詩人:どるとる | [投票][編集] |
ブランコに乗って
今日も揺れていた
悲しみに 喜びに
移ろっていた 心は
ブランコに乗って
今日も飛ばしていた
靴の代わりに
助走つけて 涙や笑顔を
代わる代わる時は
動き君を運ぶ
一歩ずつ踏み出すたび何かを失って
それでも笑うのさ
それでも泣くのさ
失ったものを
補いながら
それでも生きるのさ
それでも進むのさ
風に吹かれ黄昏て
またブランコに乗って
いくつかの夢を見た
いくつかの愛を抱いた
いくつかの罪を犯した
ブランコに乗って
今日も明日も揺れているんだな
悲しいことも
嬉しいことも
みんなで知ってゆこう
何ひとつおそれることはないさ
夕暮れの公園に
ぽつり置き去りにされたような ブランコのように 鎖に縛られた命だけれど
風にまかせ 今日も揺れるのさ
誰かをその身に 乗せて たまには
ずるくもなるさ たまには苛立ってるさ
それでも 大事な何かは忘れない
大事な人を思い続けるんだ
ブランコのように
揺れながら 揺れながら 僕は生きるよ
あなたを乗せて。
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気づいていないようで気づいてるんだよ実は
見えていないようで本当は見えてるんだよみんな
浮かない顔をしてるあなたやあなたは
独りぼっちのようで案外慕われてるんだよ
わきの下に生えた
いくつもの脇毛のようにほら見えない場所で見えないところで泣いている君が今日もいるように
僕にはなんとなくわかるから 傍にいるんだよ
もしゃもしゃと毛並みを鳴らして いたずらっぽく微笑む君が愛しくてたまらないのは
今すぐ抱きしめたい
脇毛の中に 光る汗のように 憩いたいのさ
だから好きと言わせてね。
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人が人を思うこと
人が人に気にかけること
ただそれだけのことを大切にするだけ
それだけで戦争なんてなくなるのにね
まだまだわからない人たちがいるんだね
人が人を気づかうこと
人が人を労うこと
それだけでこんなに心があたたかくなれるのにまだまだそんな素敵な素敵な気持ちに気づけない人たちがいるんだね
すくすくと育った
こんな小さな子供が
いつしかひとりで歩けるようになって
大人になって
そんな過程の中
人は生きてゆく
ただそれだけのことなのになんて壮大な物語 感じるのだろうね
たくさんの人たちのそれぞれのまぶたの裏で誰かのこと今日も考えてる
ただそれだけが世界の全てならいい
ただそれだけが世界の全てであってほしい
なんてことのない
当たり前な繰り返しが
くだらないようなことの一つ一つが
まぶたの裏で輝いてる
君にもわかるさ
僕にもわかるさ
みんなわかるさ
誰のまぶたの裏にもあるんだよ
特別でもなければ当たり前でもない気持ち
まぶたの裏で輝いてる。
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ああ 回り続ける地球の片隅 生まれた命が今日も泣きながら笑いながら こわごわ歩いてる
小さな一歩も大きな一歩もそうさ大して変わらない ゆっくりでいいんだよ 急ぐ必要も慌てる理由もない
流れ落ちた涙が心の中に水たまりをつくっても 悲しみはまだまだ尽きることなくこのほほを伝うよ
浮かべた笑顔はもしかしたら嘘っぱちの愛想笑いかもしれないのにそれがまるで当たり前のように優しさをくれる人がいる
あなたのぬくもりや
あなたの思いやりに
応えることができるかな
あなたの優しさや
あなたの気づかいに
値するほどの人になれるかな
あくびもして ため息もついて たくさん嘘もついて たまに誰かを傷つけて
それでも生きてゆかねば
大きく息を吸え
そして吐き出せ
目をひらいて
空を見上げよう
そこに何が見える
そこに何がある?
太陽、青空、雨雲
聞こえるのは
あなたの元気な声
そうさ、誰の頭の上にも雨は降っている
特別でもなければ当たり前でもないものを抱きしめて
今日も回り続ける地球の片隅 生きてる
あなたも生きてる
それでいいんだよ。
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もしも僕が大人になるまえにもう一度戻れたら
どんな夢を未来に見るのかな
どんな大人になろうとするのかな
ずっと夢見ていたよ
大人になったらきっともう少し 楽しいことが待っていると思っていたんだ
だけれど大人って思ったより大変で思ったより忙しくて
思ったより疲れるんだね
大事なことを知ったようで
同時に何かが消えてしまったようで
悲しくて切なくて
僕は涙を抑えきれない
大人になったら
もうそんな言葉は言えないね
僕はもう大人だ
あとはただこのままどこまでも続く道をまっすぐ歩いて行くだけだ
なるべく 傷つかないように
なるべく 躓かないように
なるべく 真面目に
生きて行くだけだ。
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猫が鳴く にゃんと鳴く なんとなく鳴く
空に雲が浮かんでる
なんでもない休日の昼下がり ひとりきり空を見上げて へたくそな口笛吹いて 笑ってる
君も泣く いろんなことが君を泣かせるだろう それでも、君は強く強く生きている
えらいよ 大したもんだ
日が暮れる頃には
いつもの玄関のまえ君を待っているよ
人は皆 ただいまを届けるために 帰るんじゃないのかな
おかえりが聞きたくて ただいまを言うんじゃないかな
ドアを開けただけじゃさみしいよ、物足りないよ
だからただいまを届けたくて 今僕は帰ってきたよ
夕飯の匂いやあたたかいお風呂にみんなの笑顔
なんとなくそれだけで悲しいこともどこへやら
ほらねいつの間にか君のほほに涙の川が流れてる
特別な言葉は必要ないね
「ただいま」と「おかえり」それだけで今日は終わるよ。
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おばあちゃんが丹精込めて漬けた漬け物
おいしい漬け物 今日もせっせと漬けるよ
ニンジン ナス 大根 白菜 キュウリ どれもよく漬かっているよ
おばあちゃんの長年の知恵と努力が生んだおいしい漬け物
そのしわくちゃな両手にはいくつもの優しさと愛情がしわとなって あらわれているよ
あまり泣くことがないおばあちゃんが泣いたのは おじいちゃんに先立たれてしまったからだけど
きっときっときっと
おばあちゃんはおじいちゃんのぶんまで長生きするだろう
またあのおいしい漬け物食べさせてね
またあの素敵な笑顔見せてね おばあちゃん長生きしてね。
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「だめな人間だな」なんてばかなこと言うなよ
人間みんなそれぞれに何かしらいいところや個性があって
今日もそれを生かしながらひたすら何かを頑張っている
勉強、お仕事、家事炊事 それは人それぞれに
そりゃ生きてれば苦労話もあるだろうさ
だけれど時には大人だって 子供みたいに声を上げて泣きたくなるような世知辛い世の中なんです
生きている
ただそれだけで
本当は十分なんだよ
笑えていた
そんな自分が今日はどれくらいいたかな
思い返してみると
本当にくだらないことが幸せだった
そんな気持ちがするんだよ
きっとただそれだけで 人なんて悲しいこともいつの間にか風のように目の前を吹き抜けて 通り過ぎてゆく
流れゆく街の人ごみの中に 紛れ込み何かを宛もなく 探してるふりをしてる
悲しみや喜びや憎しみや 積み重なる苛立ちもいつの間にかそんなこと忘れて ただ忙しなく毎日を送る
ただそれだけで 時間が過ぎてゆく
生きていた
ただそれだけの
人にいつか変わるけど
生きていた
ただそれだけで
誇れるような人生ならば
特別なことは何も起こらなくていい
当たり前な日常の中に幸せはいくらでもあるさ
生きている
ここで生きている
ただそれだけで
えらいよ 大したもんだ
そういうことにしてもいいじゃないか
今日の日の悲しみ
今日の日の喜び
明日への不安と期待
いろんなものを背負い込んで歩いて行くのなら
僕らはただそれだけで素晴らしい。
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この世界でただひとりの愛する人に
たったひとりだけの人に永遠を誓いたい
唯一の人と
唯一の時を歩む
それは唯一の旅
一度の行き帰り
僕は戻らない
戻れない
これは唯一の旅
さよならのあとには
きっと何もない
何もない。
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あなたは目を閉じても大事なものが見えるかい?
あなたは耳をふさいでも大事なことが聞こえるかい?
目にも 耳にも頼らずに生きたことがあるかい?
大事なことは目も耳もつかわなくてもきっとわかるはずなんだよ だってそれはいつも笑っちゃうくらいに当たり前なことなんだから
暗闇と無音の中でも見えるものはあるよ
聴こえる音があるよ
例えば誰かの産声や
例えば誰かの温もり
暗闇と無音の中にも
生まれるものがある
感じることがあるよ
例えばあなたの笑顔
胸にしまわれた記憶
目を閉じても耳をふさいでも
忘れない 忘れられない
悲しいこと うれしいこと いろんなことがこの胸の中にはある
人の心を見つめるためにはいくら目を凝らしてもわからない
人の本心を探り当てるにはいくら耳をすましてもわからない
本当に見つめなきゃいけない景色や場面
本当に聞き取らなくちゃいけない音や声
それはまぶたの裏に
それは心の奥にあるものなんだ
もう一度目を閉じてみてごらん
もう一度耳をふさいでみてごらん
あなたはさっきよりも人の心が わかるようになっているはず
暗闇の中や無音の世界でも 人の悲しみや痛みや苦しみに 敏感になってるはず
そして今日も感じてる
暗闇と無音の中で
あなたの心の奥で渦を巻く不安や焦り
そしてあたたかな優しさ
ほらね、あなたはもう言葉などなくても
手触りだけで なんとなくわかるだろう
心のまぶた ゆっくりひらいて 訪れた夜明けに 僕は笑うよ。