詩人:どるとる | [投票][編集] |
パレットの中、黒はつぶやくんだ
僕は何色にも染まれない色だと
でも白が言うよ 僕と混ざり合えば
灰色になれるよと
そしたら黒は言うんだ
そんなことをすれば君を汚してしまうよ
白は 笑って 言うよ
汚れるなんて言わないでって
君は確かに ほかのどんな色より
暗くて ほかの色と混ざり合っても
明るい色にはなれないけれど
僕となら相性がいい
唯一ほかの色になれるんだ
だからひとりがいいなんて言わないで
ひとつになろう
使い古された絵筆がつぶやくんだ
僕は もうすぐで捨てられてしまうよと
でもね 今まで役に立ってきたじゃないか
気にすることはない
みんな同じ定めさ
最後の仕事は素敵な絵を描きたいな
たとえばきれいな空を 描きたいな
真っ白な画用紙に大きな夕焼け空と
いつもの街並み 誰かの笑顔
幸せな風景画を描けたらいいな
毛羽立って広がった古びた絵筆で
素敵な絵を描こう 心のキャンバスに
人々の暮らしが見えるそんな絵を描こう
いろんな色たちが寄り添って
混ざり合ってひとつの絵の中でずっと生きてゆくんだ
永遠ならここにあるんだ ほら君も
命を宿した 呼吸する色彩
いつか終わる 定めを抱いて生きてる
だからこそその色は鮮やかに世界を染める。
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想いのすべてを言葉に出来たなら
もう誰も傷つけなくっていいのに
もう誰も争おうなんて思わないのに
僕らはあまりに 言葉を知らなさすぎる
心が見えないのはきっと
他人には知られたくない本心を隠す為だ
でも心が見えなさすぎて僕らは
時に傷つけあってしまうんだ
どんな 幸せの中にだって
悲しみはあるものだと人は 意地悪くほざく
目と目で お話するように 口は使わずに
互いの言わんとしていることを知るすべがあるなら
僕はもう言葉なんていらない
口に出せない空の喘ぎ この胸の中にひらり落ちて。
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僕の心の余白を埋めるように
継ぎ足された記憶はお粗末な出来さ
とりあえず 笑わなくちゃと思うけど
何をどうすりゃいいかわからなかった
季節に置いていかれていく
僕は一人 寂しさに埋(うず)もれた
そこにあるもの ここにはもうないもの
人も景色も思いも
日々めまぐるしく変わってゆく
いつまでもこのままじゃいられない
だから色褪せ擦り切れていく青
若さなどもう言い訳には出来ない。
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何かわからないものを指差して
それをそれだと決めるのはなんだろう
目に見えず 聴こえもしないものにさえ
形を与えて さも触れられるかのように嘯く人の心が映すもの
その輪郭をなぞる
君の心が唯一の物差しだよ
ほら 僕にはなんとなくわかるんだ
見えない 聴こえない向こう側の世界
目映いくらいの光
余白を染める あざやかな透明。
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僕は見えない いろんなものを見つめてる
僕は聴こえない いろんなものを聴いてる
それはそうだな
たとえば風のようなもので
つかめもしなければふれることさえできないけど 確かにここにあるんだ
ふいにふわっと 生まれた小さなつむじ風
やがて なりを潜める
たまに洗濯物を揺らしたり 頬ずりしたりしながら
与えられた時間の中 絶え間なく明日へ吹いてゆく
僕は わからない 僕である意味さえ
僕は知ることはない このままいつまでも
それはそうだな
たとえば闇のようなものさ
どこからがはじまりでどこまでが終わりなのかさえわからないけど
確かに僕は生きているんだ
ふいにふわっと 舞い上がった小さな綿毛
やがて 旅に出るんだ
泣いたり笑ったり たまに怒ったりしながら
残された 時間の中 可憐に咲いているのさ
ふいにふわっと 生まれた小さなつむじ風
やがて なりを潜める
たまに洗濯物を揺らしたり 頬ずりしたりしながら
与えられた時間の中 絶え間なく明日へ吹いてゆく。
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耳をふさいだままでも聴こえる音色や
目を閉じても 見える景色があるんだ
ほらね 魔法のようだろう
世界が途端に色づいてく
悲しみも喜びも
愛しさも憎しみも
ひとつの場所へ
消えていくよ
このまま 目の前
横たわる果てのない
暗がりに 僕は
意識を 投げる
さよならの先の物語 予兆するように
はじまりの予感がなんとなくしている
ほらね 形のないものの輪郭をなぞる
君の心が つかんだもの
切なさもさびしさも
ちょっとした痛みも
きっといつかは
片づいてくよ
夜の傍ら そっと
人知れず 目を閉じた
君の その瞳に明日が追いつくまで
悲しみも喜びも
愛しさも憎しみも
ひとつの場所へ
消えていくよ
このまま 目の前
横たわる果てのない
暗がりに 僕は
意識を 投げる。
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どこまでも ただ先の見えない闇の中を
走る最終電車 涙さえ乗せていく
いつまでもただ 出口の見えない日々を
人は行くのさ 君もいつか降りていく
なんとなく窓の外に目をやれば
悲しいほど きれいな月が昇ってた
何ひとつ わからないまま
何ひとつ 解き明かせないまま
目を閉じていた 耳をふさいでいた
そこに見えるものだけじゃ
そこに聴こえるものだけじゃ
物足りなくって 心許なくって
どこまでもただ 先のしれた未来を
イメージ通りに 僕は駆け抜けていく
さっき見た あの夕焼けがまだ目の奥に
焼き付いてて離れない 離れない
何かをごまかすように 飲み干した
言い訳も 悪口も むなしくてしかたない
誰ひとり 愛せないまま
誰ひとり 守れないままで
無意識の中に 何か探してた
闇の中に 光に代わるもの探してた
ここにあるものだけでは 手持ち無沙汰で 頼りなくって
僕は ずい分弱くなったもんだな
泣き虫になったもんだな すぐに涙になる はみ出した 弱ささらけ出したまま
こんな僕にも出来ることがあるなら 精一杯手を伸ばす空に
目を閉じていた 耳をふさいでいた
そこに見えるものだけじゃ
そこに聴こえるものだけじゃ
物足りなくって 心許なくって
無意識の中に 何か探してた
闇の中に 光に代わるもの探してた
ここにあるものだけでは 手持ち無沙汰で 頼りなくって
だから心の中広がる空白の頁に とりあえず誇らしい傷跡を刻み込むんだよ。
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僕らは 目には見えないものを
いくつでも 抱えて生きている
それは 音でもなく手触りでもなく
なんとなく伝わるものだよ
心と心が まるで糸電話のように
思いと思いをつなげて 見えるもの
その時にたどり着いてしまえば一瞬の 出来事のよう
振り返れば もう 後戻りなんて出来ないと知る
うたかたのような この世界で 今日も紛れもなく僕は生きているよ
出来ることより出来ないことのほうが断然多い
僕らは不出来な 生き物だから
それは誰のせいでもなく
それはなんのせいでもなく
ただあるがまま そこにあるもの
だから今、耳をすましてつかまえる
僕にしか見えない何かを
刹那のように過ぎてくつかの間の幻
それは 命がつなぐ物語
悲しみさえも生きていなければ味わえないと知る
ほころんでいくこの世界は ずっと変わらないまま そこにあるんだろう
その時にたどり着いてしまえば一瞬の 出来事のよう
振り返れば もう 後戻りなんて出来ないと知る
うたかたのような この世界で 今日も紛れもなく僕は生きているよ。
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名前も知らない花の名前を知る為に
僕は 向かい風の中ぬくもりを探したよ
さして好きじゃない 珈琲も銘柄まで覚えたのは
君が好きだったから
大切な人の大切な人になりたいって
ただそれだけなのにそれが果てしなく
難解だね 僕は答えのない問いかけを抱いた
君が僕の名前を呼んで
僕が君の名前を呼んで
そんななんでもない行為が いつも
何より幸せだったことを知ったんだよ
君が笑うから僕も笑って
君が泣くから僕も泣いて
以心伝心みたいに 痛みも喜びも伝わりあう
ここはどこだろう 見たことのない暗闇
はじめて独りの寂しさを知った気がする
今までは孤独だったから平気だったのに
誰かとこんなふうに寄り添ってるのが
当たり前になった今じゃ僕も弱くなった
大切な人のいちばんになりたい ただそれだけなのに
それがいちばん難解だね 僕は 僕は 手応えのない 愛に触れた
君が僕の名前を呼んで
僕が君の名前を呼んで
そんななんでもない行為が いつも
何より幸せだったことを知ったんだよ
君が笑うから僕も笑って
君が泣くから僕も泣いて
以心伝心みたいに 痛みも喜びも伝わりあう
君が ここにいる今や
僕が ここにいる今が
ひとつにつながって 二人は 何度でも出会うんだ
ただ一人、あなたを愛す為に
ただ一人、あなたに愛される為に。
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いつまでも消えない傷跡のように
つきまとう影のように
見えない醜さが 時にはみ出して
ほら、必死で隠そうとしている君がいる
それは 自分にとって他人には見せたくない部分で
シミのように 心に張り付いた過剰なコンプレックス
他人はそれ程 あなたのことを
気にするほど お暇じゃなくって
でもあなたはそうは考えてないようで
若さの象徴みたいにぷっくりと膨れたにきびのように
あなたには それがどうしても許せなかったんだね
深爪するように 時に後悔したりしながら
誰もが今を生きる
見えない 人の醜さがいちばん怖い
いつも目を見て 人の顔色窺う日々
小さなほくろや くすみなら 化粧を施せばいい
だけど それじゃ消えない傷跡もある
理想のプロポーション
流れゆく人波にもまれながら
いつしか忘れてしまった本当の美しさ
「人は見た目じゃないんだ」
そう言ってもきれいごととしかとってもらえない世の中で
あなたは必死に美しくなりたくって見えないにきびをつぶす
鏡に映るのは あなたの見た目だけだ
大切なものは 鏡には映らない
中身を映すのはいつでも人の心
それを忘れてしまっては駄目だ
他人はそれ程 あなたのことを
気にするほど お暇じゃなくって
でもあなたはそうは考えてないようで
若さの象徴みたいにぷっくりと膨れたにきびのように
あなたには それがどうしても許せなかったんだね
あなたがつぶしたのはそんな醜い自分自身さ。