詩人:どるとる | [投票][編集] |
疲れ果てた帰り道は
ため息さえも生暖かく なぜかコートの襟を立てたまま
ぼんやりと眺めてる
窓の外の景色
流れ去るように
変わり映えしない景色はただ僕の瞳に
電車内の景色とだぶって映る暗闇だけ
僕の顔がとても情けなくて それでもどこかしらでずっと愛しくて
改札を抜け出た時
僕は雨の洗礼をうけて ずぶ濡れ 濡れ鼠
熱い雨に打たれて
寒い 街の中で
人通りの多い表通りから離れたら
一変 人っ子ひとりいない 寂れた道の先で待つ僕の家
重いドアを開けて
ただいまと言っても
誰も返事もしないさ
だって、僕は僕はねさみしいひとり暮らし
もう慣れたけど
慣れたからといって
いつもさみしくないわけじゃないし本音いえばさみしくないわけがないんだ
ああ 泣きたいから
泣くよ
お外では若いおじさんは
愛想ばかり浮かべて
思うように笑ったり泣いたりできないから家に帰ったときやっと素直に泣けるんだ 感情吐き出せるんだ
そんな僕の暮らしは
つづいていく
だれにともなくつぶやいた愚痴とも皮肉とも卑屈ともとれない言葉
ひとりごとがまるで
星のように この部屋に奇妙な輝きを与えてる
さみしいひとり暮らしにはそれくらいしか救いはないのさ
それくらいしか救いはないのさ
現実を見なよ
大概そんな具合さ
暮らしは性懲りもなくつづく
甲斐性のない僕をいやいや乗せたまま
回り続ける地球の片隅で 小さな願いをたくす夜は
きっと眠れないんだろう
だけれどだけれど
何はどうあれ
僕の暮らしは
つづいていく
ひとごとみたく
つづいていく
地獄の三丁目までも
天竺よりも
ラピュタよりも
ずっとずっと
彼方まで。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
ひとりぼっち
零時過ぎの真夜中
ふいに存在が消えた
気がしたんだ
とっさに体勢を立て直したのはいいけど
やっぱり足取りはおぼつかないな
何もかもが僕には似合わない気がして
ふいに思ってしまう
死にたいななんてさ
溢れ出る涙を うまく隠せないまま
星の瞬きにさえ目をそらしたよ
心の掃き溜めに捨てたはずの夢が僕に助けてと叫ぶ
何もかも諦めればそれで済んでしまうのに
そっちのほうが絶対楽なのにどうしてだろう
無謀にも立ち向かおうとする僕は
見えないギターを抱えて
聴こえないメロディを奏でる
僕は名ばかりの
シンガーさ
僕には名前なんて
大それたものはきっとなくて
僕にはプライドなんてきっとなくて
どんなに傷ついても悲しくならないのは
きっとそのせいで
溢れ出る涙はそんな強がりが全部嘘であることの証で
マイネームイズ
僕はただの弱虫だよ
マイネームイズ
僕はただの嘘つきさ
ピエロのように愛想笑いばっか浮かべてるだけのバカかアホだよ
今夜もきっと
唄うだろう
カナリアのようには
美しく唄えないけど
誰かの心に
自分の心に
語りかけてゆく
僕っていうやつの
本性を映し出す
鏡のような
透明な唄を
僕っていうやつの
正体を暴き出す
偽りのない唄を
雲ひとつないさみしい空に浮かべて。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
いつかここに生まれた命は
とてもちっぽけではかない命だから
やがて定められた時が来れば
風に消える炎のように死んでしまう
人はまるで 一本の木の枝々に生えた葉っぱのように
地面に落ちてしまうまでの時間を生きてる
僕はなんのために
ここに生まれてそして
君はなんのために
今も歩いてるの?
理由なんて無いけど
今日も何かが嬉しくて
何かが悲しいのだろう
そして
明日も何かが嬉しくて
何かが悲しいのだろう
人に出会いそして
人と別れていく
その過程の中で
絶え間ない
感情の揺れ動き
繰り返す
たわいもない連鎖
そしてやがて時が来て
大きな大きな風に
葉っぱは落ちて
僕はそれを近くで見ていて
ただただ悲しいなと涙を流すことしかできないんだ
だからせめて忘れないように忘れないようにいたいから
小さな命の最期の輝きを永遠に閉じ込めて
僕だけは忘れないでいるよ
ひとつの
物語が終わる時
どこかで
ひとつの
物語が始まる
生と死 繰り返す中で僕もいつか彼のように彼女のように死んでいくから
それまで葉っぱとしての時間を精一杯生きたいな
小さな命を精一杯
燃やして 燃やして。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
白黒つけられない
僕の性格は
多分もうなおらない
優柔不断で
はっきりしなくて
油断大敵なのは
重々承知だけど
定まらない気持ち
ブランコのように
常に揺れてる振り子の心
僕の中の良心と悪心が闘ってる
コロセウムのように
互いの言い分ぶつけ合ってきりのない話し合いはつづく
オセロのように
簡単にどちらかに転べたなら簡単なのにね
なぜかできない
できないんだ
白黒つかない
白黒つかない
白黒つかない
今日も
どちらが勝つともなくオセロはつづく
見えない影と
闘う日々。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
消去法で消し去ったメモリー
回り続ける季節の中でふと気づけば
やわらかな風の中
なにもない部屋に
寝そべる日曜日
それはまるでくだらないローテーション
春が来て 夏が来て
秋が来て 冬が来て
また 季節は繰り返されるだけ
単純な気持ちを抱えたままで僕は宛もなくさまよう旅人
人間でもなくて
化け物でもなくて
きっと多分 僕の正体はつまらないミジンコみたいな微生物の塊
言い訳と卑屈
きりもなく
並べ立てて
脆い僕の盾は
誰かの拳で貫かれ
刃こぼれした僕の剣は誰かの蹴りひとつでへし折れた
瞑想の彼方で
僕を待ってる
はるかなる明日よ
昨日と今日と明日
過去と現在と未来
三つの空間の中を
ただようクラゲのようにふわふわと歩んでいく
高速の二車線で
渋滞につかまり
身動きのとれない
僕はまるで金縛り
またつまらないローテーションに吸い込まれていく
ドライブスルーのファーストフードで済ます昼飯と会社のくそ不味い弁当のローテーションのように
全ては輪廻するかのように今日も明日も変わりなく
いつもの僕がいつものようにいつもと同じことを繰り返す魔のトライアングル
そしてやがて、
終わる人生
大概人の一生なんて
そんなものです
吐き捨てたら楽だね。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
僕らはパズルのピースを組み上げていくように
日々 人生を完成へと導いてく
脳内の中だけで
行われる処理
要らぬ記憶はすぐさま抹消だ
今夜はなぜか
寝つきがいいから
ご機嫌な目覚めが
待っているだろう
心拍数は落ち着き
穏やかな波を描き
僕ら少しも不安じゃない
密かに脳内の中で
行われる管理
要らぬ記憶はもうどこにも無い
だから
安心しておやすみ
夢の中へ 夢の中へ
沈むようにサヨナラ。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
陰鬱な世界に今夜も見えない雨が降る
悲鳴ひとつあげずに静かに消えてゆく星
最後の瞬きひとつ残して死んだ帚星
尾を引いて 輝いて
なんの言葉も残さず
消えたあの星はなんのために生まれたのか
きらめく物語 続きのまたその続きで
つづいていってやがて終わる儚い物語
流れゆく時の重圧で今にもつぶれそうさ
それでも流れていく帚星
その儚い一瞬は
永遠より長く
その儚い一瞬は
何よりも短く
僕らの一生などは
無意味になるくらい
彗星の一生は素晴らしい
一瞬だけで輝ける
彗星のように
僕らは生きる
願わくば輝いて。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
どこまでも続く道の上
偶然にも咲いた花のような人
こんなつもりじゃなかったと
言い続けること
何年過ぎたろう
光と向き合えず
影となれ合えず
今も中途半端な
世界で悪にもなれず
善にもなれず
陰と陽の境で生きてる
いつまでも笑えない僕だ
家族からも見放され行き場もない
こんなはずじゃなかったんだ
そう言い続けて
幾度逃げてきただろ
人と向き合えず
自分と向き合えず
今も中途半端に
ここで僕は悪くない悪くないんだと
夢とうつつの境目さまよってる
言い訳ばかり繰り返して
本当は自分の悪いとこわかってるくせに
今日も逃げ道を走る僕なんだよ
夕陽が真っ赤に燃えている
光と向き合えず
影となれ合えず
今日もちっちゃなプライド 抱きしめて
光と影のどちらでもない中途半端な僕は言いたい放題叫んでんだ
こんなつもりじゃなかったよ
そう言い続けても
仕方ないのはわかってる
だからこそ
終わりなんだよ
逃げ続けるのは
引き返そう
今ならまだ間に合う
光と向き合って
影と向き合って
今は中途半端さ
だけどね夢もあるしやりたいこともある
だから生きてるんだ
光は僕を見放さない
影も僕を見放さない
だから今日も泣いて笑って 散々勝って言って明日には全部都合よく忘れてる
大丈夫
このまま行けそうだ
光よ 影よ
僕は生きることも
死ぬこともできない
ただ、ここにいて
僕という存在を
続けるよ
僕という存在を
守るんだよ
光と影の合間を縫うように
いびつだけど
人生ってやつに
希望ってもんを
抱いてみる
未来ってやつに
期待ってもんを
預けてみる
僕ってやつに
自信ってもんを
植え付けてみる
そして
世界ってやつに
夢ってもんを
見ている
憧れという名の洒落た
ただひとつの僕が生きるための糧。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
あいつはいいよなあ
過保護でいいよなあ
甘い蜜ばかり吸っているとやがて苦労する
自分への甘えは自分自身の首を締めるぞ
そんなのまるで関係ないね
皮肉って1日が暮れてまた時間を無駄にし
愚痴って1日が暮れてまた時間を費やして
卑屈ばかりこぼして
人を羨むのに何も行動起こそうとしないのは楽してたいから
「今」しか見られない人
未来を見据えて歩く人
いろんな人がいる中で僕は前者のほうさ
皮肉って愚痴って
卑屈言って
人をさんざん羨んで
寝るわって
繰り返してきた日々だから
夢も希望もないのなんて当たり前な話で僕もそんなのはいらなくて
好都合ね
暗くて地味な未来ね
それでもなぜだろう
頬に流れる涙
心にも生活にも
豊かさはなく
貧しいばかりで
何もかもが悲しいな
後悔は嫌いだから
精一杯強がって
悲しくないふりして
笑ってみても
やっぱり悲しいね
皮肉と卑屈の唄
ため息で回る風車
夜の向こう側で
聞こえる猫の鳴き声に応えるように僕は誰かに救いの声をなげたんだ
若さはもう言い訳にはできない
僕も二十歳を過ぎたから
これからは自分の責任になる
すべてすべてすべて何もかも
それも踏まえて
不安極まりないなあ
いちいち
前に踏み出す
足がふるえてる
生ぬるすぎた学生気分が抜けなくて
うつむいてばかりで
現実と向き合えない
そんな人よ
聞いてください
何がわるいとかそんなこと言うまえに
とりあえず
うつむいてる
顔をあげようか…
僕は僕自身に言うように唄います。
詩人:どるとる | [投票][編集] |
海を隔てた向こう側で
今日も誰かが
泣いているんだな
壁を隔てた向こう側で
今夜もケラケラ
誰かが笑ってる
それぞれの瞳に映る「今」を見据えた上で
みんな見えてる景色は同じはずなのに
見え方が違うだけで
考え方が違うだけで
たやすく争いは起こり
人が人を傷つけ
あろうことか殺めるふざけた世界
何の理由もないのに
ただそうしてみたかっただけと人の命を奪う人は人じゃない
みんな それぞれがそれぞれに精一杯自分の今を生きていて
だれも それぞれがそれぞれに自分の道を必死になって走ってるんだ
それを無慈悲、理不尽に壊す権利など誰にもありはしないのさ
見た目平和な世界
箱を開ければ
醜い世界が垣間見える
そんな見かけ倒しの世界なんてなくていいから
お願いだから
人の痛みを思ってみてください
人の生き様を切に感じてみてください
僕には何もできない
どうすることもできない
どこかで今日誰かがもしも死んでも
アドバイスすらできない
逃げ腰になるのは
もうやめよう
傍観者に成り下がるその心こそがこの世界に拡がる影を濃くするんだ
同時刻の外側で
誰かは笑ってられるのに
誰かは泣き続けてる
こんな理不尽で
無慈悲な世界があっていいのかなあ?
愛と平和を望んだ
誰かの涙が
愛と平和を汚す
誰かの汚い笑顔に
踏みつぶされてしまう現状
まるで誰かが知らずに踏み潰してしまった花のように
もうそれは取り返しもつかないくらい
狂ってしまった
病んでしまった
人々の心
誰かを傷つけたり
誰かを殺めたりすることなど普通に考えたらありえないのに
それを身勝手な理由で簡単になし得てしまう誰かが僕は憎くて
それを見過ごした僕も憎いよ
愛や平和などもはや死語ですか?
僕は何を信じ君は何を信じ生きていけばいいでしょうか?
踏みつぶされた花に美しさは面影すら消えて土に還り存在さえ無くした。