詩人:どるとる | [投票][編集] |
ぼくはたしかにここにいて
たしかにここにはいない
降りしきる雨に降られ心の中までびしょぬれだよ
ひとりきり黄昏
答を探すように立ち尽くしているんだ
空がまるで大きな一枚の鏡のように行き交う人の心の中をうつしたように
ほら 邪な部分が透けて見えるよう
人を疑うのは自分を信じられないからなのかな
うつせみのようなこのぼくをゆるせる言葉は何もない 深くえぐるような痛みを抱えたまま
ぼくは 存在している
悲しいほど 消えそうなのに
手を伸ばせばたやすく届くような距離に幸せはあるのにね
なぜだか いくら手を伸ばしてもつかめるものなど何もない
ただ行って帰るように引っ込めた手がぼくに触れるだけ
日に照らされつかの間に生まれる影のように 揺れては消えて
またあらわれる
ぼくもそんな存在だ
いつかは跡形もなくなくなって存在していたことさえも忘れられてしまう
ぼくが今
どんなに一生懸命に走っていてもそのすえに手にする夢も
何もかも
風に飛ばされ消えてしまえば
なんのために ぼくは生きて
なんのために足跡残すのか
わからなくなってきたけれど
ただ美しい夕暮れを眺めてる
こんな時間が答を教えてくれる
心に広がる景色はまるで心を洗うような
素敵なまだら模様
クモの巣にとらわれたようなぼくの心
行き場もなくして
まるで
意味もなく存在しているだけのような人
まるでうつせみだね
何もなくなってぼくはもう空っぽなんだよ
だからまだ覚めない夢の中で僕は生きている 何も変わらないまま
姿も形もわからない影にすがりついている
そんな現実がここにある
不確かな影を抱いたまま
僕はただ生きるうつせみさ
歩道橋の上から見下ろす 眺めが変わらないようにぼくの日々も同じ
意味もなく存在しているだけのような人
まるでうつせみだね
ここにいたって生きることしかできない。