として
一人一人の存在がその一枚の画用紙に
描かれた絵だとしたらどうだろう
僕らは どんな絵なんだろう
空のような 海のような 花のような
そんな絵になれるだろうか
「わからないすべて」に確かな答えを出すのは難しい
だから僕らは 絵を描いて見えないすべてに想像という世界を与えた
見えないから無いんじゃなくって
聴こえないから無いんじゃなくって
見ようとしないから無いように見える
聴こうとしないから何も聴こえない
ただそれだけだって気付いただけで
不確かだった世界は途端に色づいてく
だから僕は まだ真っ白な画用紙に
自分という 絵を描く
自分という 絵を描く
喩えば この世界は宇宙の中のたったひとつ
数多ある星の中のちっぽけな惑星さ
たくさんの人々の営みが見える惑星さ
僕らはいつか 夢や幻のように 消えてしまうけど
それでも消えない何かを 残すことが出来るんだ
存在しないものや 形を持たないすべてに
命を吹き込むのは心 僕らの気持ちや思いだって 無いのにここにある
ふれられないから 無いんじゃなくって
味わえないから 無いんじゃなくって
ふれようとしないから無いように思う
手応えがないから 無いと思い込む
でも無いものの輪郭をなぞるのは
心という同じように見えないものだろう
人は知っている心のありかを
心が心を絵に描く
心が心を絵に描く
見えないから無いんじゃなくって
聴こえないから無いんじゃなくって
見ようとしないから無いように見える
聴こうとしないから何も聴こえない
ただそれだけだって気付いただけで
不確かだった世界は途端に色づいてく
だから僕は まだ真っ白な画用紙に
自分という 絵を描く
自分という 絵を描く。
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知り得た知識を
蓄えた頭で
試行錯誤しても
わからない心がある
頭は心を追い越せない
そういうふうに出来ているこの世界は
木星のようにただ 闇の中に佇んだまま
回る 季節を ただ無表情に眺めている
それだけで 悲しい
それだけで うれしい
いつか果てる命を抱えた体は血を浴びて
今日も 誰かのぬくもりにそっと微笑む
それだけで 幸せ
それだけで いいんだ
木星のようにただ 闇の中に佇んだまま
回る 季節を ただ無表情に眺めている
それだけで 悲しい
それだけで うれしい。
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今日を生きる私は
明日を生きる私には
会えないよ
だって明日の私は
今日の私にはなれない
悲しみの中 喜びの中 すれ違うように
表情を変えながら
移ろう季節を旅する僕らは さまよい舟
明日の私は 今日の私にはないものを
たくさん持っているかなあ
明日の私が 今日の私にそっとつぶやいた
幸せになってねってバトンを渡す
そしてまた走り出すのは明日の私。