詩人:どるとる | [投票][編集] |
今朝届いたニュースペーパーにははたして書いてあるか?
おまえの期待するような飛びぬけて明るいニュース
このごろなんだか
みょうに沈んでるのは
何も今に始まったことじゃないんだよ
ため息の数も多くなり
ついにはなんだか生きてても楽しくないななんて思ってしまう僕がそこにいた
灰皿にたまってる
吸い殻が山盛りのライスのようで おかしくて泣けてきた
むりやり笑顔つくるのも
むりやり明るい話に話題をもっていくのも
なんだか億劫で
明るい話をしようとしても世の中不景気だし
暗いニュースばかり飛び交う テレビもラジオも 聴きたくも視たくもない
今日もどこそかの街で誰かさんが馬鹿なやつに命を奪われました…
そんなニュース
朝から誰が聴きたいか?
真実は聴く者
視る者に 途方もない悲しみを植え付けてゆく
明るい話はわるいけどできないな
でも花を生けるのも趣味じゃないし
安易に誰かさんの死を悲しむのも なんかあれだし
とりあえず
いつものように
いつものように
繕うことにするよ
でも、よくできた
作り笑いはなんだか自分でも不気味なんだ
みんな明るい話で盛り上げてるのに
わざわざ正義感出して
暗いニュースが多いねと言えばすかさず浮いてしまうというのなら
暗いニュースは誰の話題にものぼらない
なかったような話になってしまう
だから僕はなるべく
黙ったまま
誰かの軽率なくだらない話など ハナから聞き流したいのさ
暗いニュースは
明るい話より
ずっと多いはずだから…
ニュースペーパー
開いてる朝
朝食が不味くなるようなニュースは勘弁
今日何があっても何も知らないでいたい
そしてだだ、僕もみんなのように 身勝手なほど 笑っていたい
暗いニュースなどないように
誰も悲しんでないかのように
誰かの涙を把握しながら 笑いたい
そんな事思う朝。
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『生きる意味が突然わからなくなった。
完全に自分を見失った。だからだからあの世へ先に逝きます。』
そう書き遺して
彼は旅立った
明けることのない
永遠の夜の世界へ
人の考えはいつも
見事なまでに交差して なかなか重ならないね
君と僕の意見は食い違ってばかりだった
君の全てをわかってたようで肝心なことはわかってなかったみたいだ
およそ地面との距離 ざっと150メートル
そこから落ちたら
完璧に死ねるね
だから君は死んだんだよね
君がこの世界に残したものは何もないよ
君がこの世界で生きていた証は 君が最期に書き遺したこの遺書だけ
でもそんなものは
残された僕には忌むべき ものにしかならないのさ
どうして僕は君の隠してるさびしさに気づいてあげられなかったんだろう
どうして君は近くにいる僕に話してくれなかったんだろう
150メートル離れた
このビルの屋上で
僕も上から下を眺めてみたけど 僕には高すぎる 距離だった
君と僕との距離も
このくらいあったのかな
でも愛していたよ
誰より何より
でも死んでしまった
今では何ひとつ無駄だよ
彼の遺書はたとえ燃やしたって僕の心にずっとずっと遺りつづける
彼の死んだこのビルから僕は空を見上げ
彼につぶやいた
ねえ なぜ君は死を選んだの?
今もわからないよ
死んでも
埋まらないこの距離
僕も死ねばわかるのかな?
僕は君のなんだったのかな?
君と僕との見ていた世界その差150メートル。
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まだ昨日の余韻が残ってる
忘れ得ぬあのメロディ
まだ昨日の余韻が残ってる
忘れがたいあのメロディ
遠いような近いような昨日に僕を誘う
いつまでも心地よい余韻を残して
いつまでも心地よい余韻を残して。
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今日も何かが悲しかった
そして何かが嬉しかったよ
ため息まじりの吐息も白く煙り
平凡で穏やかな毎日 それもいいなとひとりクスッと笑いながら 僕は頷いた
やがて日はとっぷり暮れまして
静かな夜がやって来ました
窓の外には大きくて丸い月がひとつ 浮かんでる
さびしさがひゅるり
吹き抜けてゆく
モテない男のブルースよこの夜に輝く星となれ
言葉になんない
気持ちを ぐっと
受け止めて
黙ったまんま
だだ、今は だだ
風に吹かれて
目を深く閉じた
平凡でもいい
平和ならそれでいい
たとえば今日みたいな幸せな日であれ
僕は天に祈ったよ。
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さよならグッバイ
またねアディオス
背中で手を振り
今日に別れを告げる
自分はどこもわるくない
全部他人のせいにして
責任から逃れようと
現実から目をそらす毎日
金と愛を天秤にかけて つりあわないならどっちも我がものにしようと企む
貪欲な人間がここにもひとり 高笑いしながら 汚れていくのも気にせずに結局今日もいつもの僕だった
結局いつだって
僕はどう転んだって馬鹿だから考えたって仕方ない
結局僕はなんのために生きているんだろう?
結局僕はなにをしたいのだろう?
結局あの夢はどうなったんだろう
今生きているのも結局のところ しかたなくだろう?
結局なんのために生まれたんだ?
結局なんのために歩いてゆくんだ?
風に吹かれて切なさが吹き抜けていく
いくつもの展開のあるストーリー
不規則に 入り乱れてゆく
結局 今日もなんの答えも出せないまま
明日はまた片付かない問題放り投げたままやって来る
結局 いつも同じ事の繰り返し
悪循環がめぐるだけ
気まぐれな僕の思考回路がやがて 睡魔に勝てず フェードアウトした時
結局今日もいつもの今日になる
そして結局
結局のところ
世界はこれからどうなってゆくの?他人のことはいいよ
大切なのは自分のことだよ
こんなご時世ですから
なんて人のせいにしている僕をぶん殴ってくれ
結局 他人に頼らないと 何ひとつ決断できないのが僕なんだ
今わかってしまったんだよ。
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遠い昔 近所の公園で泥にまみれて 遊んでた僕がいた
なんとなく柄にもなく散歩に出たときに
公園に立ち寄ってみた
砂場にあの頃の僕はもちろんいなかったけど
大人になった今も思い出すよ
だだ楽しかった日々
ママが迎えに来ても
しばらくは まだ遊び足りないと だだをこねていたけれど
今晩はカレーだよと聞けば 素直に帰った僕がいたんだ
ママが台所で家族の夕飯をつくってる
いい匂いが家中を包み込んだ
お鍋の中でぐつぐつコトコト
音を立てると
僕の腹も鳴った
ぐーぐー
ママの愛がたくさん 詰まったおいしいカレーライス
いただきますを合図にスプーンで口にはこべば ママのぬくもりがのどを通り抜けてゆく
優しい甘口
具は大きめ
たまに ルーが溶けきってなかったけどそこがまた手作りの良さを出していた
また つくってほしいな
あの懐かしい味
ママ直伝のカレーライス
同じ味にならないのが悔しいけど
また食べたいな
ママのカレーライス。
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言葉にならない思いをもしも今すぐ言葉にできたなら
どんな言葉を言えるだろう
どんな言葉を言うのだろう
希望なんて とうに見えなくなっていた
辺り一面 焼け野原
人っ子ひとりいない
孤独とさびしさだけがあふれてるこの夜に
どんな救いがあるのかな
僕には歩く力すらもう残ってないのに
明日は無惨にもやって来る
太陽を見るのもそのうち嫌になるんじゃないかと
おびえていたよ
見えない何かに
朝が来るたび
心が押しつぶされそうになって
世界の誰より
全てが劣っている
そんな気がするよ
今日も悲しかった
今日も嬉しかった
でも仮に何かが幸せだったとしても
馬鹿な僕には気づけないさ
今さらながら
己に問います
幸福とは 一体
何を指すのか?
幸福とは 一体
どんなものなのか
それが判るまで
あしたは見えない
見えないままだ。
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不細工な顔でもいいからとにかく顔を上げなよ
死んだような目をしてないで
生きてるっていうなら前を向きなさい
生きてるっていう目をしてみなよ
人生いつだってリアルタイムなんだぜ
生まれたならば
生きていきなよ
形や生き方なんて
なんだっていいよ
とにかく自分ってもんを見つけてごらんよ
何より自分のために
何より明日のために
前向きになるために
一歩でも進むために
自分の背中は自分で押してごらん
前向きな唄 うたうように
後ろ向きな唄 蹴散らすように
男は男を見せてごらん
女は女を見せてごらん
生きてるっていうなら
生きてるっていうのを形にしてごらん
無謀なくらい
無茶もすべきだ
無謀なくらい
勇み挑むべきだ
自分が自分になるために
自分が自分と気づくために
まばゆい明日がやって来るように。
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過去も未来も現在も結局はいつだって
今だけが自分にとって世界の全て
先の事など考える余裕もない
そのときを生きるのに精一杯だから
結局はいつだって
目と鼻の先にある小さな小石にさえ注意を怠ればけつまずく
一秒後さえ僕には未知の世界
結局はいつだって
今だけが人間にとって世界の全て
振り返ったって
目を凝らしたって
足元しか見えないのさ
だからまずは今を生きる
転んだって立ち上がって
また歩き出すんだ
ひとつひとつの途方もない『今』という瞬間を見つめながら
全ての今に意味を持たせるように
僕は今、今を生き
今、今を生きてる
いつでも今を生きる。
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僕らはこうして
ふいの風のように
生まれて
ふいの風のように
消えていく
どれだけ思い出
つくっても
どれだけ財産
蓄えても
悲しくなってくるな
だんだん歳もとって
だんだん切なくなって
だんだん閉じこもりになっていって
なんだか寂しくなっていって
それでもむりに笑っちゃって
今日も強がってるだけで夜が来て
いつの間にか夢の中
目覚めたら朝
そんな毎日
光と影に区切られた
世界の夜明けに
まぶしい朝がやってきても影はいつもつきまとう
それをそれと割り切れない僕の心に
そしてそんな僕の心は単に悲しいだけのバラードのように素直に沈んでゆく
優しい人のぬくもりへと
あたたかい人の愛へと
逃げるように
救いを求めて
本当は無傷のようで
傷だらけな僕に
気づけとばかりに
誰よりも 光を帯びたあなたに倒れ込んでいた
街の片隅 満月の夜
言葉を交わさずに
僕らは会話した
あの夜は今も僕の中で息づいている。