詩人:どるとる | [投票][編集] |
日本に来たばかりの
外人が言う
『日本は素晴らしい』
片言で話す外人が
日本の美意識を偉そうに語る
まるでそれは
お世辞にかぶせた
ものみたい
片言で語るなら
日本の美を語るなら
日本語覚えてから
来なさい
まずはそれからだね。
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ため息ゆらゆら揺らしながら
物憂げに頬杖ついて 窓際 黄昏るティーンエンジャークリーム色のカーテンが揺れる
悲しいことは終わらない
悪夢は何度でもやって来る
空は飴色
心は鈍色
ロマンスのかけらもない土曜日
無理矢理に浮かべた笑顔に翳りがさす
言葉に詰まる
なんの予告もなく
盗んでいく
泥棒のように
ほら僕の元気を
華麗に盗んでいく
悲しみが
憎たらしいよ
だけれどそこにおかしなロマンスを感じてしまうのは気の迷いなのかしら
ねえ ねえ ねえ…
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生と死が混在する世界
光と影が混在する世界
常に我々の前には
対になる
二つの分かれ道がある
ただそのどちらを選んでも始まりがあれば終わりは免れない
静かに訪れる死を待つ以外にはない
だから余りある時間を大切に生きる必要があるのだ
どちらか一方を切り捨てることができないならば。
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月と太陽は向き合うこともないまま
朝と夜はまるでべつの世界の出来事のよう
闇に見とれる
猫がいたなら
光にめまいする
人がいたなら
僕はそいつを夜の住人と呼ぶ
月と太陽が向き合うことがないように
朝は君と向き合わない それはまるで太陽と月のように
夜を好む眼光鋭いそなたは夜の住人
到底明るい場所では
不器用にしか
生きられない。
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真心をあなたに届けたい
今すぐあなたを抱きしめたい
星は尾を引いて
夜空を流れる
そして頼りない
僕の背中で
君は鼻歌歌う
全く夢のようだな
でも限りなく現実だね
笑ったり泣いたり
時にはけんかもしたりして繰り返し日が昇っては沈む日々
悲しみに没する
時さえ君の慰めが僕には必要なんだ
ああ君と僕との日々は続く
ああ君と僕との時間は続く
時計が回るように
まばたきするように
それはただナチュラルに限りなく僕らを明日へはこぶ
平穏で平和な
明日へはこぶ
ただそれだけの毎日さ
どうだい?他人にはなんの面白みもないだろう?
でもそこが不思議なんだけど僕らには一緒にいれるだけでこれ以上の幸せはないのだ
それが君と僕の君と僕であるただひとつの資格なんだね
たとえば『愛』って一文字を思ったときにすぐに互いの顔が浮かんでしまうようなね。
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言葉にもならない夜は
無言のまま眠ろう
月も眠る丑三つ時に
僕は目が覚めた
何気なく開けてみた
カーテンの向こう側に広がる景色は
とても綺麗なおぼろ月夜
とても悲しい夜だから
涙まで星のように見えてしまう
とても悲しい夜だけど
なんだか心は晴れやかなのさ
そんな夜がもしも
ふとした拍子に
転がってきたら
僕は何を思うかな?
君は何を思うかな?
ねえ?
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名もなき花に名前をつけて
名もなき鳥に名前をつけて
名もなき今日に名前をつけて
名もなき場所に名前をつけて
名もなきものに風を吹き込む
膨らんだそれは名前をもったその時から
自信と誇りを持ちました
名もないのでは
悲しいから
せめて
名前をつけたい
すべての命に
名前をつけたい
名もなき
ものは
名前がないから
呼ばれない
呼べもしない
名もなき
ものは
名前がないから
名前を聞かれても
こたえられない
適当な名前を言ってもそれは自分の名前じゃない
だから名もなきものには名前をつけて
その名を呼べ
高らかに
それはもう名もなきものじゃない
名のあるもの
それはなんて花?
それはなんて色?
それはなんて形?
それはなんて場所?
それはなんて動物?
名前があるから
際立つ存在感
ほら名前のない
名もなきものには名前をつけて
その名を呼ぼう
名もなきものには名前をつけて
その名で呼ぼう
だぶったって世界にただひとつの誇るべきその名を己でも呼ぼう。
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言葉を組み合わせて
詩を書くのが詩人
だから今日も詩人は言葉の組み合わせを
変えながら変えながら並べ替える
まるでそれはパズル
言葉は殺傷能力のある刃物です
目に見える傷より
目に見えない傷を瞬時のうちにいくつも残してしまう
その人を殺めてしまうかもしれない
だからこわいね
使い方を誤れば
それは詩でも
メッセージでも
無くなるね
それはただの文字だ
ねえ 今まで僕も
知らないあいだに人を傷つけてきた
そして傷つけられてもきたんだ
涙の形をしたパズルを組み合わせて
笑顔の絵ができたらそれは素敵だけど
やっぱり涙の形は
悲しみという絵にしかならないんじゃないかな
なんてね
今日もパズルを
時に かるく
時に 重く
指先でつまんで
狭い世界に
はめてゆく
言葉という名のピースのひとつひとつを
詩人という名の趣味を盾に世界を広げる
戦場に咲く花のように誰かのあたたかい返り血で染められて
世界はより広がる。
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すこぶる温厚な人は今日もあいつに怯えて
少し不器用なだけで心に平手を食らう
この悲しみはどこへ
やればいい
このもどかしさはどこへ捨てればいい
わからないから
ゆっくり話そう
たとえば今夜
ゆっくり話そう
2人っきりで。