詩人:どるとる | [投票][編集] |
通り過ぎてく
景色の中に
取り残されている
気持ちになったよ
もうじき
日が暮れるね
街は相変わらず
やさしい色をしてる
なんにもいいこと
なくたって
なんとなく
幸せさ
だって僕ら 今日も生きてる
たったそれだけのことがなぜだろう
とても幸せなんだ
幼い子供が
戯れに描いた落書き
それによく似た
あたたかい景色
ほらね 触れても
いないのに
僕はいつでも
この街といっしょさ
たったひとりの
帰り道
悲しいことのほうが多いくらいなのに
それでも いいさ
生きていればかならず
いいことがあるって思うことにしよう
幸せはあとからついてくるから
夜が朝が 繰り返されて 忘れた頃に
気づけば 歳を重ねて やがて笑って
空に昇れたら それで幸せ
だって僕ら 今日も生きてる
たったそれだけのことがなぜだろう
とても幸せなんだ。
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星を数えながら 歩くいつもの帰り道はちょっと遠回り
見上げた空には 数えきれない星が輝いていた
この胸を 満たしているのはほんの少しの不安と期待
いくつもの物語が あの空に見えるよ
幸せってきっとあんなふうに ささやかに輝いている
明日はこのぶんじゃ晴れそうだね
星たちがおしえてくれている
星を数えながら 歩くいつもの帰り道はちょっと遠回り
見上げた空には数えきれない星が輝いていた
輝いていた。
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何もする事がない休みの日
暮れゆく空を ぼんやりと眺めていた
ふいに浮かんだ言葉が引っかかる
ああ 僕はどうして生きているんだろう
何のために 誰のために 生きているんだろう
繰り返し繰り返すその問いかけに答えられないまま
「大人」という終着駅に着いてしまった
僕は今もずっと同じ迷いに悩まされている
見えないままのゴール スタート地点に戻ろうとしても
引き返せないくらい歩いてきてしまったんだ
花は咲かずとも花で 夢は叶わずとも夢だ
だから僕は僕の思ったように生きてみようと思った
それがいちばん正しいんだと信じて
重たい体を引きずりながら
ドアを開ける 冷たいノブを回して
アパートの切れかかった電灯が
照らす廊下には 誰の姿もない
ただ 自分のためだけに 生きる
笑うことも泣くことでさえも 最近じゃ面倒で 人付き合いもない
「死」という言葉に憧れを持つのは
いけないことだろうか 教科書や聖書は「生」にのみ光を見いだせると記す
意味もなく点けているテレビ
つまらない番組が つまらない企画をやってる みんなくたばりゃいい
花は枯れてもなお花で
夢は褪せてもただ夢で
変わらないんだと誰かが言っていました
だからとりあえず生きてる
それがいちばん正しいんだと思い込んで
花は咲かずとも花で 夢は叶わずとも夢だ
だから僕は僕の思ったように生きてみようと思った
それがいつでも正しいんだと信じて。
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握ったその拳は何を殴る為にあるの
弱い自分を殴る為にあるんじゃないのかい
痛みを分け合い親が子を殴る時のように
優しさは時に鬼の顔であなたを睨む
だから勘違いしてしまうんだね
だからわかりづらいんだね
本当の優しさというものがもしもあるならば
きっと間違いを犯したあなたを 叱りつける
誰かの拳が本当の優しさなんだろう
ねえ 殴られたほうも痛いが 殴るほうも痛いんだよ
繰り返す心と心の痛み分け あなたを育む優しいまなざし
世の中で生きていくために
していいこととわるいことの区別
出来るようにわかるように教えるはずの親なのにどうだろう 今の世の中は
痛みを教えないばかりに 伝わらない本当の優しさってもの
痛みを教えながら 拳で優しさを語るのが本当の優しさなのに
言葉だけで許されてる子どもたちは
痛みを知らないまま育って大人になる
そうして世の中に出れば ほら人の痛みがわからないから
傷つけることさえ厭わない そんな人ばかりいるよ
僕の親もその親もその親の親も
きっとそうやって形は違えど同じ
優しい拳で 教えられたんだ心のあるべき姿を
本当の優しさというものがもしもあるならば
きっと間違いを犯したあなたを 叱りつける
誰かの拳が本当の優しさなんだろう
ねえ 殴られたほうも痛いが 殴るほうも痛いんだよ
繰り返す心と心の痛み分け あなたを育む優しいまなざし
ねえ あなたを殴ったあとには 静かな夜の海のように
落ち着いた波のさざめきが聞こえる
明くる朝はいつもみたいに優しく笑うあなたがいる
ほらね愛は 確かにここにあるでしょう
ほらね優しさは嘘じゃないでしょう。
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鏡に映る僕の姿 それは本当の僕の姿
だけれど心までは映らない 映せない
合わせ鏡の向こうに 連なるいくつもの僕
そのどの僕も本当の僕であるように
色んな僕が 僕の中にはいるんだ
正しいことをする僕
悪さを働く僕
嘘をつく僕
素直な僕
誰かを助け支えられる僕
強い僕 弱い僕
ずるい僕
鏡は映す 心を映せない代わりに
いくつもに 重なり合った僕の姿を。
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何気ない誰かの言葉ひとつで 思いがけず救われる日もある
ありがとう ありきたりな言葉しか返せないけど
あなたはきまって笑ってくれるよね
そしてそれを当たり前と言うんだ
言葉はきっとそれだけじゃ届かない
言葉の中に心を込めてはじめて
言葉になるんだな
何気なく交わす言葉の中に そっと心を込めて
僕も誰かのことを言葉で救いたい助けたいな
そんなふうに 思ったらいつの間にか
僕のただの言葉は少しだけ鈍く光った。
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雨を受け流す傘はあっても
悲しみを受け流す傘はないものか
他人に振りかざす刃はあっても
自分を叱りつける言葉はないものか
甘さが邪魔をして うまく歩けない
僕は僕を傷つけられない
無傷なはずの心に 無痛の痛みが走り
また誰かを 傷つけて満たされている
弱い心に 向ける拳があったなら
僕はきっと今より強くなれるはず
逃げ道は用意されてても
逃げ道を塞ぐ壁は用意できない
刃をとり闘うことは知ってても
すぐに言い訳を考え妥協してしまう
いつでもどうしたら楽が出来るか
そればかり考えてる
僕は僕に 厳しく向き合えない
「こんなんじゃ駄目だと」自分を追い込んだり出来たなら
固く握った拳で自分を殴ることが出来たなら 変われるのに
無傷なはずの心に 無痛の痛みが走り
また誰かを 傷つけて満たされている
弱い心に 向ける拳があったなら
僕はきっと今より強くなれるはず
無傷なはずの心に 刻まれた傷跡は
きっと誰かが教えてくれた本当の優しさ
僕を思う優しさ。
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何が悲しいんだろう
何がうれしいんだろう
何が愛しいんだろう
何が憎たらしいんだろう
何が悔しいんだろう
何が正しいんだろう
何が悪いんだろう
何が欲しいんだろう
求めては 拒みながら また求めて
遠ざかる手を 僕はただ幾度も見送った
何を探してるんだろう
何を求めてるんだろう
誰を待っているんだろう
誰を待たせているんだろう
何を失ったんだろう
何を手にしたんだろう
何を焦ってるんだろう
何を慌ててるんだろう
僕の瞳に映る君と君の瞳に映る僕がいる
どちらが本当の僕だ どちらが本当の君だ
求めては 拒みながら また求めて
遠ざかる手を 僕はただ幾度も見送った
君の背中が 遠ざかってゆく かける言葉さえない
僕はまた ひとりぼっちだ
馴染んでしまった孤独が僕を包み込んでゆく。
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悲しいことに 泣いて うれしいことに笑って
夜が明けたら 朝が当たり前のように来て
いつものあの場所へ僕を運ぶのだろう
物語は流れてゆく 見えざる何者かの手で
めくられていく 先へ先へと 急かすように
それはまるで今日の風のように
春の訪れをしらせる嵐のように
僕らを そっと 試すのだろう
春の国の物語 桜色の季節が今 君の瞳の中 花を散らす 花を散らす。
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遠い昔 宝物にしていた物を見つけました
大人の僕には なんてことのないものだけど あの頃の僕には
そのなんてことのないものが宝物だった
でもね今にして思えば宝物は胸の中に
いくつも残ってる思い出だって 思うんだ
見えているよりも 見えないものが
きっと人にとって一番大切になるって
僕は今だからこそ思うんだ だから
積み重ねた日々の中で いつしか胸の中に 生まれた 宝箱には入りきらない 思い出を一つ一つ 数えながら 少しだけ過ぎ去った日々を思い出す
ゼンマイで動くおもちゃのロボットや
海でひろったきれいな貝殻 おはじきやビー玉 一つ一つが物語を持っている
どれも大切な宝物だね
思い出を刻み込むビデオやカメラは
形あるものだけしか残せない 映せない
本当に宝物だといえるものは
きっと人の記憶の中に焼き付いて
いつまでも色あせない思い出になる
笑ったこと 泣いたこと 誰かと喧嘩したことも何もかもが大切な思い出 忘れていく記憶もあれば覚えてる記憶もある 留めておくことは難しい
それでも僕の宝物は僕の中で 永遠に輝きつづける。