詩人:どるとる | [投票][編集] |
二人の夜を 繋いでる電話ボックス
いつものあの場所
あの時間にかけるのさ
30分だけの会話
君の声がする
君の顔が浮かぶ
愛してるよ
大好きだよ
電話ボックスで
今夜も君と話そう
今夜も君と話そう
愛してるが言えるかな
今日も言えるかな。
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テーブルの上に置いてある 書き置きの手紙
千円札が置いてある
「これで、なんか買って」
忙しいのはわかるけどたまには一緒に食べたいな
ひとりの夜は淋しい
本当は泣きたいよ
ひとりの夕飯はまずい
みんなで食べたいよ
窓の外は雨
少しずつ朝に向かってやむ予報だ
だけどね
僕の心は雨なのさ
明日も引き続きね
温めもせずに
そのまま食べる弁当の味はやたら濃くてまずい
ひとりの部屋は広い
本気で泣けてくる
夕飯残らず平らげるころにはもう雨はやんでた
たったひとつの夜が今、遠くで 朝に変わるまで僕は…僕は…起きてようかな
その夜にはとても夢なんか見られなかった
何も喋らなくても
何も楽しくなくても
あなたがいてくれる
それだけで救われることもあるのに
夜はひとりじゃ
けんもほろろ
淋しさも丸裸
心の寒さが身にしみる。
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わけもなく 悲しくなる
僕の瞳にとりあえず今日も夜が来る
意味もなく 八つ当たりしてみる
離れてく人 孤独には慣れてる
その背中に抱えてる闇
目蓋の裏に焼き付いてる昨日
今日の涙嘘のように晴れていた空
それぞれの瞳に映る雨のような
誰の瞳にも同じように映る街並みも世界もその人次第でいろんなふうに見える
それはけっしてずるいことじゃない
だけど、晴れている空の下 泣いてる僕と笑ってるあなたとを隔ててる世界には見えない壁があるようで
少し胸が痛むんだ
それぞれの今日の中
それぞれの景色が映る
それぞれの瞳の中
見えてるものは同じなのに 見え方が違うだけで青い空にも見えない雨が降る
傘を差しても 屋根に隠れても 避けられやしないさ
悲しみは
それをただ運や仕方ないという言葉で片づけられずにいる
それだけで今日の僕の1日はどしゃ降りなんです。
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どうして嘘をつかなきゃ 生きれないのか
大人はみんなそろいもそろって嘘つきさ
どうして愛想笑いして 心をごまかすのか
子供の僕にはわからなくて
ピエロだと言って笑った
自分が大人になってやっとその意味が分かった その時
悲しさがこみ上げて
悲しいのに笑っていた
僕もピエロになった
誰かの拍手 合いの手
もらうために 今日も舞台の上で おどける
だけどその姿は なんてかっこいいのかな
ほら優しいピエロの顔が今日も 帰ってくるよ
そして、ほら僕ら家族の前では 本当の涙や笑顔 見せてくれるよ
優しい嘘つきだね
ピエロは今日も 出かけて行く 悲しいことわかっていても
ピエロは今日も 笑わせる 持ち上げる よいしょする
自分でもわかってるさ その悲しさを
でもね ピエロはそれでも誰かのために
今日も 生きてるよ
強く笑う 強く笑う
それを 笑えるものなど いないでしょう。
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君は見たかい?
あの夕陽の赤を
君は気づいたかい?
あの夜の静けさに
誰も皆ポケットに
隠している
切なさやむなしさを
本当はさらけ出してしまいたい
泣けない夜を
いくつも乗り越え
場違いなにぎやかさに
ついていけず
さよならの向こう側に消えてく人の影が
今日も少しだけ この瞳をかすめたみたい
さよならも残さずに歩いてく人の群れ
今日も少しだけ このほほを流れたようだ
さみしさに気づけない
せつなさを見透かせない
人は誰も皆 悲しいことに気づかれないように笑って生きる
それをただ嘘つきと罵っても自分も同じ嘘つきだから
鏡合わせで 悲しくなる
気づけば夜が 気づけば朝が そこにあって
いつの間にか いつの間にか 歳を重ねて
覚えなくてもいいことばかり記憶に残って
時の波がさらっていった誰かの大切な残り火みたいな最後のあの帰り道に見せた笑顔だけはなぜか思い出せないよ
僕は今 思い出からの帰り道だよ
帰路に着いたら
今日のことも忘れてるのかな
最後のバスが出る。
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流れる人ごみの中
何が本当で
何が嘘なのか
計る秤もないまま
信じた挙げ句騙され
見返りはちっぽけで
繰り返す季節の中
僕は人を疑った
混み合う電車の中
一番奥の車両で
壁際にもたれかかって 何か見ていた
人のまねをして
僕も悪さをした
迷惑かけたのは
自分以外の人たち
雨が降り出して
気づけば夜で
わけもなく
泣きたくなった夜
きっと多分この夜が明けたら 僕は死んでるだろう
そんなことばっか言って結局 逃げたいだけなんだろうな
何もかも面倒くさいな おっくうがって座り込んだまま
雑踏の中に 僕は馴染めず 救い求めるように空を仰いだ
はるか前のこと。
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今夜は遅くなるから
今夜は飲んで帰るから
夕飯はわるいけど用意しなくていいから
たまには親父も飲みたいときもあるんだ
いやなことがあればあるほど 飲んで忘れたい
大人は子供が思うほど楽しいことばかりじゃない
ほら今日も泣きたくなるような 夕暮れの赤この瞳に燃えてる
子供の寝顔こっそりのぞき込んで 笑う親父の幸せそうな顔といったらないね
寝ないで待っていてくれる奥さんの優しさに泣きそうになる
親父の涙は 輝いて
大の大人も泣くんだって こっそり見ていたあの夜
親父の笑顔は輝いて
リビングで 慰めあっていた愛する二人のラプソディ 遠く
今もすぐそばに。
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なくしものはなんですか? 近頃笑うこともなく不安ばかり募って
人の速さに合わせて生きている そんな毎日だ
似たような顔の中に
似たような態度並べて
ついでのような「ありがとう」や中身のないあいさつ
見かけ倒しのその心
忘れているものが
多すぎる この世界
欠けているものが
多すぎる 人間たち
片づけようか たまには散らかったその心を
単純に誰とでも手を繋ぐ そんな気持ちがこの世界から争いをなくすのに
人を思いやるだとか
人を気遣うだとか
人の気持ちになるだとか
たったそれだけができないかい?
たったそれだけのことが難しいかい?
少しだけ 周りに目を配る
少しだけ 視線を変えてみる
耳をすまして 目を凝らしてみる
たったそれだけのことができないかい?
雑草のような どこにでも咲く 野の花のように あなたが景色に咲くのは 誰のためでもなく ただそれは
風にただよう木の葉のように なんでもない素敵なこと
なくした色を探しに行こう つまらなそうにして歩くあなたのその顔に笑顔が欲しいのさ
たったそれだけのことができないかい?
否が応でも夜は明けるよ ならばとりあえず 雨上がりまで泣こう
それでいいから。
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心が痛んでしまう夜には 言葉はなんにも要らないね
時にはそういう時もあるって思うから
躓いても転んでも
それがきっと、
あとで きれいな花を咲かせるための種になることを知る
人生は楽しいことばかりじゃないからね
時には 苦しくて命さえ投げ出したくなるよ それが当たり前さ
生きていることが
とても悲しくて
でもうれしくて
生きてゆくことが
なぜか痛くて
たまに気持ちよくて
口笛ひとつ ふいに吹いた風に吹いてみる
気づくとひとりのさみしさもほら
やさしい夜が包んでくれる
散らかったままの心
片づけてくれるのは
ちいさな幸せ
少しずつ 色を取り戻す
こんなふうにただ宛もなく笑うのもいいものだな
無駄なんかじゃないさ
今にこの涙が嘘になるよ。
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ひとりきりの夕食
ただようむなしさ
行き場もなく
さまようはかなさ
味も覚えてないくらい
君は元気ですか?
ちらつくのは 君の残像
あのドアを 開けたままで
僕の時間は止まったまま
箸を口に運んでも
たまに水を飲んでも
悲しみは消えない
時間が変えるのは
僕の姿形だけ
君の記憶や思い出はずっとあの頃のままだよ
恋をしたことが
悲しいことだとは
思わないけれど
消えない残像が
今日も僕の瞳の奥で
残酷なほど美しく笑う。