詩人:どるとる | [投票][編集] |
ああ なんて大きな背中なんだろう
山のように どこまでも どこまでも
ああ なんてやさしい背中なんだろう
いつか おぶってもらった日の夕暮れが
その背中を赤く染めていた
思い出の中に ずっと寄り添うように
カバのような 丸まった背中に やさしさを見てる あの日のぬくもりよ
忘れない 忘れない
僕は 忘れない
猫背の背中
カバの背中
もう一度 もう一度
僕をもう一度
のせてくれ
カバの背中に
そして あの日のように やさしく微笑んで
夕暮れの茜色と
アスファルトに伸びた影 すこしのせつなさを引きずって
カバは 大きな口を開いて 笑っていたよ
カバは 大きな背中を通してやさしさを教えてくれたよ
カバの背中に
のって 少年の輝く日々は過ぎたよ。
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何も無い
この世界には
ゴミクズばかり
転がってる
何でもある
この世界では
目には見えない
ものの輝きがちっぽけに見える
欲張りな人たちが
世界から自然を消し去る
欲張りな人たちが
自分の欲を満たすため 誰かの犠牲のうえに つまらない争いを起こす
何も ないほうがいい
ただ、愛があればいい
何も ないほうがいい
いっそ、何もなくなればいい
物であふれすぎたこの世界には 見えないものの価値なんて
なんて小さいんだろう
なんて貧しいのだろう 僕らの心は
何も ない世界だったらきっともっと僕らは やさしくなれたのに
やさしくなれたのに…
何もない世界さ
本当に大切なものは
数少ない世界さ
愛や優しさは
だから何もない
空っぽの日々の中に
注ぎ足すなら
そんな見えない
あたたかな気持ちだよ
何もないさ
何もないさ
ただ、欲張りな人たちが食べ散らかした
ゴミクズや もったいない生ゴミが あふれすぎるだけ
僕らは つまらない争いにさえ目をつむり
悪い大人たちの見本を見て思うのさ
本当の正しさの形は宙に浮いたまま
いつまでも 曖昧な誰もが納得するような
ただひとつのオキテ。
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心が勝手にしゃべりだす
その時涙は何を語るのか
その時笑顔は何を語るのか
僕らは今日も生きる
喧騒の中 人ごみに紛れるように 見失う
君の足音
耳をすまして 見つけるんだ
あしたの天気を占うように ほらね 靴を飛ばしてみるんだよ
悉く 靴は裏が出て
嘘のように雨が降り出す 傘を差そうにも悲しみを受け流す傘はない
せめてあしたが雨でも 少しだけでいいから
ほんの少し 笑えたら って小さな願いを捧げてる
胸の中 抱えてる たくさんの不安や焦りやいら立ちを 隠すこともなく 隠せるわけもなく涙は素直なまでにこのほほを伝う
時の砂時計 絶えず落ち続ける
旅の途中で
僕はまた 立ち止まり
見上げる 空に何度となく輝くあしたを祈れども たどり着いたあしたという今日には 嘘っぱちの笑顔が咲くだけ
自分に嘘つくくらいなら 責められようとも 泣きたいよ
それでも 恥じらうこの心が憎らしい
ああ あしたこそは晴れるかな
無駄かもしれないけどとりあえずは願うんだよ
あした天気になあれ
ああ 行き場のない悲しみは一体誰が 拭ってくれるというの?
さすらう雲が ちぎれてく
あしたの空に 続く道の果てに 太陽は 昇れども希望は 見えず
ただ どんよりとした不安が どこまでもどこまでも期待を遠ざける。
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命以上に大切なものなどあるものか
そう言った口で人に死ねと口走る
死ねと言ったその口である日は愛を語る
愛を語ったその口でまた人を傷つける
目には目を
歯には歯を
そんな言葉が過ぎります
でもできりゃ
心には心で
愛には愛で
そんな言葉に従いたいな
汚い言葉を吐いたって
また きれいな言葉で心を濯ぐ
がらがら ぺっで
またリセットさ
目には目を
歯には歯を
やり返した日々よ
それなりに楽しかったけれどもう 子供じゃないさ
心をつかって
向き合おう
心をつかって
人と付き合おう
僕らは鏡うつしで
自分自身と見つめ合う
ああ 僕の中にいる僕や その僕の中にいる僕に 聞いてみる
あなたは本当に僕ですか?
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芳しくないな 僕の毎日
合う鍵はないな
希望にあふれたあしたのドアに
戯れに 描いた自画像は 見事なまでに 崩れた
悲しみの中に 誰かが立っていた
悲しみの中で 誰かが泣いていた
いつかの僕だよ
泣きながら 描くのさ
あした やりたいことや
叶うはずもない希望
真っ白なノートが
たくさんの 夢で 埋め尽くされた
それは全て悲しみの自画像
僕が描いた 理想の残骸
永遠に 消えない 傷跡。
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だんだん 歳をとる
だんだん 涙もろくなる
だんだん 何かが変わる
だんだん 何かが消えていく
だんだん だんだん
だんだんと 僕の命の残り時間が なくなっていく
だんだん 見る夢が小さくなる
だんだん 愛や恋に縁がなくなる
だんだん 白髪が増える
だんだん 髪もなくなる
だんだん 気むずかしくなる
だんだん 口数が減る
だんだん ふさぎがちになる
だんだん だんだん
だんだんと 押し入れの中 埃をかぶったつかわなくなった何かのように 誰もがだんだん だんだん だんだんと
だんだんと 順番に。
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『かくなるうえは
この 命 絶とうとも
思いを 果たそうぞ』
彼は言った
辛辣なる 口振りで
タクトを振るわば
メロディーが
鳴りだす
君の思いのままに
楽団は 群れをなし
君の振るうタクトにしたがって
フルートは鳴り
ビオラは 踊り
ギターは 唄い
それぞれの楽器が
それぞれの良さを
持ち寄り ひとつの
ハーモニーを生む
僕は指揮者
さあ 人生を始めよう
あしたを示す指揮棒を 振り上げて
さざ波のように
小刻みに 時を打つ
命の時計が その役目を おりるまで。
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ねえ 知っていますか?
笑うとね 人はね
なんとなく幸せになるんだよ
ねえ 知っていますか?
泣くとね 人はね
何かが吹っ切れるんだよ
悲しみってさ
無いと つまらない
だって嬉しいばかりじゃ つまらない
結局 僕らは
刺激がないと
笑うことさえ
むなしくなるのね
全く わがままなもんです
時計は回る
急かしてるわけでもないのにね
僕らは バカみたいに生き急ぐ
そんな毎日を走る
ああ 見つめている
人から人へ
そそがれる視線のレーザー光線
愛が 愛が こもってる
恨みつらみがこもってる
遠くから 遠くから
近くから 近くから
あっちからこっちから
あらゆる場所から
あらゆる人から
あなたを 愛しまいと
あなたを 殺めようと
あらゆる方向から
あらゆる理由で
あらゆる方法で
今日も あなたを見つめてる そのまなざしの先には
僕も知らない愛がある
君も知らない思いがある
そんなたくさんのまなざしの中で 僕も誰かにまなざしを向けて生きている
ねえ あなたは
知っていますか?
そのまなざしの意味を
そのまなざしの真意を
そのまなざしの理由を
そのまなざしの重さを
そのまなざしの度合いを
そのまなざしの全てを。
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静かな 夜の中
ロマンスを ひとさじ
闇の中に垂らしたら
ばくぜんとしたさみしさも消える
憂さ晴らしに 出かけた夜の散歩
まぶたの裏 描いた 明るい あしたの風景
星空よ 輝く 神々の夜よ 闇の中でも たしかに 光り輝いて
悠久の時の彼方へいざなう その神秘さよ
静寂の中にもメロディは生まれるの
心の中に
静寂の中でもメロディは聴こえるの
目を閉じれば
ずっと昔からある
メロディが さみしさなんてオブラートのように包み込んでしまうの
それが静寂というメロディ
未知なる音階と音域で
どこまでもどこまでも
広がる メロディ。
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ゼロから何かが始まる
ゼロになり何かが終わる
すべてはゼロから始まり
すべてはゼロで終わる
始まりを表す数字でもあり
終わりを表す数字でもある
そしてゼロは可能性を生むものでもあり
可能性の無さを示すものでもある
ゼロは単にゼロでもあり
ゼロが何かに変わることもある
不思議な数字だ
ゼロの果てには
ゼロがあり
ゼロの果てには
見果てぬ
可能性が眠ってる
ゼロの頂点を
知ることは
無謀な旅になるかもしれない
それでも歴史的な旅かもしれない
だから行くんだよ
ゼロの果てに何が待つのかを 探しに行くんだよ
ゼロの頂点まで。