詩人:どるとる | [投票][編集] |
名もないまま生まれ
あとから名づけられた僕らは誰もが僕という名前であって僕という人ではない
なんとなく
ただなんとなく
悲しくてもひたすら微笑んで過ごした1日は思ったより悲しかった
そんな1日は静かな夜に抱かれて色も形もない夢を見るのさ
朝になるまで
暗闇に立ちつくして
今 君は僕の背中に手を回し抱きしめているけど
君の手をにぎる僕の手のひらのぬくもりは君にちゃんと伝わってるかな
心配だ
僕たちは生まれたときは何もかもわからなかったんだね
あの空が空だということさえ
あの花が花だということさえ
ひとつひとつ覚えてきたんだ
花は花でもどんな名前だとか
空は空でも時間帯や天気によってその呼び名が変わるとか
名もない花の僕たちの名前に価値があるなら今すぐ名を捨て 生きるでしょう
僕は僕であって僕じゃない だけれどかぎりなく僕だ
僕を証明するものは名前ではなく 見た目ではなく 僕という人間そのものの輝きなんだよ
それを本当はわかってほしいんだ
君にも
伝えたいのは
僕の名前だとか
見た目じゃない
僕そのものの
ブランドなのさ
名もない花は
名をもって
はじめて
なんの花なのかわかる
そんなもの
名前をなくしたら
僕じゃないのかな
そんなわけがない
僕は僕の心に
その証を示す輝きがある
そして今もそれは光ってる
ほら ここに…
指差す先には
心があるのさ。