詩人:どるとる | [投票][編集] |
降り注ぐ陽射しが畦道を 苛めてる
畦道に勇ましく立つ陽炎 追えば逃げる
水たまりに 映る 逆さまの世界
空と地面を ひっくり返した世界
窓の外は炎天下 30度を軽く越える猛暑
僕の住む町が最高気温を叩き出した
そしてまた何度でもループするように
明日も開けたり閉めたりの繰り返し
蝉しぐれがうるさないな うるさないな
温くなったサイダー
畳と蚊取り線香
仏壇と天井
シミを数えて 時間をつぶす
蚊の鳴く音に 世界はしばらく眠ったまま
僕は 見て見ぬふりをしたまま
めくられていく日めくりカレンダー
窓の外は炎天下 30度を軽く越える猛暑
僕の住む町が最高気温を叩き出した
そしてまた何度でもループするように
明日も開けたり閉めたりの繰り返し
蝉しぐれがうるさないな うるさないな
静かにしてくれよ。
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闇の中に 水を打ったように静かな光が
音もなく水面に吸い込まれてゆく
星を探すように 君の声を探してた
あの夜のこと今 思い出す
願い事は いつまでもずっと決まらずに
気づいたときには星は見えなくなった
残された 僕は心を深く沈める。
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静けさの中で 耳をすました
あの夜、世界が まぶしく見えた
光放つ星を探すように 闇の中で君の声を探してた
願いは 届くかな
手を伸ばして
僕らは 生まれたときから
運命られたこの星の子供
忘れないで。
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君を傷つけるつもりなんて 多分
なかったはずなのに
いつの間にか 何かをごまかすために
嘘は繰り返される
僕は何をごまかしたかったんだろう
あとで気づけば 随分下らない理由だったよ
君を泣かせるくらいなら 嘘なんてつきたくないはずの
僕の心は 時折、悪者になって
君がくれる 笑顔を裏切ってしまうんだよ
疲れて眠る君の横顔 夕日に照らされ
いつもよりきれいに見えた日に
もうこの人を傷つけまいと心ひそかに約束した。
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鳥が低空飛行してるから もうすぐ
雨が降ってくるな
傘を 用意したのに
涙に濡れてしまったら 何の意味もないの
ふいに あふれたありふれた気持ちのせいで 胸の真ん中果実のように実ってしまう
誰かのせいで また優しくなってしまう
さよならの日に なぜか隠してた言葉も
雨に 混ざって消えた
涙が 情けない僕のかわりに思いを打ち明ける
愛してるなんて 言葉は今時ないわ
そんなものは 骨董品です
静かな夜の 闇がさざ波のように広がって もう何も見えない
夢から覚めたように 気づいた瞬間の僕のざわめきをさらう
さよならの日に なぜか隠してた言葉も
雨に 混ざって消えた
涙が 情けない僕のかわりに思いを打ち明ける。
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さよならの日はそう遠くはなかったわ
君は僕より先に東京へと旅立つと決めたの
知らない街への切符を握りしめ
夢への第一歩を踏み出した君の笑顔は眩しいくらい輝いていた夜明けの町に
昇る太陽 背にして
これから始まる 新しい暮らし
まだ見ぬ出会いが君を待っている
悲しいことも辛いことも
もしかしたらあるかもしれないなあ
でも今は不安より期待が膨らむよ
旅立つ君に 別れの言葉は似合わない
それじゃまたねなんて言ってみたよ
本当は泣きたくて仕方なかった筈なのに
遠ざかる 君を乗せた電車に手を振るのが
精一杯だった 強がりの僕がいたよ
東京の暮らしはどうだい?慣れたもんだわ
電話だと強がるに強がれないくせしてさ
お酒に酔ったふりして 寂しいときにかぎって電話を寄越すのも
いつものことで そのたびに慰めた
でも慰められたのはどうやら僕かも知れない
桜ももう終わりだね 花びらも片付いて
夏を待つ町 君はどんな気持ちでいるだろう
ページをめくってゆくように 過ぎ去る季節 時間だけが先を急いでる
たまには帰って来てよと珍しく弱音を吐く僕に 言ったのは
少しだけ生意気で でも優しい言葉
今でも この胸に大事に残しているよ
君が帰って来る日 待ち合わせした時間より 少し早く着いた僕はせっかちだね
午後から降りだした雨は まるで
僕の気持ちを察したようだ
でも、僕はそんな泣き虫じゃないよって
思ったのに君の笑顔を見た瞬間
溢れだした涙を僕は止められなかった
二人の間に言葉はなかった
ただ 再会を喜んだ
抱きあった懐かしいぬくもりに
思い出のある場所を見つけたよ。
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歩道橋の上 お母さんと娘さんかな
今にも沈みそうな夕日眺めながら
幸せそうに笑いながら何か話をしてる
多分娘さんは今晩の献立を聞いて
お母さんがこたえているんだろう
嫌いな野菜も食べるのよなんて 言ってるのかな
夕暮れの町は 誰かの帰りを待っているかな
商店街の一個80円のコロッケ
ひとつ買って 食べながら帰ろう
夕暮れの町は みんなの帰りを待っているんだ
普段は言えない素直な気持ち ただいまに込めて言ってみよう
カラスも 帰るから僕も帰ろう
さよなら 手を振り別れる帰り道
だんだん遠くなる背中が消えてゆく
見えなくなるまで手を振っていた
夜の空に 星がひとつ 輝いて
水銀灯の明かりの下で少し泣いた
夕暮れの町は すっかり夜に包まれて
開けた窓から 吹き込む夜風が
優しく髪を撫でてくれる
夕暮れの町で 見た赤い夕日がまだまぶたの奥
焼き付いている ゴハンよと僕を呼ぶあたたかな声がする。
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押し寄せる波を 押し戻して
あふれる涙を 見ないふりした
空は晴れて 青い色が海と空の境を曖昧にするんだ
目を閉じて広がる 静けさだけは
誰も邪魔することはできない
僕がもしも 画家なら今の気持ちを絵にするだろう
僕がもしも 詩人なら今の気持ちを言葉にするだろう
だけど僕には きっと 絵にも言葉にもすることはできない
この気持ちには形なんてないから。
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扇状の軌道を描いて上手投げ
ボールは君の ミットの中に着地した
下手くそな僕のフォームは
いつか 君の 見てる世界を
塗り替えることができるかなあ
一人ぼっちの キャッチボール
返らない返事はいつまでも
壁に向かって 声を投げても
何度でも僕の手に 戻るだけ
虹が竜の谷を渡り 七色に染まって
見事ストライク 絶妙なタイミング
いつか描いた 夢のあとしまつ
明日の明日くらいにまた出会おう
下手くそな口笛を道連れにして
夜の真ん中で 夜明けを待つふりして
誰を思い胸を焦がしているんだろう
気まぐれな天気に迷わされる
何度でも 咲いては散る花を 見送る
目を閉じた その瞬間のわずかな光
消さないように 逃さぬように
つかまえてごらん イメージでもいいから
一人ぼっちの キャッチボール
返らない返事はいつまでも
壁に向かって 声を投げても
何度でも僕の手に 戻るだけ。
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ゆらゆらと さまよう 影ひとつ
視界の隅に置き去りのララバイ
ピアノが奏でる不協和音
悲しみとあと一文字のエトセトラ
夢心地で目が覚める
覗きこむ レンズ
その向こうのまぼろ乱気流のワルツ
それは見紛うことのない真相心理
立ち眩みを起こしそうな カラフルな
世界に取り残されて僕は上手に死ねない
命をもて余している
地球が闇に 浮かぶだけの途方もないでっち上げ
蜃気楼であればいい。