詩人:どるとる | [投票][編集] |
夢の中でつかんだものは全て現実に目覚めたら消える
腹一杯食べたはずのケーキも胃袋から消えていた
期待を裏切るように
可能性をつぶしたのはこの僕だ
ほら つかみかけていた夢は跡形もなく闇の中へ消えた
からっぽの世界へ。
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良心と悪心の追いかけっこはつづく
僕らは走る 明るい朝でも光を避けるように暗く長い路地裏を
本当は誰だっていい人でいたいんだけど
時々 心の中に悪魔が生まれてしまい
その牙を剥くから
誰かを傷つけてしまう
自分を傷つけてしまう
さよならって言っただけで今日が終わるなら どうせ何も言わなくても終わるなら
さよならなんて言わなくていい 悲しくなるだけ さびしさが膨らむだけ
誰かが空に放してしまった風船が電柱に引っかかったように
途中まではいい線いってたのに今になって行き詰まってしまうような
こんなはずじゃなかった
つぶやいてみても
頼りない言葉たちは生暖かい溜め息に変わるだけ
結局 きれいな思い出にかくれんぼ
僕はずっと鬼役の 子供のころの僕に追われてる
なんで頑張らなかったの?なんでこうなったの?なんて言われながら
大人になった僕は耳をふさぎ逃げ続ける
見つかるのがこわくて ずっと心を閉ざしたまま
そんな自分にさえ語りかけられる恥ずかしさに自分が自分で嫌いになる
いろんな色の風船が数え切れないくらい 空に浮かんで
気づけば あのころの僕が僕を後ろから抱きしめてその瞳には涙が光っていた
そしてこの僕も同じように涙を流した
空にはなした風船のようにもう今では 手の届かない夢
それでも 僕にはあのころとは違う新しい未来がある
けっしてしあわせではないかもしれない
だけれど あのころの夢が叶っていたらしあわせになれていたのかと思うと疑わしいから
僕は遠ざかる風船を追いかけず あのころの僕とふたり土手に座り 眺めていた
そんな夢のような夕暮れ時
目を覚ました僕は
ベッドの上
懐かしいアルバム
めくってる途中で
うかつに眠りこけてしまったようだ
夢だと気づくと
開いた手のひらの中にしぼんだ風船がのせられていた
それに気づいた僕はなぜか泣いていた。
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月を見ているこの場所から月までの距離
ここからは意外と近く見えるけど実は遠くにあるらしい
まるで幻のようだ
ただのありふれた夜の部屋の中
ポツリ涙が降り出す 蛍光灯に照らされ妙に明るい部屋なのに
天気雨のようだ
この部屋の明るさは心の中の果てしない闇を隠して
僕はべつにかまわないやと涙をすぐにぬぐって大丈夫なふり
今夜もまた眠れないから
僕は眠らないから
幻を見ているのさ
そう 思うことにした
でも 消えない悲しみ
ほら 油断した途端あふれ出す真実の雨
僕だけといわず全てを濡らす雨
月夜の涙 せっかくの月のおめかしも僕には無駄みたい
窓を開けたら 風が机の上 散らかった 写真を さらう
その様が 消えてゆく日々みたいで 命見てるようで 悲しくなった
ああ 今夜は月夜だ
そんな誰かのとりとめのない笑顔さえ 奪ってしまうような悲しみに溺れてる
僕だけが悲しんでいればいい
ほら 遠慮しないで笑ってね
ただ なんとなく皮肉を言いたかっただけ
それだけの夜さ
僕には
きれいな月夜も豚に真珠さ
かまわず 笑ってよ
君にはきれいな月夜ならば
何も かまうことはないさ その喜びに素直になってね
君は何も間違ってないから。
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夜はほら 時間になれば 朝寝坊の子猫も起きて
よしんば目覚ましかけていなくてもいつものように朝はくる
だけれどなぜかさびしい僕の心の夜だけは明けないんだ
嘘じゃないのさ
作り話でもないよ
人はみんな
大概はそんなことたとえてる暇があったら世のため人のため仕事をしろよと僕の捨て身のSOSを叩き落とすけど
君の笑顔だけが
そんな僕の心の夜を朝へと変えてくれる
早く 会いたいよ
夜を終わらせてよ
朝へと目覚めさせて
嫌いだったこの世界を たちまち好きにさせてくれ
魔法のようなその笑顔とぬくもりで
呪文のように唱える優しい言葉で
君がいなければ明けるはずはなかった夜をお願い また 朝に変えておくれ
枯れ木に花を咲かせるように
すっかり毛を剃られた裸の羊に もう一度
ふわふわの白い毛並みを与えるように
新聞配達の人よりも
早く 僕に朝を 朝を
目覚めた瞬間
目の前に君がいるような 幻とも夢ともつかないときめきをはこんでね
不器用な君がつくる目玉焼きが 焦げないかも見なきゃいけないから
ラララ ララ。
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他人にはどうしても言えないような気持ちが今この僕をかぎりなく1人にさせている
いつもはただの暗いだけの夜なのに今日はなぜだろう
いつもなら笑って見過ごせるさみしさがひとしお
君に会いたい
すぐに会いたい
そして抱きしめたい
渾身の愛で
孤独なんて毛虫のようにさ 忌み嫌われてるけれど
僕にはこんなにぴったり合うものはないと苦笑いしている
どんなにさびしくても弱音なんか吐きたくなかったから
僕は何と闘っているのだろうか
まるで相手のいないシャドーボクシングみたいだ
僕だけが疲れ果ててしまって不安とか恐怖とかは 無傷でいつも笑ってる
今、どうしてるかな
今、何してるかな
気になって仕方ない
こんな気持ちは胸を焦がしてゆく
星ひとつない空をただ眺めて うつろいゆく季節もまるで無視
こんな役立たずの景色なんか 捨てちまえ
そう言われるとこの現実を見定める瞳がなぜか愛しくなる
今 僕は見ているよ
どっかにいる君と見つめ合ってるよ
眠れない夜の片隅で
君と僕は同じ夜空を見ていてそして世界のものさしの両端で生きている
数メートル昨日よりは君に近づけた
そんな気がする
今日このごろです
夢に落ちるまえに
半歩 進んで ちょっと下がる
適当な場所にテントを張り このさみしさにぴったりの楽しく馬鹿げた夢を眺めるよ
夜空の遠く君の笑顔が浮かぶ
今度 いつ会えるかな
楽しみだな 会う予定すらないけど…
君に会いたいな
すぐに会いたいよ
そして抱きしめたい
強くもっと強く
今、どうしてる…何してるかな
なんて…独り言さ
僕の知らない真夜中に太陽は地球の周りを一生懸命回るかして朝に間に合うようにと ほら 予定を狂わせず昇るんだよ
朝寝坊してくれとたまには思うけれど
君に会えないくらいなら会えないさみしさ 紛らすために忙しくしていたい僕なのさ。
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行き先なんて決めてないから 僕は当然迷う
目的地なんて当然ないから 生まれてきたって言ったってすぐには把握できない
大人になった今でさえわからないことが多すぎるのにあのころの僕に何がわかるというのだろう
この不思議な時間の中で生まれる新しい1日がまた今日も僕を出迎える
まばゆい朝陽がこの僕を照らしたから
暗い夜にこの僕がおそれないように月が照らしたから
僕はこわくないさ
神様のせめてもの優しさなのかな
わからないけれど
胸にくる感動
波のように押しては引いてゆく 時間
ほらまた夜明けとともに 僕の1日のスケジュールが出来上がる
そんな台本みたいなものの通りに 行くわけもないというのに僕はなぜか几帳面になる
今 見てる景色はまるでよくできた夢だこと
そんなふうに思ってはまた僕は夢にさらわれて 気づけばベッドの上でアクビしながら伸びをする
今が全て夢でも
幸せな夢だということに変わりはない
だから僕は笑うし人を 愛せる
こんな時間をありがとう
悲しみさえ余計には思わないよ
なんてね 今日も何ひとつ肝心なことはわからないけど 笑ってる
不用心な心 開けっ放し
それでも 今はどうぞご自由に見てねって感じで生きれる
ああ緑色の風が心まで包むよ。
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僕にとって 昨日なんて 単なる過去だって水面下の世界を潜望鏡で覗き見る
魚になって さんざん泳いで疲れ果てたころに 出会った人
それが君なんだ
ずっと待ってたよ
ずっと出会える日を
水面下から顔をのぞかせて無駄に太ったアメンボは今日も日常をスイスイ 泳ぐ
魚眼レンズは曇りっぱなしでせっかくの君の顔も見えにくい
たびたび 跳ねる 水しぶき 悲しみが慰めなのか置いていく置きみやげ 七色の虹
心の中に架かった
僕はその虹の橋を渡って明日へ行くのさ
繋がった 今日と明日の道を ただ泳ぐみたいに水面下から 明日をのぞいて いいよと言われるまで 潜ったまま君に会えるのを待っている
わけのわからないメロディー口ずさみ
少しだけ センチメタルな気持ち胸に孕んで
僕らは僕らで好き好きに 幸せ探しに行く
そんな素敵な夢
ずっと見ていたい
ずっと抱いていたい
酸素を求めて明日も夢に向かい泳いだぶんだけちょっと休憩がてら顔を上げれば
そこが ぴったり新しい今日なのさ
魚みたいにはうまく泳げないけれど
君がくれた思い出
胸に 生きていくさ
旅人は今日も水面下から 世界を見渡す。
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未来を遠く思うのは
過去を遠く思うのと
たいして変わらない
だけれどちがうもの
未来を遠く思うのと
過去を遠く思うのは
前か後ろかではなく
昔か後先かだけれど
過去も未来もどこにも行ってやしないさ
今という場所は昔と何も変わらない場所
ただ時間が昔の今を今の今に変えただけ
複雑なんかじゃない
だから見上げる必要も見下ろす必要もない
未来は 過去は 今ここにある現在と同じ場所から始まるよ
時間があるから そう思うだけ
未来や過去や現在で踏み出す一歩はいつの一歩も同じ一歩
だけれど前へ進めても後ろに下がれはしない 時間は戻せない
だからこそ やり直しはきかないのさ
歳もとってしまうし
同じ世界の出来事なのに僕らは周りの景色とともに色あせてやがて消えてゆく
それをはかなく思うのは
誰かがはかなく思うのと何も変わらないさ
同じ舞台の中
セットと衣装だけが変わるように
僕は若者から年寄りに変わっただけ
何も不思議じゃない
そう言い聞かせて今日も眠る 不始末。
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生きているから
悲しくなる
生きているから
死にたくもなる
生きているから
投げ出したくなるんだ全て
正しいことを冒したくなる
まっすぐなものを曲げたくなる
だって それは それは
生きているから
そうだろう?
生きているから
負わざるを負えない傷
生きているから
抱えざるを負えない痛み
生きているから
捨てざるを負えない命
ああ 僕は 正しいことだけを
そう 僕は 守って生きていたくない
僕を生み出した
この世界に描いた人
誰かは知らないが
神という名前で呼ばれてるその人の顔を死ぬ前に見たいもんだ
生きているから
直に伝わってしまう
甘えのない 現実
全て 雑音に置き換えてみても 逃げられないものがある
生きているから?
違う 生まれてしまったから
だけれどもう生まれてしまったからには生きていくしかない
あとは 死ぬのをひっそり待つだけだ
カーテンを隙間なく閉じて
生きていくのに
愛や
生きていくのに
夢や
必要ないさ
僕には
生まれてしまったこの偶然か運命かわからないものに何かすがってるようで嫌なのさ
生きているから
全てが幻に見える
生きているから
全てが夢に思える
嘘なものか
生きているから
そうなるんだ…
今にも雲に隠れそうな月を見上げたその瞬間の思いをファインダーからのぞき込んで 未来から 過去を
生きているから
今が昨日より
自分が 醜く見えるよ
誰がなんて言ったってこの気持ちは変えやしないんだ
嫌われたっていいんだ
生きているから
感情は生まれる
だから 邪悪にだってなる
それを 抑える 正しさなど持ち合わせてない僕だ
生きているから?
違う 生まれてしまったから
だけれどもう生まれてしまったからには生きていくしかない
カーテンを閉めようとしたその手はふるえてる
だけど僕が存在できる場所はこの場所だけ。