詩人:どるとる | [投票][編集] |
昨日まで当たり前だった世界が どうして今日はこんなにも
色あせて見えるんだ
見当たらないよ 大切なあの人が 時の流れのその先で いつか当たり前じゃなくなる
写真だけ残されたまま懐かしい日々を映し出す
優しいイメージ浮かべてみても さびしさぬぐえず何度も雨の中 心は濡れる
浮かべてみるよ あなたの笑顔 そこに少しでも あの日の匂いがよみがえるのなら
寄せては返す波のような イメージのさらに先のイメージでもって 僕はあなたを思う
瞼の裏に描くんだ
また会いたい
そんな気持ちにならないように
当たり前を少しずつ
変えて行くんだよ
イメージをイメージするように 複雑な日々に のまれるように あの人もこの人も誰もが そうやって形のないものと向き合ってる。
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木よ こたえろ 痛ましいその傷あとが
人間の邪悪を刻む
木よ 見つめよ 荒みきったこの枯れ野の死と引き換えに 煌びやかに瞬くあのネオンの街の灯火が
憎くて たまらないと
物言わぬ木よ
物言わぬその寡黙さよ
叫べぬ代わりに
少しずつ大地はひび割れ 氷は溶け
マグマは我らに近づく
地球はただ、耐える
我らの愚かさを 我ら自身が気づくときまで。
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僕は僕でなし
人は人でなし
ただ、肉を孕んだ
喋る肉塊
悪知恵の働く
喧しい肉塊
さえずるように
貪るように
生きる
喋る肉塊
肥え太り
夢に揺らぐだけ。
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言葉にならない
気持ちがあるよ
思いを追い越せない
言葉があるよ
あふれてる水しぶきのようにとどまることのない聞き分けのなさ この臓物を引き裂く
それは例えるなら
昼下がりの公園に漂う陰鬱のような
もっと簡単に言えば
平和にあぶれた人たちの惚けた顔のような
そんな、無防備な幸せが 僕には痛いほど この瞼を熱くする
なんでだろうか
なんでなのだろうか
あんなふうに笑うのなんて全く馬鹿らしいのに 素直に嫌えない
だからそれは昼下がりの公園に漂う陰鬱のような
誰もいない夕暮れ時の路地を吹き抜ける さびしさのような
それに似た孤独が匂う。
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照れくさくって
少し恥ずかしくって
伝えられない気持ちを心にしまってる
あなたが好きで好きで好きな思いが重いよ
今頃、街は 賑やかなもんだろう
誰もが笑って 過ごすのに僕はひとりなぜ寂しくしてる?
きっときっときっと
今夜は素敵な夜になるはずだって思うよ
だってだってだって
今夜はどんな願いも叶ってしまうような
年に一度のクリスマス
君に君に君に伝えなきゃ 届けなくちゃ
雪も解けそうな熱いこの思いを
サンタのおじさん 子供たちにソリにまたがりプレゼント配る
サンタは大忙し息をつく暇もないよ
そんなそんなそんな
今夜の主役は 世界中のあなただよ
こっち向いて さあ笑ってもっともっともっと 窓の外は星降る夜のクリスマス
鈴の音が聞こえるよ。
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私は自分が誰か知らない
私は自分の性格を知らない
いや、もしかしたら知っているのに気づいてないだけかもしれない
私は自分の素顔を知らない
私は自分の趣向を知らない
否、もしかしたら知りたくないだけで本当は全て熟知しているのかもしれない
目の前には断崖絶壁
落ちたら最後、
命はない
そんなわかりやすい人生ならばこの先
何に悲しむことも迷うこともなくたやすく命など放り出せるというのに
そうできないのは
ただ、単純に
この心臓が
生きよと私に
脈絡のない
命を下すからなのだ
トレモロの脈拍、
リズムにならない
不規則な旋律、
静寂ののち再び
ざわめくこどう
この心臓の蠢くかぎり、私は知らない
自分が爪を切ることや窓の外を気にかける理由さえ。
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君や僕が生まれたこの街の中に いくつものこれからがまた生まれたみたいだ
君や僕に与えられた数え切れないほどのたくさんのこれからがドアを開けて待ってる
その先に待つのは
一体どんな景色かな
ノブに手を掛け
開けてみる
未来という名の
これからの始まり。
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僕は傘を差す術を知らない
悲しみを目の前にして
僕は雨粒を受け流すこともできない
もしもの雨に降られたら
誰もが、目を伏せて
雨が止むのを待つだけ