詩人:どるとる | [投票][編集] |
さよならの時が押し寄せてくる
今はなき在りし日の人 波にさらわれた昨日を思う
全ては悲しみと化し
粒状の星と変わる
泡となって消えた
つかの間の永遠
僕らが信じた
あの日々が窓から
溢れ出し 逃げる
追いかけるには
あまりに僕らは弱く
追い越すには
あまりに僕らは遅かった
満ち潮に見る 全てを包み込む 有無を言わせないその征服感に
僕はいつまでも浸っていたい
引き潮に出会う その時だけは 涙を流さずにはいられない 去ってゆく背中に待ったの手を伸ばす
それでも 今日もやっぱり引いてゆくのね
あの夕陽のように
夕陽が沈んだように
何もかも
終わらないものがないように
満ちた時は必ず
引いてゆくのね
わかっていたことなのに
悲しみはやむを得ず僕に降りかかる
余韻のような
水しぶきが。
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テーブルの向こうで
いつも笑っていた君も 今は居ないよ
面影だけが 記憶の中でただ揺れてるだけ
ひとりぶん多い夕飯は 君を忘れることのできない僕の 諦めの悪さだろう
だけど君と歩いた日々は あまりに僕にとって忘れ去ることのできない程 鮮やかなものだった
誰も居ない部屋の隅っこ 壁にもたれ
虚ろな眼差しで僕は何を見ている
思い出に閉じこめられたままであの日から止まったままの僕の時間
神様はほほえまなかった
はじめて神様に悪態をついたよ
君が好きであれば好きであるほどぎゃくに僕の心を締め付けるなんて 皮肉だね
あんなふうに笑った
こんなふうに泣いた
目蓋閉じれば いくつもの思い出に出会えるのに
さよならの向こう側にひとり旅立って行ってしまった
僕も行きたいけれど
君はきっと望まない
ならば君が生きれなかったぶんまで
僕はこれからを生きよう たくさん笑ってたくさん泣いて
君は空の上で 僕を見ていてくれてるかな
ぎこちなく笑いながら 僕の不器用な日々を笑ってるかな
テーブルの上のささやかな夕飯は冷めてしまった 夜が来ると僕の隣にさみしさがいつの間にか座っている そして僕はたまらなくなって泣き出してしまうんだよ
空っぽの心 もう泣かないと誓ったはずなのに
星のまたたく夜空を見上げながらひとり泣いた 君の笑顔が忘れられない 忘れられるわけないじゃないか
今は居ない人だけど
君ほどこの世界であんなに愛する人にはもう出会えないだろう
だって僕は君だけを愛していた
何もかもを解き放って 裸の心さらけ出した
さよならの向こう側にいつか 僕も行けたなら 真っ先に君に会いに行くよ
そしてまた一緒に笑いあおう
だから君と過ごした日々はこれからも僕は忘れずに
背負いながら抱きしめながら生きて行くよ
この世界でいちばん
誰より愛した人の生きた証になるよ。
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僕は誰だろう
真っ白な
画用紙に描いた
理想の自分
かけ離れている
ずれてしまっている
正体もわからない
それを僕らは
軽率に未来と呼ぶなら 僕には期待をする事さえおそろしい
難解そうで単純な
単純そうで難解な
今を抱えながら
誰もが自分を
明日という
キャンバスに描く
それが今日になる
結論は後回しだ
とりあえず歩こうか
僕が僕を描いたら
それが自画像になる
君が君を描くように
誰も自分を描くんだ
恥ずかしくないわけはない
自分の未来描いたら
それは消せないやり直せない それでもどこかで笑えてる そんな未来を築きたい
僕は誰だろう
君は誰だろう
姿の見えない明日に
脅えながら 描く明日と思っていた明日が必ずしも重ならない現実にたどり着いたまたとない今日を生きる苦しさに想像を描く手が震える。
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愛だとか夢だとか
ありふれている
この世界の片隅で
僕もいつか
誰かを愛すのか
悩み多きこの時代に僕は生まれて 腐るほどいる人ごみの中でどんな夢を見れば
幸せになれるのでしょうか
抱きしめている
それと同じ位に
愛されたいよ
愛してみたいんだよ
誰かもがそうであるように 僕もありふれていたい
唯一の人の隣で
ばかみたく
幸せそうに笑っていたい
争いや虐めみたいな世の中に差す影など 初めから知らないで いたかった
当たり前とされていること それさえ守れれば約束されたように訪れる未来
人それぞれ違う場所に生まれ 様々な境遇の中で自分なりに日々を積み重ね 思い思いに生きてゆくんだ
そこには何ひとつ
重なる部分はない
僕と君の歩んできた
今までは どちらの人生もすれ違う瞬間がなければ 出会うはずもない幻
抱きしめられてる
心ごと魂ごと
愛し続けたい
明日、明後日もずっと
誰かの真似とかじゃなくて僕なりに不器用に
唯一の人の隣で
同じ空を眺めながら
同じ歩幅で歩きたい
生まれた場所も 育った街の景色も 好きなものも 趣味も夢も全て違うのに
好きな気持ちひとつだけあるだけで
ほら不思議だね
いつの間にか
永遠さえ誓っている
「愛してる」この広い世界でただひとりのあなたを 僕はずっと
どんな明日が来ても
そこに光があらんことを。
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君を濡らす雨があるなら 僕が君をかばう傘になろう
ひとりじゃとても解決できない山積みの問題を片づけよう
なぜかいやに目がさえちゃって眠れない夜 それは誰にもある
へんに気を遣って
やけに周り気にして
自分よりも他人を心配しすぎるあまり
心疲れてしまう
そんな優しい君を守る傘になりたい
雨のち晴れのち そのつぎはまた雨かもしれないし 晴れかもしれない
わからない わからない
日々は予想を時に裏切り 僕らの頭の上にだけ雨雲を 浮かべる
わからない わからない
迷い悩む日々もだんだんやがて 溶けて その意味を知る 目を覚ます
愛々傘して歩く僕らは相合い傘の意味を知らずに走る
愛々傘して笑う僕らには常識よりも大切な謎々がある
愛々傘進呈 君にあげるよ 永遠に死ぬまで壊れない 特注の傘
僕がそうだよ ご不満かい まあそう言わずに笑っておくれよ
雨が降るまえに。
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胸のあたりが 痛むのは誰かに恋をしたからかな
新しい季節が二人の目の前を今横切ってゆく
緑の映える街路樹を
歩いてる二人の影が夕日に照らされて
少しだけ揺れた
僕が差し出した右手を君が握ってくれる
そのぬくもりだけでほら雨はやんだ
僕が差し出した右手ためらうこともなく
握ってくれる 笑顔もおまけについてくる
ありがとう、ありがとう、ありがとう
愛してる、愛してる、愛してる
難しい言葉は今は必要ないね
笑顔のおまけを僕も付け足そう いつでも。
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君が涙を流すと
僕の瞳からも
涙がこぼれ落ちる
どうしてだろう
うまく笑えない
君が笑うと
僕もためらわず
笑えてしまえるのに
涙はそうはいかないな
嘘はつけないよ心には
何かがやっぱり
悲しかったんだよ
だから溢れ出る涙
心さえ濡らす
何かを持て余して
すっかりがらんどう
僕の中に君の中に
ひろがるさざ波
押し寄せてくるのは
名前のない感情
流されまいと
何かに必死になって
つかまっている
何も言わないで
何もしないで
何も知らないままで
もしも君の全てを
愛せるのなら
意味のない事だなんて何ひとつないはずだから
小さなこの瞳で
君の心をわかりたい
いくつもの涙を
知りたいよ
いくつもの笑顔を
わかっていたいよ
何遍でもきりもなく
二人はキスをして
涙に溺れて
苦しくなる
それでも「好き」な人だからそんな苦しささえも いつの間にか愛に変わっている。
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そして今日は終わる
夕暮れが空を燃やす
誰かの帰り道を照らす夕陽
長くのびた影を引きずって 寄り道せずに家をめざす子供たち
誰も居なくなったあとの公園にポツリ
風に揺れるブランコ
明日まで笑い声も聞こえない 静かな公園からも見える沈む夕日
ただいまを届けるために今帰るから
ドアを開けたら 優しくおかえりって抱きしめて
たくさんのただいまが 今いたるところで聞こえてる
たくさんのおかえりが ただいまの数だけ聞こえてる
そして今日は終わる
何事もなく終わる
なんの特別な事もなかったのにね
なぜかどこか幸せで
なぜか心満たされて
何気ない1日が何より幸せに思えるんだ
食卓に並んだおいしそうな夕飯を
食べたら 星を眺めて綺麗だねって言おう
ありふれた中にもこんなに輝く幸せのかけらが散らばってる
今日は終わるけれど
明日が楽しみで眠れないよ
そうやって歳を重ねて誰もが大人になってゆくんだね
今日は終わるけれど
涙見ずには歩けないけど
泣きやんだら笑って明日にそなえて 今日はもう眠ろう
そして今日も終わる
世界中の人の目蓋の裏
ひろがる明日が輝けと僕は祈るから
心の汚れは落ちて
真っ白な気持ちで
またスタートできる
ここから。
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落ちた 涙 すくって
可哀想だというのは簡単だけど
それだけじゃ涙は救われない
だから 僕は愛を込めて 手のひらで 涙流す人を 厳しく叱るんだ
悪を 悪だと 言いたい
僕をゆるして
この意味 紐解けるかな。
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その一瞬を 閉じ込めて 記憶の中に
その一瞬が 永遠になる いつかの今日に
その一瞬に 救われる 涙に濡れた昨日よ
僕は言葉を忘れて
黙ったまま 泣いた
黙ったまま 笑った。