詩人:どるとる | [投票][編集] |
悲しくない日なんかないよ
いつでも悲しいのさ
悲しいことに目をとじててても
聞きたくないことに耳をふさいでても
意味なんかないことはわかっている
ただそうしなきゃ心が壊れてしまいそうなんだ
人間っていうやつはいつでも正しいことは正しいんだっていうけど
正しさなんてその人次第でしょう
世の中でかかげられたルールなんて結局は誰かがつくったどこの誰かも知らないやつの考えた正しさの形に過ぎないのさ
正しさを語るならば
自分の中にある悪しき感情を消し去ることがいちばんに大切なことだろう
自分の中にもけっして正しさではねじ曲げられない何かがあるから
耳をふさいでは目をとじてみては
何かを僕は見つけようとしているんだ
屁理屈だっていわれたって構わないんだ
それが君の見解なら
この僕の信じるただしさもまた間違いで
そして君が僕に望んでいる正しさもまた間違いなのだから
みんな みんな それぞれの信じる正しさを言い合いながら
いつまでも続く
正しさを決めるふざけたこのゲーム
本気と疑惑を混ぜ込みながら続くよゲーム
もしもこの世界で本当の正しさがあるならばこの世界にあふれる悲しい正しさをかき消してよ
生きていれば出会うだろう 悲しみなんて
でも それぞれ出会う悲しみは違うから
みんな みんな 正しさの形はそこから違っているのだろう
正義の味方よ教えておくれよ
あなたはどんな面下げて正義と名乗っているの?
そのマントに何を乗せて飛び交っているのだ?
僕にはわからないよ。
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ただ優しくて
ただあたたかくて
そんなのが愛だと
思っていた
厳しさや
刺々しさなんて
ただ嫌なだけだ
そう思っていた
愛は今
少しずつ僕の中で
形を変えてゆくよ
でこぼこしている
優しさだけじゃ救われない
たまの厳しさが必要なのさ
愛は優しさだけじゃ伝わらない
涙と痛みの間々にそっと挟み込む程度でいい
そして愛すときは目一杯愛す
そんなものが愛の形
母のような愛の姿
愛とは…すなわち
甘さと辛さが
程よく混ざり合った
炭酸水のようなものなのさ
やさしさだけや
厳しさだけじゃ
愛を届ける方も受け取る方も救われない
だからやさしさと厳しさ 同じくらい届けなきゃだめなんだ
愛とはそういうもののはずだろう
忘れかけてはいないかな?今の時代
ああ 愛を忘れた世界にはただ悲しみだけが残るだけだ
だから今も捨て猫みたいに泣いている誰かの涙が聞こえるようなんだ
ほら 愛を忘れた結果がその涙だよ
ちゃんと拾ってあげなきゃだめさ
涙もその中に込められた痛切な気持ちもすべて
愛を授かった者ならどうぞ最後の最後まで忘れるな 愛という愛を
落としただけだと言え
涙を拾え
愛を平気で捨てるな
人なら 人なら 人なら
愛とは何かくらいわかっててよ
それがいちばんの愛なのかもしれないから。
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正体不明の悲しみにいつも僕は苛まれているんだ
誰に聞いても適当でない返事に心は音を立ててぐしゃりとつぶれる
百科事典を開いてみても
広辞苑で引いてみても
わからないんだこの悲しみの正体
確かに悲しみなのに
確かに悲しいのにね
なぜ悲しいのかがわからない
とにかく悲しいんだ
ものすごく
君はきっと他人ごとだと笑うんだろう
なれてるからねべつにいいけどね
わかってても聞いてしまう 僕もバカだよな
この悲しみがわかるかい?
僕の気持ちがわかるかい?
世界中でただひとりだけ
君だけがわかってくれる悲しみ
そんな美しいきれい事がもしも通用するというなら
きっと君はわかってくれる 悲しみのすべて
生まれただけで
一挙に背負う悲しみ
生きてるだけで
日々、背負う悲しみ
消えない不安と
もどかしい何か
荷をおろせるのは
死んだあとだけで
生きているかぎりはどんな悲しみも消えないで存在するすべての人へ残酷なくらい冷たい雨を降らせるんだ
目隠しして視界を真っ暗にしたら
まるで死んだようさ
でも逃げられない
死ぬ勇気も暗闇へ逃げる勇気もどうやら僕には皆無らしい
それでも
僕は聞きたい
君がもし優しい人だったら
わからなくても頷くくらいはしてくれる
見え透いた嘘で救われる心は単純だよな
この悲しみが憎たらしい
君の心も平気で揺り動かすから
世界中でただひとりだけ
君だけが解き明かそうとしてくれた悲しみ
もしきれい事だとしても構わない構わないのさ
きっと君はわかってくれる 悲しみのすべて
涙の意味や僕の痛み
うまくはわからなくてもわかろうとしてくれるだけで僕はもう救われたも同じなのさ
そんな君に出会えてよかった
ただそれだけが生きてきてよかったと思える
僕が見えた最初で最後の光
消えないように守りつづけるんだ
君と二人で
永久に消えない悲しみに晒さぬよう。
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今夜もまた誰かの帰り道を照らす
雨だって雪だってそんなの関係ないさ
僕にはね夜空に浮かぶあの月が笑ってるように見えるんだ
ほらねふいの悲しみや切なさなんか無視していれば消えてゆく
でもね避けきれない悲しみが安心する僕を傷つける
月におねがいしたいくらいだよ
こんな毎日 もういやだから出口教えてってさ
でもただ月は笑うばかりで何も教えちゃくれやしない
やっぱりね
やっぱりね
簡単なからくりだろう
悲しいから悲しいなんて
言うまでもないくらいだろう
それでも悲しいんだよ
もう十分だろう
だから 月におねがい
僕に光を
その光を
分けてはくれまいか
申し訳程度に僕を照らす街路灯の下
そっと光から抜け出して月に祈る
どうか ささやかでいい
あなたの光をわけてくださいと
無意味だとはわかってても祈ってしまう
月におねがいしてしまう
そのくらい暗い暗い夜なのさ
何度 点けても消えてしまうマッチみたいに
きりがない夜なのさ
小さくてもいい
永久に消えない光をください
僕はおねがいしてしまう
月よおねがい。
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いつも僕らは悲しくて
いつも僕らは嬉しくて
そんな僕らは幸せで
たまに僕らは不幸せで
いつでもそれを忘れては何かのきっかけでまた思い出して
この世界の中で
回る地球の中で
今日も変わらない1日を過ごしている
みんなみんな涙ぬぐえずさびしい夜をこえて今ほら朝焼けの光を浴びている
いつも僕らは悲しくて
いつも僕らは嬉しくて
そんな僕らは幸せで
たまに僕らは不幸せで
いつでもそれを忘れまいとするけどふいの涙に頭が真っ白くなるのです
言葉なくして
すべて有耶無耶になって
たどり着いた未来に今 立っている
誰もが予想していた絶望に嘆くよ
だけれどそれでいい
それでいい気がするのはね
きっと完璧を求めてはいなかったことへの気持ちだろう
不完全な未来
そっちのほうがなんか生きてるんだって感じがするから
不完全な道で
不完全な僕で
このままどこまでも
歩いて行くんだよ
行き止まりまで
先へ進めなくなるまで
いつも僕らは断ち切れてはつながる心をあの世へはこんでゆく
いつも僕らは流れ出しては無理やりせき止める悲しみに絶え間ないせつなさを抱きながら 今日も涙流れるのを無理やりバルブ閉めるようにせき止める
いつでも いつでも
どこにいても
誰もが悲しくて
誰もが嬉しくて
そんな言い様がない気持ち 胸に抱いて生きている
それでも消えない不安
それでも死ねない自分
それでも消えない希望
それでも信じてる未来
呆れるくらい死ぬ間際まで消えない
光のずっと先を見てる 僕なのさ
今はまだ旅の途中
諦めるには早すぎやしないかい?
いつも言い聞かす
自分に やさしくもきびしい言葉
ああ まだ生きたいから。
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冬の雪に埋もれながら春の桜の夢を見る
真っ白い景色の中にかすかに桃色がかった花びらの影がうっすら見える
そんな春の芽吹きに気づきもしないまま
季節の列車は今も走る 時間というレールの上を走りつづける
春よ来いと言ったはずなのに冬の寒さになんだか恋心を抱いてしまったんだよ
それでもさよなら
手を振る季節
お別れの時間
恋人に手を振るように
もう会えないみたいなさびしさが僕を蒼く染める
心と心を今 紡ぎ出して
大切な声と言葉を思い出して
言えていたはずの素敵なあの合い言葉
ああ 言ってみよう
冬はもうじき終わる
春が来るまで
この寒さが去るまで
冬の真ん中あたりかな今
立ち尽くしてる
ちょっとずつ進んでる
絵を描くように
日々何か変わる
そして何か削り
また違う絵になる
春よ来い
今 すべての願いや望みや欲望を集めて詩う
春よ来い
僕にはそれがただの言葉のようには感じないのだ いわばそれは魔法を呼び起こす呪文
どんなに寒くてもそう思うことで僕はあたたかい光の中にいるように そんな心地になれる
だから言ってみよう
心にマフラー巻こう
雪に埋もれながらも
しんからふるえながらも 春よ来い…
おいで… さあ ここへ
僕は寒い中 待ってるよ
急げとはいわない
君のペースであたりまえに景色を塗り替えてくれ
桃色のその艶やかな羽織りで身を包んで。
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紙相撲みたいなもんだよ 恋だなんて
どちらかが心をたたいてどちらかを倒すしかないんだよ
そうだそれには勇気が必要だ
そこからはじまるロマンがあるさ
走り出せ
イメージの向こうへと
駆け出した足取りは思いのほか軽やか
心ははずむ
気持ちもはずむ
そんなロマン日和
ありふれた光を浴びながらそれをとても喜んでいるんだ 僕は
君と今は二人 喜んでいるんだ 紙相撲はどうやら 二人の勝ち
どちらかが言ったのでもなく二人とも同時に言ったのさ
はじまりの呪文
ねえの一言で
世界はバラ色にまたたいた
そして僕は言う
恋なんて簡単さと。
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下りの電車 外はもういつのまにやら真っ暗
中央線の窓から見える満月 いつもながらに結構なお手前で
朧気なその月明かりが電車の車体をすり抜けて僕を照らしてる気がした
窓をそっと開けたなら夜風が髪を撫でる
少し寒いけど僕にはやさしく思えたよ
電車はやがて終点にたどり着いて
僕はひとり 誰もいないホームをとぼとぼ歩き改札をぬける
世界は広いけど僕の見てる世界はまるで鳥かご
ポケットの中の孤独と自分の体温
それだけじゃまだ足りないや
だから君なんだ
だからこその君だよ
中央線ラプソディ
君の心に届け
弱い雨だったから
傘をささずに
またとぼとぼ
アパートへ
向かって歩く
こんな切なさも
またいいね
なんてこぼす僕が今は精一杯
これ以上でもこれ以下でもない僕が目一杯
ほらね 小さな生活の中で動けない僕も君がいるからどうでもよくなる
そんな気持ち
寄せ集めて
今 唄う
悲しみと
やさしさの
中間に位置する
悲しみでも
やさしさでもない
唄という詩を
ずっと遠い未来とすぐ近くの未来すべてに唄い詩う。
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こんなに僕はばかでのろまなのに
君はそこに惹かれたのよという
真夜中の激情 僕は突然泣き出してしまって
ずっと君と一緒にいたいと言った
君はそんな僕を見てあたりまえよずっと一緒よと言ったんだ
特別なものなんて僕らにはなにもなく
終電の電車の人の少なさみたいにさ
空っぽの僕らには夢も行く宛も曖昧なんだ
真夜中にふと君の声ほどに聴きたくなるのはただ悲しいバラード
少しずつ少しずつ
夜明けへ傾いてゆくその中で僕は見たよ
空の目覚めを
ほら 空が目を開けたらきっと闇は晴れて
朝がそこに見えるから 時々長いまばたきをして曇るけど今日はとても天気がいい
そんな朝にも聴きたくなるのはなぜかバラード 少しだけ希望散りばめられたような救いのあるバラード
朝焼けに誰かさんの歌声が絶妙になじむ
ほら 夜はもう溶けきって そこには朝があるだけ そこにはいつもの朝があるだけだ。
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降り注ぐ時間の一粒一粒が降り止むまで
僕は
降り注ぐ時間の一粒一粒を浴びつづける
僕は
傘を開かずに雨宿りもせずにただ浴びる
時間という雨から逃れたら死んでしまう
人は時間という雨に降られていないと生きられないから
今日も僕は時間という雨に全身濡れている
つま先から脳天まで
ついには 心まで
時間に濡らされている
悲しいような
嬉しいような
ふしぎな感覚を抱きながら今日も降り注ぐ時雨に濡れている
カチカチという雨音を左右の耳で聞きながら
その音が完全に聞こえなくなるまできっと僕は生きる
時雨に濡れて
時雨に濡れて。