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どるとるの部屋


[1288] 雨中人
詩人:どるとる [投票][編集]


涙 流れる 粗めのガラスの向こうで揺れる影はふるえている
僕の涙の音 聞き分けられる人がいてくれたらさびしかっただけで終わる夜も少しは楽しくなるだろうに

僕は不器用な上に
ひねくれてるから
きっと周りからの評価は低い
それでも 頑張ってるつもりなんだ
胸の奥ばれまいと隠している切なさや悲しみを笑うことなど誰にもできないだろう

雨は今日も降り続く
一日中 人を濡らす
冷たくて 時に
あたたかい
涙はただ流れる
昨日に残した何かを
思い起こさせるかのようなきわどい景色の向こうにあられもない姿で泣きじゃくる僕がいる

たばこの火も 点けても点けても しけっているのか うまく点きやしない
そんな真夜中に

全ての万物が
眠りに着く頃合いに
僕らはそっと人知れず雨に濡れに行く
わざと濡れに行く
意味はほとんど無いけど きっと 後先の僕に何か大きなものを残すだろう

ひとたまりもなく
僕ら 生まれたその瞬間から既に雨中人
雨に濡れるため
生まれたようなものだと誰かが振り向きざまに吐き捨てたのを聞き逃さなかった左耳
微妙に傷ついていた

君と僕をはばむ見えない粗めのガラスを思いきってぶち壊せば
涙でお互いがうまく見えないけど手探りで抱き合った
その夜だけは嘘にはしたくないんだ

お世辞かもしれないけど
きれいごとかもしれないけど
僕は言うのだ
今夜は星がひときわ綺麗な夜だねと
悲しみに落ちていく僕を賺さず 助け起こした君のやわらかな手触りが僕の頬に触れて 少しだけ 癒されたよ

ささやかではあるけどありがとうのひとつくらい言える僕だから 僕は言う
ありがとう

きっと明日も願ったところで雨は止まない
だけれど願う僕らは雨中人
雨の中を進む人

だけれど立ち止まってばかりじゃないから
雨宿りしていつまでも待ってたって仕方ないとわかれば雨の中に飛び出してゆくんだ。

2010/04/07 (Wed)

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