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どるとるの部屋


[1212] ひとさじの涙
詩人:どるとる [投票][得票][編集]


悲しいときや嬉しすぎるとき
感情がふるえて
やがて涙になる
その涙は瞳からこぼれているんじゃなくて
きっとぼくが思うに心からこぼれているんだ

世界にあふれている涙が今日も誰かを幸せにしているのかな
それとも誰かを不幸せにしているのかな
なんだか ぼくには関係ないことのようでさみしくなるのさ
ぼくにだって他人を思いやる気持ちはあるから もし世界のどこかで涙が流れているなら 少しでも幸せになれるような涙が流れてほしいと思う
悲しくなるような涙は消えてほしい

ひとりひとりの涙が空の果てにある名もなき場所に集まって
また幸せは生まれ変わり降り注ぐだろう
そして悲しみはまた悲しみとしての使命を果たしに世界に降り注ぐのさ

涙 流れしその時
全ての言葉は死に絶え
美しすぎる景色は にじむ
干上がった川のよに
声は 切れ切れ
ただ ぼくはあふれる涙を隠すよに
闇に落ちる 光のよに目を閉じ 静寂の中へと 消ゆる

今日もぼくの知らない世界の国で
明日もぼくの知らないどっかの場所で
思いもしない悲しみが
ぼくより深い悲しみが
名前も顔も知らない誰かを
悲しみの底に 突き落とす
たまに 喜びを与える
ぼくは知ったような顔でただかわいそうにとほざくだけで
何ができるわけでもなく
ただ遠い別世界に思いを馳せるように
拾われもせず
ただはじけるだけの涙をイメージの壁越しに眺める

その音に耳をすますこともなく
何かをしようとする気配もなく
ただ遠く眺めるのさ

地球の反対側の誰かの涙をどうにかできないなら
せめて今 すぐそばで泣くその人の涙をどうにかするべきだとぼくは思う
だから ぼくは悲しむきみのその涙を少しでもぬぐえたらいいなとも思う
世界規模までひろがる話にはしないよ
どうにかできないなら考えることすらおこがましいから
涙をそっとひとさじ指の腹に乗せてそれだけを見る。

2010/03/22 (Mon)

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