ホーム > 詩人の部屋 > どるとるの部屋 > たまたまの人

どるとるの部屋


[1092] たまたまの人
詩人:どるとる [投票][編集]


たまたまでぼくはここに生まれ
たまたまでぼくは今生きていられる
たまたまで明日もきっと生き延びてる
こんなささいな出来事がいくつもの偶然を運命のように見せる

ふいに気づけば
ため息を曇らすぼくがいて
回る地球の片隅で今日もなんとか生きれた

本当は外になんか出ないでずっと押し入れのような小さな部屋にこもっていたい
だけれどそれじゃ
だめなこともわかってるから
ぼくは逆らおうと思えば逆らえる常識や 正しさにヘコヘコ頭をさげる
まっすぐな線を引くように いつのまにか気づけば とても慎重になっているお利口なぼくに気づくんだ

たまたま 丑三つ時
たまたま 4時44分
大げさにいえばそんな確率で ぼくはここにいていつか 同じ確率のもとに死んでゆく

生まれたことが運命なら消えてゆくこともまた運命だろう
消えてゆくのも生まれなければ起こり得ぬ奇跡だから

ぼくはそんな奇跡に感謝をしなければいけない
だってほんの百年足らずだとしても
この時間は奇跡の時間だから
ぼくは精一杯笑い精一杯泣くんだよ

たまたまでずっと生きていくとしても
ぼくは明日、明後日、明明後日とたまたまの確率で さり気なく奇跡を何度も起こす人間なんだ

今、当たり前にここにいるぼくはここにいるだけでもすごいことなんだ
最近 気づいてきたよ
たまたまの名のもとに今日もぼくは運命と偶然のあいだで揺れる一輪の花のように生きるんだ

瞳を開けて見つめるべき答を今 一挙に集めたら
咲いた意味も
そのわけも
なんとなくわかってくる
そんな気がするのさ

たまたま 誕生したまたま 消え去ってゆく
はじまりもおしまいも
すべては偶然が引き起こす奇跡

ほら 日常のごく些細な出来事さえ集まれば光り輝く 宝石にも相違ない

たまたまの人の群れ
答を割り出すために
弾くキーボード
割り出せない答は今日も藪の中。

2010/02/19 (Fri)

前頁] [どるとるの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -