ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 新着順表示

どるとるの部屋  〜 新着順表示 〜


[3871] 妖の九「つくも神」
詩人:どるとる [投票][編集]


古びた草履や古びた茶碗 人間共に捨てられて 恨みつらみで蘇る 物から生まれし妖よ

江戸の都を 練り歩き 女子供もお構いなしに 長い舌で 顔舐めて 楽しそうに 驚かす

化けも化けたり 古草履
舞いに舞いたり つくも神

魂ぞ尽き果てるまでうらみます この世の未練 妖となりて人ぞ驚かす。

2012/03/28 (Wed)

[3870] 妖の八「ろくろ首」
詩人:どるとる [投票][編集]


おまえさん、今宵もあの娘(こ)とお出かけかゑ

おめゑをこんなに好いてるのに おめゑはあの娘に惚れている

おかげで私は待ちくたびれ
こんなに首が伸びて
妖と化してしもうた

そんな私の名は 長い首持つ ろくろ首

美人と近づきゃ 腰抜かす どこまでも首伸びていき 好いた旦那を追いかけて 顔ペロペロと舐めまわし
心の臓止まるまで驚かす 江戸の昔に伝わらん。

2012/03/28 (Wed)

[3869] 置き傘
詩人:どるとる [投票][編集]


空を見上げれば そこに雲があるように
僕らの存在なんて そんなもんでしかない
そんなものさ

簡単なことなのにそれを難しく考えるから
いつもうまくいかずに空回り 小さな小石にも躓く始末

見方を変えれば 道端に咲く花に気づく
僕らの頭なんて大してよくできちゃいない 不完全もいいところ

だからこそ、だからこそ 感情と心で誰かの痛みや涙に 関わろうと 少しおせっかいなくらい優しくなれる

大事なものは きっとそんな気持ちなんだ
僕らはいつのまにか忘れてる 何かを…

いつ雨が降ってもいいように 置き傘を置いておくように
用心の上に用心を重ねて 悲しいこともわかっていても立ち向かう そしてわかっていた涙をのむ今日
てるてる坊主は 役に立たない 悲しみ受け流す傘もない

相変わらず 嘘はお上手で お世辞もプロ並みときてる
そんな大人に囲まれて 僕はそれでも自分を見失わない

例えば 誰かと相合い傘して 帰るような
そんな心のゆとり
少しはあるつもりさ

だから一緒に帰らないか? 人ひとりぶんくらいは 余裕があるんだ。

2012/03/28 (Wed)

[3868] ありふれた人生
詩人:どるとる [投票][編集]


いつかここに小さな家を建てる
そして誰かひとりを死ぬまで愛する
犬や猫なんか
買ったりもする

ありとあらゆる概念から解き放たれて
ただ真っ白でただ自由な心で風の中に背筋をのばして立つ

いつかここに小さな墓を立てる
そして僕ら空の上天国に住居をかまえる
時々、神様に楯突いたりもする

ありとあらゆる当たり前の中に眠る幸せ
大事なこと、見つめるべきものは 得てして すぐ側にある

ほら、例えば 君が見上げるあの 広がる空の青さにも 希望や夢がたしかに見えるだろ?

ただありふれた人生をまっすぐに生きていきたい
生まれて 死んでいくまでの時間を 人生と呼ぶけれど 特別なものなんて何もなくて構わないから
ただ、大好きな人と笑って たまには泣いて 喧嘩もして
日々をおもしろおかしく暮らしていけたならそれが幸せだって思うよ

「当たり前でも何不自由ない毎日」 それにかなうものなんてそうはないから

明日も今日と変わらずにあなたと 二人でありふれた人生の1ページを きざもう

何ひとつどれひとつ二度とかえらない
今日という一度かぎりの時間を少しずつ少しずつ失いながらも 生きる喜びに酔いしれながら

いつか歳を重ね老いに気づき歩いてきた道を振り返る時

生きてきて良かったなあと
生まれてきて良かったなあと
思えたならばそれは素晴らしい人生だよ

どれだけありふれた人生でも きっとその時ばかりは まちがいなく 幸せに気づけるから。

2012/03/28 (Wed)

[3867] 妖の七「鎌鼬」
詩人:どるとる [投票][編集]

気がつけば 痛みもないのに 深手を負って 腰抜かす
三匹群れなし 真空つくり 今日も風まかせ 鎌鼬。

2012/03/28 (Wed)

[3866] 妖の六「小豆とぎ」
詩人:どるとる [投票][編集]


ただ、小豆のとぐ音 中空を彷徨い
音はすれども姿は見えず しょきしょきなる音 聞こえたり
誰ぞ名付けたか
怪しきその出来事
小豆とぎと伝わらん。

2012/03/26 (Mon)

[3865] 妖の伍「ひとつ目小僧」
詩人:どるとる [投票][編集]


草木も眠りし江戸の晩 商人、道をたずねし人 笠の下より見えたその顔 大きなひとつ目 ぎょろりとのぞかせ 幼子のようないでたちなれど 身につけしもの異形なる装束なり

江戸の人 是をひとつ目小僧と名付けたり。

2012/03/26 (Mon)

[3864] 妖の四「猫又」
詩人:どるとる [投票][編集]


年老いし猫 化けたる姿が猫又ぞ

尾、二又に分かれ
世にも奇妙な声を出し 屋根の上から誰ぞ構わず 飛びかかり
その喉元に食らいつき 生き血を啜る
怪しき獣。

2012/03/26 (Mon)

[3863] 妖の参「見上げ入道」
詩人:どるとる [投票][編集]


山を旅する旅人が岩に腰掛け一休み
ふいに見上げた 山の頂 大きな影が 我ぞ見上げる
世にも不思議
見上げるほどに背が伸びる 果ては空を覆うほど巨大

思い出したる噂のなかに 祝詞にも似た言霊在り

「見上げ入道 見越した」と三べん唱えりゃ忽ちのうちに影消えり

それが世に聞く 妖の大将名高き 見上げ入道。

2012/03/26 (Mon)

[3862] 妖の弐「箒神」
詩人:どるとる [投票][編集]


朝ぼらけ、庭のあたりに妙な音
誰ぞ 箒で掃くような それに似通う妙な音

しゃっしゃっと音は聞こえど姿は見えず
ただただ音のみ 幽霊の如く彷徨う
その妖の名は
誰がつけたか箒神

神ともいえど用心めされ いまだ誰も 見ておらず 箒、音(ね)だけが 木ノ葉ぞ揺らす。

2012/03/26 (Mon)
8416件中 (4661-4670) [ << 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 >> ... 842
- 詩人の部屋 -