詩人:どるとる | [投票][編集] |
轆轤を回すが如く
その手は繊細な
円を描いて動く
五指は生き物の如く
ワルツを踊るように
ステップを刻む
一糸乱れぬ そのステップに私はどこまでも置いて行かれる
そして気づけば儚き夢と知るのです。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
届かないと知りながら
空に手を伸ばしてみる
つかめないと知りながら
雲に手をかける
見えないとわかってても
見えるって
聞こえないって知ってても
聞こえてるって
ふれられないものすべてに 笑いかけるように
見えるものや聞こえるものの向こうにある 何かに手を伸ばす
そこにある 愛を 心をただ無いと
言い切ってしまうのは名残惜しい
だから 僕はもう会えない人の影を
指でなぞって いつか触れたそのぬくもりを 思い出すんだ
届かないと知りながら
空に手を伸ばしてみる
空を切る 僕の手が
唯一 つかんだのは
いつかあなたと撮った写真
形あるものだけがすべてだとわかっていても まだ 僕のこの手にあなたのぬくもりが燃えてる
そこにあった熱を 時に冷たく 凍えた手を 僕は知っている
この胸を埋め尽くさんばかりに刻んだ
思い出は もう増えることはないけれど
そこにある 愛を 心をただ無いと
言い切ってしまうのは名残惜しい
だから 僕はもう会えない人の影を
指でなぞって いつか触れたそのぬくもりを 思い出すんだ
今はもう ふれられない 人の肌を
確かにつかんでたこの 手が覚えてる ぬくもりに寄りかかるんだ
いつかは捨て去らなきゃと 知っているんだ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
緑の中に 足りない
生命力漲る赤を零す
血の滲む様を 見た人はただ
涙を抑えきれずに
幸せと叫ぶ
この世は 儚い
硝子細工のよう
粉々に砕け散って
方々へ飛び散って
空の星になる
草原の風になる
あなたを私が 愛したという 思い出が
私をあなたが 愛したという 思い出が
たとえば 僕の宝物だから このまま時の中に取り残された思いは影のようにさまようけど
あなたがいないこの世界で私はあなたを忘れなければ
いつまでもあなたは僕に愛されたまま
いつまでもあなたに僕は愛されたまま
壊れないでいられる。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
命の灯火がゆらゆら
揺れている
僕は残された時間を知らない
ただ 目の前に差し出されたお皿の上に
乗った時間を 食べるだけ 平らげるだけ
誰かの笑顔が
誰かの涙が
色のない物語に
光を与える
あなたが ここにいる そして僕がいる
そんな当たり前を
ただ当たり前と言ってしまうのは
簡単すぎてつまらないだろう
だから僕は特別だと嘯いて 世界に
ただひとつの灯火となって 揺れている。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
見えないものが
あまりに多すぎて
聴こえないものが
あまりに多すぎて
僕らは目が見えていても
僕らは耳が聴こえていても
大事なものを見過ごし聞き逃してしまう
この世は 鏡の世界
いつも他人に自分の心が映る
他人のとる行動に いつも自分の悪を見る
他人が誰かを傷つける様も然り
他人が誰かにつく嘘も然り
適当に相づちをうち人の機嫌をとる様も然り
心はいつも誰かの姿を写し取っている
あなたのとる行動がほかの誰かの姿に重なり
ほかの誰かのとる行動があなたの姿に重なる
それはまるで 無いものをあたかもそこにあるように見せる
嘘出まかせのパントマイム 本当は何ひとつそこにはありゃしないんだよ
ただ皆が皆同じ「弱さ」や「脆さ」を胸の内に飼っているだけ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
言葉の中に 言葉の中に 心が見える あなたが見える
ただの言葉の向こう側に 誰かの人柄が映る その人の優しさが窺える
触れられぬ心も 見えるはずのない気持ちも
言葉を通して 相手の心や思いに 触れることが出来る
僕を思って生まれた言葉の中に あなたがいる
笑っているあなた
泣いているあなた
怒っているあなた
愛らしいあなた
僕の知ってるあなたもまだ知らないあなたも いろんなあなたが見えるよ
言葉を知っていると口から出任せの嘘をつくのはどこの誰ですか
言葉はただ使うだけじゃ心を込めないと 相手の心には届かないんだよ
相手を傷つける目的の言葉には 心が無い為に こんなにも冷たくて
相手を思いやる気持ちなどまるで見えない
ああ言葉はその人の心の有り様(よう)を映す鏡さ
誰かを支えるあなた
誰かを助けるあなた
誰かを気遣うあなた
誰かを愛するあなた
たったひとりのあなたの中にこれだけたくさんのあなたがいるんだ
胸を張って誇りに思えばいいよ
たとえば今日傷つけた人がいるならば
明日はきっと誰かを助けようと思う
そんな気持ちが多分誰かの明日の笑顔をつくっている
声に出したその言の葉 心を重ねて伝えたものだけがそう云える
僕を思って生まれた言葉の中に あなたがいる
笑っているあなた
泣いているあなた
怒っているあなた
愛らしいあなた
僕の知ってるあなたもまだ知らないあなたも いろんなあなたが見えるよ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
花は咲いて散ってゆく ただそれだけの為に今日もあなたの瞳の中で花はただ花としてのつとめを果たしている
不思議だね ありとあらゆるものたちに
違った命が宿る
ほらねあなたと私では同じようでも
絶対的に重ならない部分があるでしょう
すれ違う時の中で 全く放し飼いの季節は巡り巡る 遥かなる明日へ
ゆらりゆらり 風に舞い踊る 花びらたちは知っているのか
己の運命を
ひらり ひらり 羽を広げて蜜を吸う蝶たちは何を見、何を聴いているのか
ただ花は咲いて
そして散ってゆく
その様を 僕は己の命に重ねてみる
命の儚さに 心はざわついて いつか抱いた 終わりのない闇のような 哀しさに 言葉を無くしたまま
ただ今は これからも続いて行くであろうこの流れに身をゆだねている。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
水清き河のせせらぎと懐かしい日焼けの痕
ゆっくりと時をたゆたう 急ぐことのない流れの中に身をゆだねている
碧き空の彼方に 浮かぶ太陽に手を伸ばした あの夏を忘れない
静かな風景(けしき)の中に あらゆるものたちのざわめき
それぞれの見つめる世界の中で 今日も私は確かに生きている
「ここにいる」という当たり前を
内にはらみながら
息づいている命。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
悲しみを見つめている
喜びを見つめている
僕の心は その時々の気持ち映すように
そっくりそのまま素直に真似するパントマイマー
悲しい気持ちになった僕の中に
あふれた涙が はみ出せば悲しくて
雨を受け流そうと傘を差すけれど
悲しみは傘をすり抜けて僕を濡らす
あるはずもない壁をつくって
あたかもそこに 何かがあるように
振る舞う街の中で嘘ははびこる
目を眩ます 七色の光 なにが本当でなにがまやかしか
考えるまもなく僕らは忙しさに
目を回す 目を回す
身振り手振りで 見えない何かと向き合う
まるでその姿はパントマイムのようさ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
人は流れ星
一瞬を駆け抜ける
目映いばかりの閃光
フラッシュライト
またたいて
暗闇を切り裂く
命の放つ光
過ぎ去った光を
夜空に見つけては
僕らは願いをかける
おかしな生き物
命は流れ星
永遠に光り輝く
目映いばかりの閃光
プラネタリウム
天体観測
指差す場所には未来
ありもしない幻に
だまされながら
時計仕掛けの林檎をかじる
手を伸ばす先には未来 後先は暗闇
真っ逆様に落ちていく
まぶしすぎる光 それはまるでいつか見た夢 無謀にも立ち向かう
君だけの流れ星
手を伸ばしてつかまえろ
その腕に閉じ込めて
いつか放たれた
光をその手に。