詩人:どるとる | [投票][編集] |
きっと あの恋は僕の人生で一番ってくらい 素敵な恋だった
だけど同じくらい悲しい恋だったよ
お互い 忙しくて会えない
離れてる時間が 二人を遠ざけた
ただ好きなだけでは
どうにもならないことがある
出会った頃は きっとどんな恋も楽しい
手をつなぐことに慣れてしまって
なんだかそれが次第につまらなくなって
互いの体の味をしめてしまった僕らは
いつの間にか君じゃない違う人に愛を求めていた
でも、君を愛した証にさよならの日
君に手渡した 銀の指輪。
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宛のない道のりだ コンパスも役には立ちそうもない
ビルばかりの 街をナビ通りに潜り抜けてく
風に乗って 逃げようぜ世界の果てまで
自販機の売り切れの ジュース
いくら押しても出てこないんだ
青い空に雲が流れ 窓越しに見る 行き交う ワイパー
音沙汰もない 友人の死を数年経って 知ったときの落胆
それによく似た気持ちだ どうか願わくば
明日、世界に爆弾が落ちてきますように
このあくびが止まらないほど平和を むごく脅かしてよ
小説の 前書きにあるような 苦節何十年のあれやこれや
並べ立てた なんとか賞のベストセラー
飽きるくらい 変わらない街と同じだ
雨に濡れてよれよれの雑誌のグラビア
何人の男を 彼女は興奮させたのか
数年付き合った彼女の薬指に光る ダイアの指輪
来月結婚するのって彼女は 笑ってあの日を回想する
下のほうが下手くそな 話ばかりする
時が経てば人も汚れて変わってしまう
良くも悪くも 清楚だった筈の彼女はどこに行ったんだろう
独身最後の 過ちを
僕は彼女に 吹っ掛けた
彼女はイチもニもなく 了承した
僕は悲しくなったよ
青い空に雲が流れ 窓越しに見る 行き交う ワイパー
音沙汰もない 友人の死を数年経って 知ったときの落胆
それによく似た気持ちだ どうか願わくば
明日、世界に爆弾が落ちてきますように
このあくびが止まらないほど平和を むごく脅かしてよ
戦争もない刺激のない毎日で平和ボケしてる僕らの目を覚まさせてよ
真っ黒い夢から。
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旅ゆくあなたがどうか幸せであるように
祈る僕の言葉はさざ波
遠くから押し寄せる小さな 贈り物
何も あげられるものはないけれど
餞の代わりに ぬくもりをひとつ
心に植えた種は
やがて芽を出して
色とりどりの花が咲く
その日を今は 待ちながら暮らすよ
他愛もない日々を。
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鏡に映る 僕の姿が
魔物に見えた日に
世界は 変わったよ
時計は 音もなく
ただ回り続ける
神様の手のひらで
春が笑った 朝
言葉は ただの空気になる
壊れた 玩具を捨てられない心が覚えたのは
死の匂いがするさよならだ
花が咲く街に 涙の雨が降る。
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校舎に落ちる影と 避雷針に突き刺さる太陽
校庭のデイドリーム 図書室のシェイクスピア
いにしえのプライドと
死神の好きな音楽
ゆらゆら夢の中をさまよい歩く
日曜日の 死にたくなる程の退屈よ
たとえば路地裏に渦巻く闇と
残されたいくつかの痛み
ただなんとなく
逆らっていたいのさ
ただ それとなく
浮いていたいのさ
あともう少し足りない言葉を
つなぎあわせて 切り刻んで
ただ いつになく
遊んでいたいのさ
ただ どことなく
冷めていたいのさ
この世界の都合に振り回されるなら
僕は誰かの足元に座る影になる。
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落ちてくる太陽を両腕で 受け止めて
大きな心で 抱き抱えてしまおう
やたらカラフルで目が眩むような 色した翼を持っている
どこまでも行ける 打たれ弱い心さえどうにかすれば
窓の外にある 真っ白な空に描いた
世界はただ どこまでも難解だ
数字の海に溺れながら岸に這い上がる
夜はとっくに過ぎて
明け方の 光と交差するように潜む影
二つの思いを重ね合わせて作るのは
今日を生き抜くための小さな勇気
気ままなベクトルと溺愛してるパスカル
僕にはどうやらこの服は似合わない。
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カールしたまつ毛の軌道に乗って
宙返りする 思惑はフライトショーの真っ最中
終わりのない円周率を 唱えながら
時計だけが 無賃金で働かされる
魅惑的な町通りを抜けて
飛行機は行く 七色に眩んだ世界を
空を逆さまにひっくり返すような
飛びかたで 威嚇する獣のように
ボールペンの試し書きのように
くるくると 空に描く線と円
そのまままっ逆さまのリズムで
落ちてく 夢の中へ急降下。
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せーので 歩き出した世界につま先から
着地してそのはずみで鳴ったささやくようなメロディ
愛とか 恋とかわからないまま
いつの間にか大人になった気がするよ
飼い猫はあくびばかりする 机の上の蚊取り線香
悩ましく渦巻いてる
最初から答えのない答え合わせだ
解答欄を埋めるのはどうせ
ありあわせの出来合いみたいな言い訳
少し遠くの目には見えない
線を 一息で飛び越えた今日に
僕は 大人になるより 大切なものを
手にした気がするよ
おかしいかなあ
笑われるかなあ
でもそれは次第に僕の 宝物のひとつになっていたりする
なんだっていいんだ多分 泣いてる君を笑わせることができるなら
それだけで魔法みたいだ
それ以上でもそれ以下でもない思いを
見せたり隠したり 出し惜しみしてる
立て付けのわるいベランダ側の窓
出し抜けの 一言 吹き抜けの廊下
無意味なことにも意味があるのなら
こうしてただ日付を並べ替えるだけの
日々にも いつしか明かりは灯るかな
足元に引いた線をスタートのラインにして
それを飛び越えられたらいいな
まだ見えないものばかりの僕の手のひらに灯る温もりは
いつか君がくれた
愛に似た 燈(ともしび)
寸足らずな僕をしっかりと倒れないように支えてくれる
もういいかい?
まだだよ
そんな声が近づいたり
遠のいたりする
夕暮れの道に咲いたほんの少しの微笑みは
気づかずにもらった小さなプレゼント
少し遠くの目には見えない
線を 一息で飛び越えた今日に
僕は 大人になるより 大切なものを
手にした気がするよ
おかしいかなあ
笑われるかなあ
でもそれは次第に僕の 宝物のひとつになっていたりする
ささやかながら生きる理由に なっていたりする。
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太陽が輝く世界に 生まれた僕らは
何時だって探してる生きるその意味を
泣き疲れて 途方に暮れたまま眠って
いくら笑っても足りなかったよ
引かれた線をはみ出せない自分が
いつも 線の内側を泣きながら歩いてる
抱えた痛みと同じ数だけあるはずの
希望にも似た 喜びは束の間の麻酔
悲しみにやられないようにするための
痛み止めのようなその場しのぎの目眩まし
悲しみが 見えなくなったらきっと
僕らは笑う喜びも見えなくなるね
喜びはただ笑うためにあるんだよ
一時悲しみを忘れるための嗜好品
太陽という浮きが昇っては沈む
形もいまいちわからないけれど
丸みを帯びたイメージの輪郭を
指でかたどるようになぞって
そこにあるただの発光体を
希望の象徴のようにあげつらって
今を生きる 理由にしているんだ
それはまるで世界に太陽を描く言葉
魔法は使えなくたって不便はないよ
たとえば宇宙を計算式で表せても
僕はそんな答えなんて知りたくもない
大切なのは見えているものよりも
目には見えない光があたらない部分だ
世界のすべてが解き明かされたって
僕は信じるよそれはただの答えのひとつでしかないって
無数にある中の たったひとつの世界を
見つめている世界では夢なんか見れない
いつでも世界を 輝かせているのは
けっして目には見えないロマンチック
見に行こうか 数百万の太陽が
昇って沈んだそのあとの世界を
計算なんかする必要はないんだよ
言葉にすればきっと簡単だろう
でも敢えて言葉にしない世界を
裸の眼差しで見ていたいんだよ
ぼんやりした曖昧さに味わいがある
いくつの夜と朝を 繰り返しただろう
時計は創世から何周しただろう
そんなことを考えながら
アンモナイトの渦巻きを
ただ 何の企みもなく 見つめている
子供の瞳を 僕は見てる
そこにある僕らがいつか忘れてしまった光。
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辻褄合わせに 忙しくしているよ
答えを出そうと 計算また計算
夜明けには まだ 間に合うかなあ
時計を見るのはやめにして
線をはみ出したところで僕の世界は 少しだけ 変わった
ダメになるのも 悪くはないって
仕事をやめたし 彼女とも別れた
代わりに煙草の吸う量も増えた
体重も比例して 増えた
禁煙しろという風潮が許せない
どこもかしこも右を向いても左を向いても
禁煙マーク 灰皿さえもない
駅は全駅禁煙
煙たがれる 煙草だけに
喫煙者には きついね
喫煙者には 肩身が狭いね。