詩人:どるとる | [投票][編集] |
交わるわけもない
人との隙間を
安い優しさで埋める日々
好きでやってるわけじゃない
ただ 白と黒との分け目を つけるため
僕は人とのあいだに距離をおく。
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人と人とが殺し合い
時には互いを庇い合う
まるでこの世はコロシアム
負った傷跡舐め合えど
消えぬ痛みに気を違え
夜も明けないコロシアム
活字の海に 溺れた民の群れの中
僕らは叫ぶ 己が自由を
そうさこの世はコロシアム
人と人とが殺し合う
それが喰らわれ喰らう本道さ
長い年月の果てに忘れた獣の本性を
解き放てば 食らいつく その喉元は女の小さなケツの穴
人と人とが憎み合い
時には互いを讃え合う
まるで光と影のコロシアム
月は夜に躍り出て
朝にゃ太陽しゃしゃり出る
僕は塀に身をひそめ
己が罪を正当化
ああ この街もやがて海の底
時が変える遠き最果ての明日の景色
結局この世はコロシアム
今なお続く争いに
呆れた僕らは
ぬるま湯の中
幸せに恍惚の顔を張り付けて
他国の不幸を笑ってる
ああ 人の心の中がコロシアム
心の調律 誤れば たちまちこの世は焼け野原
アルマゲドンにはまだ早い
さりとて この世はコロシアム
最後の手段は 決まってる
己が愛をただ信じ
明日をもしれない
希望の光
その拳に握りしめ
僻まず 憎まず
争わず
人の隙間を縫ってでも 私は綺麗を装います
盾も貫くその剣
剣も砕くその盾
どちらもただの盾と剣
交えてみても仕方ない
さりとて 人は殺し合う
罪なき人を殺めても少しの痛みも感じない
そんな世でも人は生きる
平和こそがすべてだと口にしながら殺し合う
解せぬ矛盾が多すぎる 理不尽だけが遺される
矛盾の宴は続くのだ
夜明けも日暮れも
違えなく 宴は終わらず続くのだ
まるで己だけが 善いように
まるで己だけが 秀でてるように。
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自分自身を描くこと
それは自分自身の悪を見つめ直すこと
自分自身を描くこと
それは自分自身の善を見つけ出すこと
どんな自分も紛れもなく自分だ
嫌でも受け入れるしかない
毎日を生きながら 自画像を描く日々
誰もが自分を描きながら生きている
自分に嘘をつき本当の心を塗りつぶしてもまたすぐに塗りつぶした色は剥げる
あなたには自分自身を直視できるほど自分自身は心も中身も美しいかい?
時に垣間見える醜い自分も自分自身だと受け入れられるかい?
自画像は生きたまま
自分自身を映すように描かれる
醜いようで美しい
美しいようで醜い
僕らの生き様を書き写すように
自画像はほんの一瞬の悪をも逃さず鮮明に描く
名画と誉れ高き
自画像の中にも
人の手による
隠しきれぬ油断があるように
僕らの人生もまた同じ
自画像は描かれる
今日も描かれる
ありのまま
生きている様を
描写する
悪魔のような天使のようなその微妙な気持ちの揺れようさえすべて書き写す
だから自分自身を偽ることは自分という名の自画像を書き換えるということに相違ない
自画像は云う
さりとてすべてを露わにすればあとから嘘の必要性に気づくと。
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もしも明日世界の最後の日を迎えるなら
僕に残された一日はどんなふうに過ごそうかな
縁起でもないけど
そりゃそうだけど
明日死んだらってことを考えたら
案外思ったより思いつかないもんだなあ
あれもやりたい
これもしたい
一日じゃ足らない
あそこへも行きたい
こっちへも行きたい
うまく笑えない
笑っても笑えない
だから泣いてみたよ
だけど悲しくてたまらなくなったよ
だからそんなこと考えるより今日を精一杯生きることにしたんだよ
たとえ明日が僕の最後の日だとしても
僕はずんずん進む
この道が行き止まりにたどり着くまで
明日死んだら どうかじゃなく
今をどう生きるかに専念しよう
明日のことより今日のこと
今をどれだけ精一杯生きれるかを考えよう
答えは最初から決まっていたね。
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なにもないところから何かが生まれる
なにもないところから僕らが生まれたように
いつの間にか 空の下 ふたつの足で立っていた
いつの間にか 土の上 歩き方を覚えてた
悲しいことも嬉しいこともそんなに大差はない
すべて なにもないところから 流れる涙や笑顔が花や葉っぱになって ほら君の顔に咲くんだよ
なんでもありそうでなにもないこの街の中 なにもないところからまた 何かが生まれ 何かが消えていく
今日も
街の片隅 ポツンと佇み 黄昏れば 街灯がぽつりぽつり ともりはじめるよ
そしてまたなにもないところから 君の笑顔が今 咲くんだよ
泣きたいときさえ泣けない世の中に
溢れる嘘の中 本当の事だけを 僕は大切にしたいだけ
なにもないところから見えない何かが咲いた昨日のように。
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誰かが 見つけた小石がひとつ
いつか 見つけた小石がひとつ
僕は拾ってみたんだ
丸い形 四角い形
小さいのや大きいのいろんな色の小石は 様々な時代を映してる
人の悲しみも喜びも知っている
美しい夕暮れも澄み渡る青空も雨空も知っている
小石は今日もただそこにある
今日も人の生活を見ているよ
あなたの足元で
笑いもせず
泣きもせず
ただ転がってるよ
星空の下
いろんな場所
いろんな形で
小石はただ
そこにあるよ
僕より長生きしてるからたくさんいろんなこと知ってる小石さ
いつか誰かが拾った小石さ
何年先もそこに転がって 人の生活を見ているよ
人の人生を見ているよ
優しくもなく
まして冷たくもない
感情のないその瞳で
黙ったまま 生きる
小石さ
そして僕は小石をもとの場所に置いて
僕も小石のような
この世界に転がってるたくさんの人の中のひとつだと思ったら 笑えたんだ
さっきまでの涙なんか忘れてしまうほどに
さっきまでの悲しみなんかどうでもいいみたいに。
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言葉もなく ただ
僕らはよくある
映画のように
瞳のスクリーンの中で左右の端々へと消えてく
画面の外側へと
見えなくなる
君の暮らし
星屑のかけらを集めながら 花を摘むように
僕は主人公を独り気取ってむりやり笑うんだ
始まるよ また今夜も 寂しげな星屑シアター
ゆっくりと 流れるよ 涙をのせて 回る月のレコード
出会えるといいな
また君を愛したように
永遠に今度は離れられない恋がしたいな。
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何もないけど
何かができる
何かをやれる
こんな僕にも
人を愛したり
人に愛されたりする
特別なことなど
たぶん何もないけど
きっと生きるだけなら誰かといるその時間が何より価値のある宝物に変わる
ああ どこまでも歩こう
道が途切れるまで
ああ どこまでも歩こう
この夢から覚めるまで
どこまでも どこまでも
誰かと共に 歩くのさ
この道は どこまでも道なりに伸びている
愛が頷くんだよ
大丈夫 さびしくさせないよ
私がいるからね
どこまでもどこまでも続く道の上
どこまでもどこまでも歩く人がいる
この道は誰かが 歩いた いつか 来た道
ああ どこまでも歩こう
雨が降る日も晴れた日も
ああ どこまでも歩こう
生きる喜び、悲しみこの身に受けて
ただ どこまでも続く道を
ただ いつまでも手を繋ぎ
飽きるほど 見つめ合い
どこまでも そうさ
歩こうよ。
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君が生まれた奇跡
君が生きてる奇跡
君が笑い 泣く奇跡
すべての人が生まれた奇跡
すべての人が生きてる奇跡
すべての人が笑い 泣く奇跡
すべて何もかも奇跡なんだな
特別なこと なにもないけど
奇跡と呼べば 何もかも奇跡と呼べるさ
偶然と呼べば単なる偶然だけど
奇跡とは偶然が辿ってきた足跡のことさ
だけどその足跡をつけたものが奇跡なんだよ。
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空は茜に染まれども
僕のこの心は青くただ青くどこまでも 若葉のようにまだ何も知らない
長い夢を見ていたような
そんな気すらするよ
今日というつかの間の幻
暮れゆく空の色と見事なまでに重なる
切なさに焦がれる胸の小さき声を 拾い集め 僕はまた僕の中の僕を一つ失うや
さよならの向こう側に 見える景色はともすればどんなもんだろう
さよならの向こう側に 揺れる街並みは今日と変わらずにただ穏やかな時が厳かに流れる
さよならとただつぶやいて消えていく人の影揺れる 夜の灯りの下 言葉もなく ただ黙りこくり 俯けば 優しさが胸に仄かにともるんだ
頼りなくあたたかいそのぬくもりは 僕が眠るその時までつづいたよ
さよならとこぼせば溢れ出す涙の行き先は誰も知ることもない黄泉の旅路(みち)と聞くのです
されど乾いた涙のあとは見えずとも心のどこそかに残っているのです
ああ さよならの向こう側へと消えたあの人も 今では笑ってる
ただそう信じたい
さよならのこちら側の僕や すぐ傍に寄り添う愛とも呼ぶべき灯火は 消えそうな笑みを浮かべ 僕のぶんのさびしさまで背負っている強いひと
雲に隠れた月のように ごまかしてばかりで嘘ばかりの僕だけど 君は何も言わない
さよならとただ言い渡せば君は 頷くのかい 儚げに佇む君の影 僕は今も若葉のまま
さよならも言えずに
愛に嘘を重ね
冷たい海を泳ぐよ
そしてまた繰り返す
押し寄せてくる波のよう
僕の涙は乾けども
降り出した雨はやまない
悠久の刻の中
日は昇れども
月は沈まず
僕を悲しく照らすのさ。