詩人:どるとる | [投票][編集] |
風に吹かれていた
黄昏時の空は オレンジ色に染まっていた
熱いコーヒーを飲んだときみたいに胸の中で言いようもないような切なさがじわりとひろがる
カラスが二、三羽
大きな羽を広げて視界を横切る
そのとき夕立が肩先を濡らす
なんとなく吹いてみた口笛が奏でるのは聞いたこともないような即興曲
悲しいかい?
切ないかい?
誰かに聞かれても
僕はきっとね何も言えません
風に吹かれて 黄昏ていつもと同じ赤茶けた空の下に佇んで
五時を報せる
アラームが
町中にひびいて
ため息ひとつ
吐き出したそのとき
なぜかあふれた
涙がほほを伝った
涙を流す理由なんて
ありすぎて 困るほどだけどいつも理由はひとつだけ
あの夕暮れのせいさ
涙のわけは
嗚呼いいところで
終わる ドラマみたいに ほらね 今日も未完成のそのまた続き。