ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > 新着順表示

どるとるの部屋  〜 新着順表示 〜


[1339] 夏の影
詩人:どるとる [投票][編集]


夏の影が揺れている
遠く幼いあの夏が
花火の音とお囃子の音と風鈴の音でよみがえる

陽射しの強い夏の重だるい日々
硝子細工に透かして
見える思い出がまだ真新しく見えるよ

夏の影が揺れている
夢から覚めるように
短い春は終わり
やがて来る 夏を待ち半袖半ズボン 押入から出す

夏の景色に溶け込む
少年は 線香花火のはかなさにはっとする
名残惜しさは不思議な余韻を残して
夏の遠ざかる影に目を奪われ

汗のようなしょっぱい涙が水分を奪う
麦茶 飲み干せば
引いてゆく暑さが
夏の終わりをつれてくる

あっという間さ
何もかも
だからこそ
尊いのさ

かすかに揺れる影が
また 揺れるのかな
今年もまたみんなで庭で花火するのかな
あの時みたいに子供みたいにはしゃぐ僕は見つけられるかな

まだ来ぬ夏の忍び寄る影を待っている僕は少しずつ暑さ増す日々に目を凝らし耳すまし心おだやかにして
やがて澄み渡る青空とセミの呼び声で夏を知る。

2010/04/25 (Sun)

[1338] 時代の影
詩人:どるとる [投票][編集]


まぶた閉じれば今も思い浮かべられる
あの輝いていた時代
ほら輝かんばかりの笑顔が咲いていた
あの時代はもう戻らない わかってるけど
あまりに懐かしすぎるから涙が溢れてしまう

明日また明日と急かされる
時間は熱いコーヒーが冷めてゆくように刻々と過ぎて行くよ
振り返ってみても
見上げてみても
見えるものは今この瞬間だけ

時代の影が遠くはるかに揺れている
そのさまを見つめている僕は息を荒らげたどり着いた真夜中に溺れないように心に浮き輪つけて
プカプカ 夢の水面に浮かぶよ

明日もまた仕事
先はまだ長いのに
ああもう心は年寄り
雨の心配ばかりしてる

時代の影が薄れて
やがて古くさい僕らは消えてなくなるように路地裏の闇に隠れるんだね

時代は過ぎて
次の時代に化けて
影をそこに残す

悲しみも喜びも
全部混ぜ合わせて
時代から時代へと
移り変わるから
僕らはついて行けずにただただ立ち止まる 流行りから置いていかれて
時代の影のそのまた影に身を寄せている

流れゆく季節の隅に
追いやられて。

2010/04/25 (Sun)

[1337] 夕暮れ帰り道
詩人:どるとる [投票][編集]


土手沿いを歩いているといつのまにか日は傾いて
空はきれいなオレンジ色に染まっていた
何事もなく平和すぎるくらいに今日も終わるんだね
大好きな君は今 何してるのかな
なんとなく気になる

まっすぐ家に帰るのもなんだかつまらないから
ちょっとだけ寄り道して行こうかな

口笛 吹き鳴らして
黄昏 涼しげな風に吹かれ
並木道 樅の影
ほら 街も優しい表情で僕を迎えてくれる

そして今日もこうして終わるのだ
何ひとつ悲しいことなんかなかった
最後くらいは嘘でも笑えばいいじゃないか
もう今日は終わるんだ 悲しみにもさよならしよう

夕暮れ 揺れる街明かり
さよなら さよなら
何度でも手を振って

どこにでもあるありふれた今日を過ごしている僕は

夕暮れの帰り道
ひとり
それなりに幸せだよ
そう感じられる
今がある
何よりの幸せだね


ああ真っ赤な空に光る明日への道しるべ
たどって たどって
やがてたどり着く少し片付いた部屋でまた僕は目覚めるのさ

そして全てがもとの鞘にもどるまで。

2010/04/25 (Sun)

[1336] 約束
詩人:どるとる [投票][編集]


僕以上に愛している君へ今素直な思いを伝えたい
好きな気持ち
コルクが抜けるように勢いよく飛び出す日まで

空はいつも青空
君より僕のこと
愛していた僕は
昔の僕さ
でも今は目が覚めたから君のほうが僕以上に好きになった
君が気づかせてくれた
ありふれた日々の中
君がくれた答

晴れ渡る空の下
口笛吹く僕を
悲しみごと
抱きしめてくれた
君に伝えたいな

君以上
僕未満
その中間で
大切な
君を
今すぐ
抱きしめたいな

優しさだけが取り柄の僕だけど情けなさより見てほしいのはこの愛なのさ

誰もが見向きもしなかった僕のこと
君だけは曇りのないまなざしで見てくれたから

「ありがとう
あいしてる」
とわに変わらないさ

昨日より絆を深めて
明日は今日より愛を深めてしまおう

この約束は破られない守るためだけに交わす約束なのさ

真夜中の疑惑が溶けてゆく。

2010/04/25 (Sun)

[1335] 君に宛てて
詩人:どるとる [投票][編集]


悲しみ消えない
喜びも消えない
涙を流すことも
微笑むことも
意味はない

感情に流されて
欲望に煽てられて
鼻を高くしてわがままに誰かを傷つけて

しばらくはこんな宛のない旅が続きそうだよ
光と影の真ん中で
誰の味方もせず
何色にも染まらずに
僕は僕自身を愛しているからと心のカーテンを閉める

ああ
生きることには答えなどない
ただまっすぐ歩くだけさ
間違えなど何ひとつないこの道を

君がくれた道しるべを頼りに歩いてゆく
僕のこの瞳にうつる誰かの後ろ姿
後ろ髪をひかれるような切なさに胸を痛めながらも 君の手をにぎって先を急ぐ

さあ、僕は今から
宛のない旅に出るのさ
あなたとなら
どこまでだって行ける気がするから

悲しみは消えない
痛みも消えないけど
君となら 君となら
歩いて行ける

目的地はいつだって決まってる
明日という名の今日さ
そして隣にはいつも君が微笑む
いつの今日だって幸せも消えないのさ

君に宛てて
今 そんな
手紙でも書こうかな。

2010/04/25 (Sun)

[1334] 
詩人:どるとる [投票][編集]


名もないまま生まれ
あとから名づけられた僕らは誰もが僕という名前であって僕という人ではない

なんとなく
ただなんとなく
悲しくてもひたすら微笑んで過ごした1日は思ったより悲しかった
そんな1日は静かな夜に抱かれて色も形もない夢を見るのさ
朝になるまで
暗闇に立ちつくして

今 君は僕の背中に手を回し抱きしめているけど
君の手をにぎる僕の手のひらのぬくもりは君にちゃんと伝わってるかな
心配だ

僕たちは生まれたときは何もかもわからなかったんだね
あの空が空だということさえ
あの花が花だということさえ
ひとつひとつ覚えてきたんだ
花は花でもどんな名前だとか
空は空でも時間帯や天気によってその呼び名が変わるとか

名もない花の僕たちの名前に価値があるなら今すぐ名を捨て 生きるでしょう
僕は僕であって僕じゃない だけれどかぎりなく僕だ
僕を証明するものは名前ではなく 見た目ではなく 僕という人間そのものの輝きなんだよ

それを本当はわかってほしいんだ
君にも

伝えたいのは
僕の名前だとか
見た目じゃない
僕そのものの
ブランドなのさ

名もない花は
名をもって
はじめて
なんの花なのかわかる

そんなもの
名前をなくしたら
僕じゃないのかな

そんなわけがない
僕は僕の心に
その証を示す輝きがある
そして今もそれは光ってる

ほら ここに…
指差す先には
心があるのさ。

2010/04/24 (Sat)

[1333] ベジタブルソング
詩人:どるとる [投票][編集]


朝飯でも夕飯でも
お皿の端っこに
よけられてしまう
たまねぎ にんじん
ピーマン トマト
君たちの栄養を知らない子供たちは頭から嫌う

ママが今日も朝飯をつくっている
その背中に話しかける言葉
野菜は抜きにしてね
お肉ならお肉だけとか言って子供はまた笑う

嫌われ者の野菜は何ひとつ悪くはないのに
いつでも野菜は嫌われ者の枠にはまってしまってるんだよ
箸でつままれたかと思えばつかの間の喜びもむなしくお皿の端っこに今日もはじかれているよ

ピーマンが
にんじんが
トマトが
たまねぎが
なんの悪さもしてないのに嫌われ者として今日も泣いている
最悪、生ゴミ行きさ

食べられるために
生まれてきたのに
僕らはそれを感謝して食べなきゃいけないはずなのに
好き嫌いはそんな野菜たちの当たり前な願いすら無にしてしまうんだね

そしてママが救いの手さしのべるように言うのさ
食べなきゃだめよ
大きくなれないわよ
少しずつでも食べなさい
野菜が泣いているわよとママは子供を少し叱った

嫌われ者の野菜たちが少しずつ少しずつ子供のふるえる手で小さな口にはこばれてゆくよ
そして子供は言うのさ
案外おいしいねと
そんなものよと
ママは微笑む
そして食べず嫌いの子供もそれからは野菜を嫌わずに好きになったそうな

そんな物語
どこにでもあるような物語
この唄にのせて語るよ
嫌いな野菜を食べるように
少しずつ少しずつ言葉を足してゆくよ

君の心に 僕の心に
数千億の星を流すよ。

2010/04/24 (Sat)

[1332] ふたりぼっち
詩人:どるとる [投票][編集]


意味なんかないけど
理由なんかないけど
今日も君が好きだよ
理由なき喜びのその袂で咲く花のように
僕は今日も悲しみに揺れ切なさに胸を痛め喜びに救われてる

君に歌いたい歌が腐るほどあるんだ
この空の下で歌いたい歌があるのさ

夜に沈んでゆく街
時間が傾いて
シーソーのように
今日という日は
傾いたほうへ
お引っ越し
嫌な記憶さえも
素晴らしい思い出も
全部、全部
明日へお持ち帰り

ハート型の月など
あるわけもないけど
君のイメージの瞳にはきっとそんな感じにうつっているのだろうね

幸せは手探りしなくても あっちにもこっちにもどこにでもあるじゃないか
僕には目の前にいる君も幸せのひとつさ
それもいちばんの幸せと呼んでもいいくらいなんだよ

不器用な言葉で編み出した僕の手作りのラブソング
ギターやピアノなんてまるで弾けたもんじゃないけど
この言葉とこの性格で君のためにアカペラで歌うよ
ドレミファソラシド
ドシラソファミレド
刻むメロディははずみながら君に届くだろう

今すぐ! 会いたい!
この長い夜を吹き飛ばして

いままでのさみしさを
いままでの切なさを
取り返すため
君を死ぬまで愛しきるまで
生きているあいだに
君に幸せを届けるため
僕は今日も歌うようにつぶやくのさ
やっぱり今日も君が好き

悪戯なケンカなどつかの間のすれ違い
すぐに二人は絶妙なタイミングで頭を下げ謝りあえるさ

出くわしたこの偶然に身をあずけて月がきれいな夜に
朝まで開くはずもなかったはずの扉を開き君と真夜中のデートに行くのさ
足音立てないように
手をつないで出かけてゆく二人

墨をばらまいたような夜に溶けてゆく今日という1日
光はやがてちらほらとともる程度になって
二人の瞳の中で小さく光るだけ

僕らは日々進む科学や流行とは裏腹に
いつまでも変わらないまま愛し合う
ふたりぼっち。

2010/04/24 (Sat)

[1331] 僕らの暮らし
詩人:どるとる [投票][編集]


僕らの暮らしはなんとなく続いてゆく
ふつうの愛情とふつうの幸せの中で
僕らの暮らしはなにげなく続いている
誰かが拾うこともなく素通りするような
ふつうの暮らしの中で僕らはずっと生きてる

夕暮れの街は
とても淡い色
素敵なチャイムが
心に染み渡る
蛍の光が流れる
この街に今日も終わりが満ちていく

住まう人々は窓を閉めそして網戸を閉め
カーテンを閉める
そして僕らもまた…

朝から夜へと
転がるように
時間は過ぎて
僕らの暮らしがまたひとつ黄昏に近づき
砂時計の時間の砂粒がこぼれ落ちる

愛し合う僕らの手のひらには一口大の切なさとまだ見ない明日への楽しみがあるのさ

僕らの暮らしは続く
悲しみ喜びくり返す
ふつうのサイクルの中
僕らの毎日は流れてく
朝夜行き交いながら
僕らの暮らしは続く

太陽が月と交わり
また月と太陽が交わり
電気が点いたり消えたりするこの世界で悲劇みたいな喜劇みたいな不思議な劇は台本もなくアドリブで続く

それが僕らの暮らし
閉幕はまだ先の話
そしてまた新しい1日の朝がはじまる
コーヒー一杯で広がる渋い一幕。

2010/04/24 (Sat)

[1330] モザイク日和
詩人:どるとる [投票][編集]


悲しいことは願っても祈っても消えない
僕がいつか百年ほどの時間の末に跡形もなく消え去っても
僕には悲しみが見えなくなるだけで
悲しみは地球に残る生きている人々をきりもなく悲しませるから

雨はやむことはない
つかの間ならばやむけれど
また少しすれば空が曇りぽつぽつ降り出す それが雨ですから

ああモザイクかけたいほど
酷たらしい景色なのにいつでも悲しければ悲しい景色ほど目を大きく見開かなければたちまちのうちにだめになるから

砂嵐 吹き荒れるような現実にほらモザイクかけたいほどだ。

2010/04/24 (Sat)
8416件中 (7191-7200) [ << 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 >> ... 842
- 詩人の部屋 -