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どるとるの部屋


[1210] 風に吹かれて
詩人:どるとる [投票][編集]

人であふれかえるパレードは日が暮れれば落ち着きをとりもどし
街も静かになる
なんだか お口にチャックしてないと
怒られそうなほど
いやに静かな夕暮れ時だから
ぼくもなんだか
言葉なくしていた

黙ったままで
空を見つめて
首を痛めない程度に少しアングル変えたら
きれいな風景を瞳のカメラでまばたきのシャッターを切る

忘れないでいられるかな
いつまで覚えていられるかな
まるで 生い先短い老夫婦のように
なんだかしんみりしちゃってきみと話すぼくなのさ

ただあたりまえのようにぼくらに吹きつける風にぼくらもあたりまえだというように吹かれて

風に吹かれてる

まるで 終わりの景色みたいだ
涙に沈んだ街がほらだいだいににじむ
鳥は巣へと帰る
群れをなして

ぼくも帰ろうかな
帰るべき場所はあそこかな
それともきみの胸の中かな
あたたかい屋根の下で笑い合えるような景色の一部になりたくって

幸せ探してる 人は誰も旅人です
きみも幸せ探してる旅人なんでしょう?
聞くまでもないよねとぼくは笑った
せつない気持ち
風船が割れるように
ぼくは 急にね悲しくなった

さよならも言えないぼくは 行き場のないこの気持ちのあずかり手を探している

時計の針が 何周かしたら 1日なんてたやすく終わる
それなのに それなのに なんだろう
説明するよりずっと難しい 悲しさは
くだらないはずなのに 嫌いだった時間すら 愛しくなるよ

黙ったままで
空を見つめて
首を痛めない程度に少しアングル変えたら
きれいな風景を瞳のカメラでまばたきのシャッターを切る

何も言えないままで
ただぼくは風に吹かれてる 今のこの気持ち 絵にも描けない美しさ

もどれない昨日へ消えてゆく光 さよならを悲しくても言うべきかな
ぼくは今風に吹かれてる
言葉でいえばそれだけなのにね

ああ 満ち足りない。

2010/03/22 (Mon)

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