詩人:どるとる | [投票][編集] |
歩くスピードは人それぞれ違うから
自分のペースで歩いて行くのがいちばんその人にとっては楽だ
だけれどたまにはそのペースを崩して誰かのペースや世の中のペースに合わせて歩かなきゃいけないときもある
ぼくの歩くスピードは他人には遅すぎるかもしれないけど
それでもこれがぼくの生きるスピードなのさ
無理して走るのならば そのぶん得るもの逃したって手ぶらで歩く人生のほうがぼくには似合う
そんなに急いだってしかたないじゃないか
いつか、涙流しても流しても癒えない悲しみは誰にもやってくるんだから
ゆっくり のんびり生きて 何が悪いの?って話だよ
何を急いで どこ行くの? 行き交う人の波に向かってぼくは言うも急ぐばかりの人たちにはぼくののんびりとした話し言葉は聞こえない
今を生きるのに精一杯で
今を歩くのに手一杯で
明日を見通す余裕はない
ただ ぼくは『今』だけを見つめてさ
繰り返し 歩く毎日
1日一本 牛乳を飲み
繰り返し 歩く人生
1日一度はなんでもいいから必ず笑う
それを約束にして
ぼくは生きる
地道に生きる
ゆっくりゆっくり
亀のよにのしのし
一歩一歩をかみしめ
歩く人生 歩む人生
最後まで 変わらないスピードで 歩く人生。
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つぶした靴のかかと
途中でうっとうしくて蹴り飛ばした夢
机に投げ出した両足
墓石の上であぐらをかく
そんなだらしない生活の中で
何が幸せなんだろう
何が楽しいのかな
とりあえず開ける扉
向かえば何かしらは持ち帰る
悲しみとそれと
たとえば 素敵なビー玉
それらを眺めながら
巣へと向かう途中の帰り道
夜の胃袋にすっかり沈んだ 街
その胃液で溶けたように意識はとろけて
やがてぼくら夢の中
あ、あ、あしたに出会おう
楽しい楽しい 明日に
悲しみは残念なことにどのあしたにもあるけど
喜びもどのあしたにもあるから それをいいことにたまに大げさに 笑えたならばそれは幸せな証
さあ いつまでも落ち込んでないで
雨がやむように悲しみが通り過ぎたら
涙はぬぐって
微笑みの太陽
キラキラ輝かせよう
ぼくがいる
だから あしたがある
ページはめくられて
夜明けがおとずれて
眠ってるあいだに
時計はまわり
朝が はじまる
日付も変わる
日付が変われば
新しい 今日が
おごそかにはじまる
昨日のことは忘れて
今日は今日の1日を生きよう
つぶしたかかとを
履き直して
投げ出した両足を引っ込めて
墓石から腰を上げて
ほら 罰当たりな
自分を戒めて
ほら のぼる太陽に
朝一番の言葉 言い放つ
お、お、おはよう
すがすがしい気持ちじゃなくても生きるんだって気持ちでさ
会いたがってたあしたに出会おう
今こそ
会いたかったあしたに出会おう
今は繰り返し
頑張って
会いたい
あしたのために
いつか
会えるはずの
あしたのために
頑張って
ただ頑張って
夜と朝を行き交う
夢とうつつを行き交う
ぼくはそういう生き物。
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扱い方次第では
触れただけで
壊れてしまう
もろいガラスのよう
心はビードロ
誰かの些細な言葉に
思いもしないほど
傷ついている自分に気づいて
ひとり 黄昏の中
赤く染まった夕空がそっとため息で曇れば
眼球のレンズ越しに淡い切なさが広がる
感嘆にも似た気持ちから流れる涙でにじむ景色は
まるで 水でぼかした 何かの水彩画のよう
ポケットから手を抜いて
うつむいていた
顔をあげれば
そこには涙で見えなかった答と目が合った
遠目に見えるだれたような疲れ果てた色で揺れる明かりに包まれた街がある
足どりも重く
恐る恐る
一歩一歩が
小さくこわごわだけど
少しずつ
少しずつ
明日に向かってる
夜明けに近づいてる
ガラスのように
砕けたもろい心は
何度 砕け散っても
原型をなくすことはない
ほら 破片を拾うように 一晩 眠れば
大抵は 元どおり
そうしなくちゃ いられないって こともあるけれど
ぼくはただ
また 砕け散った
破片を拾い
ケガしないように
ひとつに 重ね合わせ また 何事もなかったかのように使い古された愛想笑いとお世辞で世の中を泳ぐ
スイスイ…
そしてまた気を抜けば ビードロの季節は何度でもぼくの心におとずれる
悲しみのない季節などない
一瞬の隙でさえ
入り込む 余裕があるなら 悲しみは 容赦なく ぼくらを襲うから
どうか肩の荷をおろして安心するのも ほどほどに
何かと 気兼ねする
この世界
ガラス工芸のように
ぷくーっと膨らんで
苛立ち 隠せずに
いっそ たまには
壊れたい 壊れたい
そんな気持ちを必死に こらえて こらえて
ぼくという人間は割れそうで割れない冷たいガラスを抱いたまま生きる
何度でも同じような季節を行き交いながら
思い出にあたためられながら
冷やされたり
あたたまったり
せわしく 暮らすよ。
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何ひとつ いいところなんか何もないのに君はいつもぼくから離れようとはしないね
ただのひとつさえ
人に自慢できることだって何もないのに
君はぼくが落ち込んでればあたりまえのように多彩な言葉と表情で励ましてくれる
大丈夫?という君の澄みきったまなざしは今まで出会ってきた人にはなかったあたたかい愛にあふれていた
いくつもの季節をむりして遠回りしていたよ
わざと忙しさにかこつけてさみしさやせつなさを隠してた
でももうそんなめんどうなことしなくていいんだね
君がこれからは正しい道へ導いてくれるから
『頼りにしてるよ』という言葉さえためらわず言えてしまう
運命というものの力を迷わず信じられる
そのつよさを君から手渡しでもらったから
君が笑えば ぼくもなんだかおかしくなって
一緒になって 笑いたくなるよ
不思議なほど
君が泣いてたらぼくもなんだか悲しくなって
一緒になって 泣いてしまうよ
そんなぼくらの心のからくりは説明すれば長くなるけど簡単にいえば
ぼくと君の心はひとつにつながってる
そうまるで 糸電話みたいに互いの気持ちが伝わり 伝え あうような
そんな ふたりだから今も今までも
仲よく やれてたんだね
愛し君へ 愛すべき人へ
時間はかかるかもしれないけど
いつかはね 伝えるから
感謝をもらいっぱなしにはしないから
この両手いっぱいの愛にふさわしい何かを届けるから
待っていてね
『そんなもの見つからないや、どんな言葉も君の愛にはかなわないや』
思考めぐらすたび弱気になるけど
君と出会い 愛し合えるこの幸せな時間をかみしめながら
ともに過ごすその中で何ができるかを考えてゆくよ
きっと言葉にかえられる感謝の気持ちなどないから
きっと言葉ではなくて
届けたいのはかたちのない気持ちなんだね
たとえばそれがずっと探していた答かもしれない
なんて 想うよ。
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生命線をたどり
その寿命以上を
ぼくは生きてみせる
生命線をたどる旅は
はじめからおかしなことばかりだから少しくらい予想外のことがあったってにわか雨くらいにしか思わないさ
手のひらの上で回るミニチュアサイズの地球がいつから嘘っぱちだと気づいたんだろう
支配者の顔で
ただの 幼子だった
わがままは通らない
神経質なこの世界で
まかり通る正義がイヤミなくらい 光る
ぼくのそばで
ぼくには君がこの世界の全てなのに軸はやや狂って
いそがしさに忙殺される毎日
それでも 今もこの世界は君を軸にしてまわっている
君のまわりを 太陽系みたいに くるくるとただくるくるとまわっている
ぼくのそばで。
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ここにずっとあるのはありふれてはいるけど特別な日々だよ
昔からずっと変わらないありふれ過ぎてるくらいの日々だけ
茶柱が立ってただけでおかしいくらい
箸が転がっても笑っちゃうくらい
そんな年頃でもないけれど
自分の器が どれほどのものか わかってしまう年頃に達したぼくも自分の器を知る
深い器じゃないことくらいはわかるから
べつに謙遜するひつようもない
小さな器だから 不器用に君を傷つけて
たまに 泣かせてしまうこともしばしば
やっちまったなと悔やんでも仕方がないのにね
仲直りしたくて
でも仲直りの方法わからなくて
少しばかり君がいるから特別なのかな
そのへんがありふれてる中の何パーセントかを占める不思議な部分かな
ごめんね
重なる声が
妙ちきりんな
リズムを生んで
地場さえもを生む
ぼくらはキスをする
そんなありふれてるけど特別な日々
ずっと続けば
ジグソーパズルが出来上がるみたいに
いつかありふれてるけど幸福な人生に変わるかな
振り返る道
思い出すは記憶
そこに見えた
いくつもの今日
ほらね
終わってしまえば
何もかもが笑い話
いつか そうなるまでぼくらは本気の本気でずっと 生きてゆく
今を輝かせる
そのために
HAPPYよりHAPPYな
記憶をつくろう
二人の協同作業でさ。
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急ぐひつようはどこにもないから
ゆっくりのんびりの帰り道
終電に間に合ったら
そこからは マイペース
ガラガラの電車内に小さく響く おなじみのアナウンス
お降りの際はお忘れ物のないように…
ドアが開いたら
もたれ掛かっていた
腰を上げ
すっかり 誰もいなくなったホームにひとり 降り立った
そこはまるで月面みたいな 不思議な空間
帰り道にひとり唄う
鼻歌と時々ぼくの隣を走り去る 車の音だけが 聞こえる
そんな帰り道
特別なものなんて何もなく ただありふれた風景だけがあくびが出ちゃうほどそこに当たりまえにある
帰り道ただひとり
前にも後ろにも
人影はなく
まるで 異次元みたい
空を見上げれば
月が あるくらいで
なんだか 急に 切なくなって ため息が出ちまった
柄にもなく
泣けちまった
そんな夜の片隅で
説明するまでもなく ぼくは 迷いのない足どりで ボロアパートのいやに長い錆びた階段を のぼるのさ
ここが最後の山場。
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風がやんだ夜
静けさに包まれる夜
ぴっちりと閉まった窓をおもむろに開け放して
メガネをはずして
肉眼で眺めてみる夜
遠くに揺れる
星の光
それとかすかな
都会のネオン
この世界の小さな国の
それより小さな町の一角に建つ小さな家の窓からも
じゅうぶん見える素敵な地上の夜
特別なものなんて何もなくていいんだ
ふつうだからこそ素晴らしい夜なんだ
何かと面倒な朝をくぐり抜けて やっとたどり着いたひとりになれる時間だから
好きなことしよう
あまり夜明けまでには時間はそうはないけど
それでも途中まで読んでた本の続きを読む
見たいテレビを見る
ギターを弾いてみる
ゲームをする
やることはあるだろう
やれることがあるだろう
たとえ短く儚い夜でも
涼しげな風は
夜の匂いがする
とても好きな匂い
風がやんだ夜
静けさに包まれる夜
けっして特別じゃないふつうの夜
ああ 素敵な地上の夜
地上からも宇宙を眺めることができる
ほら 星座をひとり探す
あれはシリウス
あっちはベガ
あそこに見えるは金星かな
睡魔なんてそのうちやってくる
今は眠くなくとも
眠くなるまで
眠くなるまで
楽しく 過ごそう
夜も1日のうち
ほら 無駄にしないで楽しく 過ごそう
素敵な 素敵な
地上の 夜を
内側から輝いて
夜の風に抱かれて
星のような
光を見つけましょう
かならずあるはず
目を凝らしてみれば
ほら そこにもあそこにも探し出せばきりもないほどに夜は眠れる宝石の山。
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悲しいことがあっても
止めるか止まるまで続く物語のページをふいに止めたくなっても
生きたい気持ちだけはずっとぼくのそばにある
死にたくなるほどの出来事なんてまだ出会ったことはない
似たような気持ちはあるけど
生きていればこそ
素晴らしい何かがある
ぼくは信じてる
たえまなくあふれつづける涙は心の中で見えないだけで
いつもいつでも
心臓のリズムが止まるまであふれつづけてるんだ
はるか前方の闇を
果てしなく終わりのない夜を
ただ見つめながら
ぼくは夜行性の動物みたいに瞳を涙で光らせながら
行く宛てもない
命の砂時計が落ちきるまで続く時間の旅の中で繰り返す日々
岸に押し戻される
小さな貝殻のように
もどかしい非力さに
ぼくは唇を噛む
止めようと思っても止められるものじゃない
抱いてる悲しみの大きさを物語る涙は明日を ぼやかせる
にじんだ景色とにらめっこ
数々の出来事がまたとない奇跡にさえ思えてしまうよ
立ち止まる ぼくは雨の中 何を探してるんだろう 何も見つかるはずないのに
おかしな 気持ちだ
何もないところから
生まれる何かを探してるって言いたくなる
たとえば何もないところから悲しみや喜びを理由にあふれる涙のように
何もないところから生まれる幸せを探していたんだろう
探してるんだろう
今でも
涙の向こうににじむ
素敵な 眺めを
それは 形としてではなく 触れられない感覚としての 探し物
なくしたはずの
あの日の涙
用なしだったはずの
いくつもの涙。
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昼間から降り続く
雨は明日にやむらしい
そのうち夜のうちに
やむという予報さ
そんなふうに
悲しみなんてつかの間だから
いつまでもしょげてないで立ち上がれ
若者よ
まだ生まれてまもない人より
こんな所でへたばるな
夜は誰もこわい
悲しみは誰にも悲しいもの
だけれどそれから逃げてばかりじゃ何も始まらない
わかってるはず
せつなさのスコールを浴びて
なみだが代わりに降る夜。