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どるとるの部屋


[159] 太陽の生まれた日
詩人:どるとる [投票][編集]


今まで楽な道ばかり歩いてきたわけないだろう
イバラの道も歩いてきた
気がつけばほら全身といわず心の中まで傷だらけの僕がいた

思い切り手を伸ばしたこの腕でもユメは掴めなかった
その代わり掴んだものは昔と何も変わらない暮らし
ただそれだけ

毎日 毎日 同じ空を見上げて
過ぎて行く日々をただ他人事みたいに眺めて誰かが転べば笑って
そんなゆがんだ自分が少しずつあたりまえになってきた
そして気がついたよ
こんな自分
自分じゃないんだってこと

そして
あの日あの時
誰かが言ってた言葉が風のように僕の脳裏によみがえった

汚れても転んでも
人は人だけれど
心を真っ黒に染めてしまえばそれはもう人とは呼べないよ…
じゃ僕は人じゃないのかな

なんてね

今さら傷跡がまるで後悔みたいに痛みだしたミライ
僕はただいつものように暮れてゆく空をカラスと並んで見上げてるだけだった

いつもはこんなに泣かないのに
なぜか今日は涙が止まらないんだ
それはなぜだろう
理由はわかってるはずなのになぜだかうまく言えないや
傷跡がやさしくやさしく痛むから
傷跡は少しずつ少しずつ癒えていく

そして夢から覚めたように長い夢を見てたように
僕はただ狭い部屋のベッドの上でしばらく座ってた
やがてカーテンを開けて朝陽を浴びた
久しぶりに笑ってた
久しぶりの眩しい朝に

傷跡は言う
おまえは今日
変わったよと
そして僕は言う
ありがとう
おまえのおかげだと

少しだけ雲の流れが変わった
空もこれからの僕の日々も晴れていきそうだよ
傷跡からこぼれるのは赤い水
だけれど心の傷跡からこぼれるのは透明な涙
とてもあたたかい涙
ほら心に心に陽が差してきた

さながら
太陽が生まれた日のようにはじめての気持ちがムネをさらう。

2009/09/22 (Tue)

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