詩人:どるとる | [投票][編集] |
夜を追いかける時計が朝を探してる
電車の窓の向こう月を目で追いかける
くだらないことに時間は過ぎていった
ありふれた毎日をただ順当に過ごした
変わらない幸せと変わってしまう寂しさ
僕は 何かが変わったんだろうか
だとしたら何が変わったんだろう
走り出す その一歩でどこまでも 行けそうな気がしたんだ
たまには 派手に転ぶのも僕らしくていいだろうなんて
笑ってみせれば 明日もそつなく過ごせそうだなあ。
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帰り道を急ぐ人の中 遠回りをするのは
少しでも家に帰るのを遅らせたいから
一人ぼっちに気づきたくないと
寂しさから目を反らしているんだよ
夕暮れの街 半分だけの太陽 今沈む
歩道橋から 眺めた 泣き出しそうな瞳で
優しい誰かを思い出しながら
幸せな思い出で悲しい記憶をごまかす
でも気づいたよ
悲しみの中にも 輝く大切なもの
そうさ忘れていい思い出なんかない
ギターで奏でた下手くそなメロディ
それよりはずっとマシなチャイムの音
何も奪われてはいない でも何も手に入れてもいない
増えてく思い出は 数に入れないのかな
夜が来て 明かりの灯る道に 溢れる切なさ
ただいま おかえり 言い交わす言葉
昔は走るくらい早く家に帰っていたのに
いつの間にか 家は僕から遠ざかる
でも気づいたよ
僕から家を遠ざけていたんだと
心が最後に帰るのは生まれ育った家
世界にただひとつの生まれ育った家
愛してるとか 好きだよとか
言葉で伝える気持ちも大切だ
でも大切なのは 言葉にしない愛もあることで
歩道橋から 眺めた 泣き出しそうな瞳で
優しい誰かを思い出しながら
幸せな思い出で悲しい記憶をごまかす
でも気づいたよ
悲しみの中にも 輝く大切なもの
そうさ忘れていい思い出なんかない
そうさ捨てていい思い出なんかない。
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薄化粧をしたような空を見上げながら
二人は言葉もなく 歩数を稼いでゆく
寂しさを埋めていくのはなんだろう
そこに吹く風にせめて形があれば
目には見えない あなたの傷の痛みに
気づくことが出来るのに
大事なものが何も見えない目には
輝くものしか映らない
大事なものを聞き逃してしまう耳は
きれいな声しか聞こえない
「大丈夫」や「愛してる」をかぞえて
不器用に 手間取りながらも続いてく
未来の二人も 変わらないように
描く幸せは ほどほどにしておこう
たとえば 傍らに寝そべる猫や
窓の向こうの空を 見習って
ありふれていようと笑ったら
明日も また今日と同じ僕になれる
父の形見のギターで歌うのは そんな歌。
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赤い色した
恋の 薄化粧
頬をほんのり染めて
恋をした だけで
強くなれる
優しくなれる
枝先に 一枚
踏ん張っている葉っぱ
風にさらわれるまで見ていた秋の窓辺で
冬までには 持たない命と 心ひそかに
気づいてしまう 賢さがここで 僕を裏切る
さよなら さよなら
もう言えない 愛してるは 言えないままでいい。
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窓辺に降る星を そっと 見つめながら
季節の 移ろいなんかに気を回している
忙しい僕たちは 小説を読みながら
手の届かない憧れをさも手にしたかのように振る舞うのがせいぜいだ
そこに吹くのは 懐かしくて新しい 風
いつか 出会ったような記憶よみがえる
いつかどこかで出会っていた気がする
そんなあやふやな運命を持ち出して
僕はささやかなロマンスの浅瀬に
爪先を浸して 幸せだと笑うのさ
途中まで読んだのなら最後まで読みたい
続きが気になるような人生ならいいのに
ある日突然ロマンスカーで旅に出る
時計なんかない 世界に行きたい 夜も朝もない世界は ないものかなあ
記憶の糸を手繰り寄せて思いだそうよ
忘れてるだけだとしたら悲しいから
いつかまたどこかで出会えそうな気がする
そんな 宛もない期待を背負い 走っていく
僕には目指す場所も叶えたい夢もない
あなたが僕の夢になってくれませんか?
愛を 探して迷って
手間取って
呆れて 飽きて
色々 あって
こんな仕上がり
あなたが 喜んでくれるというなら それは何より
認めてくれるかな こんな僕の 頑張りを
めぐりめぐってあなたに届けばいい
いつか 渡そうと思っていた ロマンスを
そこに吹くのは 懐かしくて新しい 風
いつか 出会ったような記憶よみがえる
いつかどこかで出会っていた気がする
そんなあやふやな運命を持ち出して
僕はささやかなロマンスの浅瀬に
爪先を浸して 幸せだと笑うのさ。
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していたんじゃないかという結論にたどり着いた。
しかし作家にはなんの動機もない。
作家だけが計画の外で無関係の誰かにころされたのではないかと思う。
作家たちの企みを利用した第三者がいるのではないかという勝手な推測まで出たが、真相を知る者は誰もいない。
「皆、誰もが誰かにころされたがっている。またころしたがっている」 のだとしたらもしかしたら誰もが犯人でまた誰もが被害者になり得るのかも知れない。
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最初の被害者は石巻という男性だった。
巨大な四角い硝子の中にもうひとつ筒状の硝子を入れて人一人ぶん入れる空間があり、その中に石巻は直立した姿勢で入れられていた。
そして胸ポケットに「」と書かれたカードが入っていた。
そのことから殺人として捜査されたが、一向に犯人の目星さえつかめないまま時効となる。
それからある小説家の書いた一冊の本に警察はたどり着く。
その本は若い作家の書いた小説でその年の新人賞をとったミステリーだった。
その小説の中に出てくる殺人がまさに現実で起きた石巻殺人事件そのままだった。
それからパラダイスというレストランで客に見立てた死体が椅子に座らされてあたかも食事をしているようなシチュエーションにされた奇妙な殺人が起きた。被害者は多数。だが、誰一人関係性のない全くのランダムに集められた人たちだった。死体の傍らにはそれぞれ「虚偽」というカードがあった。
またもやその作家の書いた小説どおりだった。
「硝子の中の殺人」そして
「殺しのレストラン」
警察は作家を捕まえようとしたが、彼は自室でころされていた。
巨大なおもちゃ箱におもちゃと一緒に兵隊の格好をさせられて入っていた。
カードには「道化師」とあった。
それから、捜査は振り出しに戻った。
犯人だと思っていた作家も真犯人の手にかかってしまった。
警察は手をこまねるばかりで一向に犯人はわからなかった。
しかしながらあとであることがわかった。
最初にころされた被害者の石巻には借金がありその借金はもはや返せない額にまでなっていた。
二番目にころされた人たちも同じような事情を抱えた人たちばかりだった。
つまり事件関係者すべてに共通するのは「いつ死んでもおかしくない動機」があったことだ。
これは憶測だが、つまりは皆殺人をでっち上げてころすかわりに次の誰かがころすという繰り返しを
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誰かに会いたくなる 夕暮れの帰り道
ポケットにしまった寂しさが早くも はみ出してる
泣きながらだってかまわないから
僕の話を聞いてよ
少し優しくなるために 僕は悲しみを 知ろうと思う
目には見えない あなたの傷跡を
この町に暮らす いくつもの
数えきれない人々の営みを
隠した痛みに 僕はそっと
目をこらしていたいから
回るレコード 針を落として溢れるメロディ
包み込むように 町に流れる チャイム
迷いながらだってかまわないから
生きている 喜びに気づいておくれ
ただの人間でいたい 誰かに思われたり誰かを思うような
本当は 泣き出したい気持ちを
必死になって こらえている
大人になろうとすると無口になる
冷ややかな 眼差しの向こう側
優しい 君を知っている
笑うと案外 可愛いんだよ
時計から 逃げることはできない
追いつかれてしまうよ
どんなに走っても無駄らしいから
たとえばもて余した優しさで
誰かを 愛してみる
たまには誰かに愛されてみる
目には見えない あなたの傷跡を
この町に暮らす いくつもの
数えきれない人々の営みを
隠した痛みに 僕はそっと
目をこらしていたいから
本当は 泣き出したい気持ちを
必死になって こらえている
大人になろうとすると無口になる
冷ややかな 眼差しの向こう側
優しい 君を知っている
笑うと案外 可愛いんだよ。
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また明日遊ぼうね 指切りした帰り道
日の暮れた街並みは誰かを待ってる顔だ
坂道を 上りきったら家まであともう少し
お腹のほうもそろそろすくだろう
今晩の献立 一緒に考えながら帰ろうよ
つないだ手を そっと離すとき
僕はまた昨日と同じ気持ちになる
夕焼け空が 橙に染まったら
僕の心も同じ色に染まる
雨上がりの空のように
泣き止んだ君の顔に笑顔がよく似合う
誰かが 見ていた誰かの涙を 知っている
団地の 小さなブランコ風に揺れてる
優しい気持ちを集めて 誰かを思ってみる
夕焼けと同じ色した気持ちになるよ
夜が来るまでには仲直りをしよう
これ以上さみしいのはごめんだから
虹がかかるよ 悲しみのそのあとに
ささやかだけど僕から君に頑張ったご褒美
頑張っている 君を僕は知っている
痛いほどに だから
僕だけは君を信じてあげる
そんな小さなゆうきをひとつ たずさえて
つないだ手を そっと離すとき
僕はまた昨日と同じ気持ちになる
夕焼け空が 橙に染まったら
僕の心も同じ色に染まる
雨上がりの空のように
泣き止んだ君の顔に笑顔がよく似合う。
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擬音の街を抜け出そう
雨が 降る音にさえ
鼓膜は ふるえて
それが音になり声になり 届くよ
上も下もなく
空と地面があるだけの世界で
僕らの正しさはいつも曖昧だ
雲間に消えた飛行機の行方
空白の数時間
季節は夏だ どおりで暑いはずだ
やまない蝉しぐれ 乾いてはにじむ汗
廃線になったレールを辿る少年
日陰から日陰へ 飛び移る猫
お暇なら 僕の膝の上においでよ
日向ぼっこ つかの間に見た夢
外は炎天下 うだるような暑さ
景色が ぼやけてく
風鈴の音に目を覚ます
畳の上
夜になったら花火をしよう
約束ね 指切りした帰り道。