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目の見えない人間には昼も夜も関係ないんだよ
友達は言った
サングラス越しの閉じたまぶた 悲しそうに俯いた
僕は何も言葉をかけられずにあなたを見つめていた
何も見えないその瞳に映る闇に問うよ その眼差しよ その切なさよ 燃えるような悲しみよ 黄昏の海に沈む 夕日に僕は涙を流す
さよなら
さよなら
夏の道に
のびた影は消え
闇の中で
夜明けが朝を待つ
猫は細目を開けて
瑠璃色の夢を見る
全ての光が途絶え
この街に光が
もどる時人は目を覚ます
でもあなたの瞳にはあの太陽の光さえ映らない
でもあなたの心の中に朝はやって来る
朝をしらない瞳に
また今日も
朝は静かに訪れる。
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人はなぜ人を傷つけるんだろう
人はなぜ人を殺めるんだろう
そんな中で人はなぜ人を愛すんだろう
なるべくなら人と仲良くいたいと思うんだろう
流れ行く街の中
ただよう陰鬱な気配
手を伸ばせば
届きそうなくらい
空が低い
ひと雨きそうだな
鳥が低空飛行する
傘を忘れた少年がひとり雨の中 駈けていく 転ばなきゃいいけどって思うけれど
どうでもいいような景色が 目の前にただ広がってる日曜日
サンデードライバーがゆっくりとドライブを楽しむ ワイパーがせわしなく視界の中で右に左に行き交うよ
覚えておくことなどこれっていって何もない 真っ白な1日だ
自殺でもしようかな
縁起でもないジョーダンをこぼす助手席の友を睨むよ
さっきの少年が走ることを諦めたように
とぼとぼと雨にうたれながら 横断歩道を渡る
雨の日曜
降ったり
止んだりする雨が
うざったくて
苛立ちばかりが
かさばる日曜日。
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僕はここにいるのに
まるでどこにもいないみたいさ
悩んで 迷って
たどり着いた場所に光はあるのかな
希望っていう保証のないものを信じても 現状は変わらない
危ういままだ
時々自分という存在さえも 信じられなくなるのさ
どんなに巧い言葉で言い聞かせても 僕らの存在などは死ぬまでしか許されないとてもちっぽけなものだから
いつか全てが跡形もなく消えてしまうまで 僕は無駄な抵抗だろうと きっと現実にあらがうように 孤独でも 悲しくても
雨にうたれながら
ひたすら自由を叫ぶさ
泣いて笑って また泣いて 同じような日々を狂ったように生きて やがてたどり着く死という終着駅で待っている あなたに会いに行くのさ
はじめて希望を見た気がしたよ 保証のないものでも 抱きしめただけでわかるような 愛を僕は手に入れた
何もできないけど
何をする気もないけどただそばでいつもそばで泣いたり笑ったりするだけで それが二人ならば 特別になるんだね
悲しみという雨はいつまでも この世界に降り続くだろう
だけどあなたがそこにいてくれただけで
希望という光に変わるまばゆい 陽射しになって 涙し落ち込むこの僕にそっと差し込んだね
もうこの世界にはあなたはいないけど
あなたのぶんまで
生きるって僕は決めたからこの身がいつか病に犯され 使い物にならなくなるまで
あなたには会えないけど いつもあなたに話しかけてる
今日あったこと
見つけた綺麗な花や
おいしかったお店の話
あなたが好きだった
あの場所から見える夕暮れの色合い
今日もあなたのいない部屋 静かに電気を消したら不思議なほどに深い眠りに落ちる
希望はまだ死んでないよ
あなたがくれた勇気があるのさ
降り続く雨の冷たさに耐えうるような
強さで生きていくよ。
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常識なんて靴のつま先で蹴っ飛ばして
僕は好きなように生きるのさ
青い空 見上げれば 時は幾度も流れ 誰もが気づいたときには大人になっているんだ
鳥かごの中の鳥のように世の中に飼われているような僕らは
餌が無ければ 生きていけない 立場なんて最初からないものだって決まってるみたいなもんだ
僕のため息が 切なくあふれる真夜中に
言葉はなくても 悲しい そればかりが 頭の中 回り続ける
拳をいくら握りしめたって その拳で誰かを殴れもせずに
抱え込む苛立ちは
進路を誤った船のように どこへ怒りをぶつけていいものか迷ってる
常識なんて靴のつま先で蹴っ飛ばして
僕は好きなように生きるのさ
そう言っていた昔の僕の影がいつまでもつきまとうよ
僕が夢見て憧れていた未来は幻でした
今だから言えることさ
でも振り返らないよ
あとはもう進むだけ
進むだけ 進むだけさ。
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毎日のように流れる
絶え間ない惨たらしいニュース
親が子を殺し子も親を殺す悪しき道徳なき世界
僕の目の前を行き交ういくつもの人 人 人 人
変わり映えのないなんのおもしろみもない景色だ
誰もが他人を思いやれる世界なら きっと戦争など起きない平和な世界になる
感情があるから 僕らは争う 意見が食い違う でもそんな邪魔な感情さえも無ければ僕らは満足に分かり合うこともできない
不器用だろうとありあわせの言葉で誰かとの距離を縮めていくことはできるはずだ
言葉を交わすなら背中で向き合って話すんじゃなくて 人の目を見て話すんだよ
電車の中でのマナー
会社や学校でのルール
常識と呼ばれる
社会通念上の規律
守るべきものがたくさんある 縛られてばかりの僕らだ
でも自由になるのにはあまりに僕らは
小さすぎるから
囲いの中で
笑い
囲いの中で
泣くくらいが
ちょうどいいのさ
今日も悲しみを受け止める傘さえないけれど 信じられる何かがきっと僕にもあるから 差し出されたその手を握りしめて
僕は歩き出す
無視することのできない 現状に胸が痛むけど
きっと明日は晴れるだろう
なんの保証もなく
僕は信じるんだ
そこに人の優しさやぬくもりがあるかぎり世界はまたその美しさを取り戻せると
僕は思う。
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新聞の一面に載っている無惨やな ニュース
『息子が実母を殺めた』
それも時代のせいだと ひとくくりにして コーヒーを飲む
テレビの中にうつる犯人の顔 フードで隠されて 見えないけど 一体どんな顔をしているかと思えば どこにでもいそうな普通の人の顔
今の時代 いつ殺されてもおかしくない時代だよ
そんな時代にしたのは誰だ 誰でもないね
すべて時代のせいにして 都合の悪い自分らのダメなところはモザイクで隠してしまえばいいよね
傍観者のように なんやかんや言うだけで
かわいそうとは思いながらも なにもしない僕らは 貧しい国に募金する事さえ やらない あまのじゃく
行動と気持ちが整わない 僕らはへそ曲がり
時代のせいにするだけして 僕らは蚊帳の外で 酒をあおり 肴を食い散らかして 肥え太り 笑ってる
本当に悪いのは時代かな
目も合わせないおまえの顔は時代を責めておいて 少しも緊張感のないゆるんだ平成が生んだ 欠陥品
そのゆるんだ頭のネジをしめてほしいもんだ
街にはびこる
非常識という服を着た無関心という看板掲げて歩く誰かさん
悪いのはきっと時代じゃない
通りのショウウィンドウに映るおまえの間抜け面。
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世の中にあふれる
矛盾に気づいても
ちっぽけな僕には
どうすることもできない
豊かさに慣れすぎた僕らには 最早他人の悲しみや切なさに気づくこともできない
通り過ぎていくだけさ
そこで誰かが転んでも道端に空き缶を棄てるように 簡単さ
無関心丸出しで
無視して通り過ぎるのさ
『僕には 私には全く関係のない事』
自分さえ良ければそれで構わない
他人がどうなろうと自分には関係ない
そんな気持ちで生きている あなたはきっとさびしい人だ
どんなに頭が良くたって 優しい気持ちや他人を思う気持ちを忘れたら 人間なんて腐ったも同じなんだよ
世の中には 平気で誰かの屍を上を歩くような人もいて
優しくてあたたかい人もいるのに
僕の周りにいるのは
前者のような人ばかりいるのさ
時代が進むのはきっと仕方ないけれど
時代がどんなに進もうが人間が忘れちゃいけない事はたくさんあるはずだ
だから目覚めてよ
長い夢から覚めて
自分が今まで
棄ててきた
空き缶を拾いなさい
そして、自分が今まで傷つけてきた人を明日から労りなさい
それが人間だよ。
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僕らが見た夏の夢は
泡のように消えた
音もなく静かに地面に落ちた線香花火
祭りの夜に切れた鼻緒を結びなおして
幼い時のようにはしゃいだ記憶が心のアルバムにそっとしまおう
夏の記憶が一つ一つ
よみがえっては消えてゆく
夏のアルバム
表紙ひらけば
いくつもの
記憶が蘇る
そして再び
夏はやってきて
僕らを焦がす太陽光線
うだるような日差しと
蝉しぐれに包まれて
逃げ込んだ日陰で
そっと口づけ交わした秘密の夏の午後
そんな記憶もそっとしまおう
夏のアルバム
表紙を閉じて
僕は振り返る
あの日の
君の横顔と
汗にまみれた
日々を
夏のアルバム
表紙を閉じても
消えない鮮やかな記憶
僕は忘れない
君の優しさ
君の匂い
きっとまた
来年 会えるだろう
微笑んだ君の横顔
とりたての野菜
縁側でやった花火
線香花火 誰が早く
落ちるか競ったよね
くだらないけど
そのくだらなさが
暑さの中に優しさをまぶしてくれる
夏のアルバム
心の奥に
しまうとき
僕は切なくなる
暑さが恋しくて
なぜかちょっとだけ
潤んだ瞳の先
横切る 赤トンボ
揺れるがまの穂
通り抜ける涼やかな風
数字だらけの味気ないカレンダーいっぱいに咲いた朝顔と君の笑顔。
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僕らはいつも 同じように 毎日泣いたり 笑ったりしているだけでほらどうでもいい事が幸せだってことにも気づけずに
見えている幸せの前を通り過ぎるのさ
こんなふうに普通の毎日を送れる事が幸せだとも知らないで
普通に暮らせる事なんて当たり前っていうような顔しているようじゃ バカだね
感謝までもするような事じゃないけど
欲張った末に迎える結末は映画でもあるように 欲張りな悪党は最後は悲惨な最後を迎えるよ
だから ちょうどいいとこで 普通に泣いて普通に笑っていよう
そこに君がいて
ここに僕がいて
休みの日には
花に水をやって
隙があれば
どっかに出かけて
それなりにバカで
それなりに真面目で
それなりに賢くて
それなりに欲張りで
それなりに愚かな
僕らの毎日はきっと生きているだけで幸せ
人生とは幸せをさがして出る旅というのならばいつまでも満たされることのない欲望を満たすための旅は無意味だよ
ほらあなたの目は節穴さ
幸せならいつでもここにある
気づかないあいだに幸せになってる
気づかないだけで
暮らしてる毎日が
もう幸せなのさ
大事なもののあたたかさや優しさにふれたとき 人は気づくのです 今までの自分の醜さと本当の幸せを見えずにいた愚かさに
幸せならさがさずともいつだってここにあるんだよ
毎日 三食ご飯が食べられて 住む家があってさ 愛すべき人がいるならばもうそれはこの上ない幸せ
ゴールから先はないよ
あとはもう引き返すだけ
あとはもう老いぼれてゆくだけ
幸せをさがしても
満たされるのは
欲望だけ
幸せをさがしているならば 目を閉じてごらんなさい
ほらね あなたを呼ぶ誰かの声がきこえる
ほらね あなたを見守ってる誰かのまなざしがあなたを見つめてる
それが幸せってものさ。
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彼の時計はもう動かない
短い針も長い針も
もう動かない
教科書で見た
戦争のあの瞬間
とらえたような
一枚の白黒(モノクロ)写真
きっと彼の時計はもう必要ない
だけどこのまま
彼の時刻は進まない
彼の遺した言葉や押し花は きっと見る人の心に悲しみを宿す
でも彼はやさしく笑う 写真の中でやさしく笑う
だから彼は空の上
動かない時計を抱きしめて やさしく笑う
きっと やさしく笑う
動かない時計の中で
止まったままの時の中を 生きる
朝も夜も来ない
幻のような
そんな時の中で
動かない時計は
仕事を辞めて
じっと眠ってる
もう時計は死んだ
彼の命も終わった
だけど彼がいた
この場所に花が咲く
新しい家も建つ
誰かが住む
町は変わり
景色も変わり
時代がいくつも
流れ流行り廃りを繰り返して僕らはデジタル時計のように正確な時の中をせわしく動く秒針のように機敏に生きる
彼の写真は町の公民館に飾られて
彼のいた町は
もう廃れて
動かない時計は
本当に動かなくなった
動かない時計は
永遠に動かなくなった。