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どるとるの部屋


[1111] 切なさに焦がれるような夜はひとり目を閉じるのだ
詩人:どるとる [投票][編集]


切なさに焦がれるような夜は目を閉じるのだ
疲れて帰ってきた夕暮れのようにほら無理はしないで
気持ちに正直に生きてごらんなさい
答を出すことにばかり 急いでしまわずにゆっくりゆっくり考えてゆこう
目先の悲しみ
後先の悲しみ
考えただけでもう
消えちゃいたくなる

さよならというように五時を報せるチャイムが鳴り響いて
ぼくの胸を甘くやさしく撫でた気がした

夕暮れはやがて夕闇にのまれ その夕闇も夜にのまれて
ぼくの活動も停止して みょうに静かにさせる

ほら 明日のこと
誰かが 考えなさいと促さずとも 考えるぼくがいる

切なさに焦がれるような夜は目を閉じるのだ
何度も何度でも
言い聞かせてみてごらんなさい
足早に過ぎてゆく
時間を気にしないで
少しずつ 少しずつ
生きてゆけばいい

流れる涙 ぬぐう指先
ゆれる街の明かり
きちんとそろえた下駄箱の中のスニーカー
すべてがまるでぼくの心をうつす鏡

荒く乱れた靴を直して
そらした目をまえに向かせて
バラバラになったぼくのかけらを集めてみよう

そしたら何かが変わる気がする
違った明日が見えてくる気がする

でもね、今はただ切なさに目を閉じるのだ
消えちゃいたくなる気持ちが止められないくらい 悲しい願いになるまえに
疲れ果てたからだを
傷つきすぎた心を
あたたかい布団の上に横たわらせよう

まだ生きる意味は死んでないから
さあ 今は 深い
眠りの中で休もう。

2010/02/24 (Wed)

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