詩人:どるとる | [投票][編集] |
もう僕らは会えない
会っちゃいけない
僕と君のあいだに降る雨はたぶんもうやまない
優しい言葉ひとつでやり直せるならとか
今さら傷つけたこと傷つけられたことをなかったことにして明日から笑いましょうとか
もう無理な気がする
だって僕らはほんとうに愛し合ってたから
他人には少しの心の行き違いでも僕らには何万光年もの距離にも感じてしまうから
深すぎた愛だったね
愛し合い過ぎていた
互いに互いを許しすぎていた
背中向けて 別々の道 歩き出す僕らはもうきっとどこかでばったり出会うこともないから
最後の言葉を言うなら君に出逢えてほんとうによかった
そう言いたい
愛していたから
今も変わらないから
君を傷つけた記憶は消せないのだから
僕らはきっと
あの日出会ったように
今日別れるのも
また運命だったのだろう
けっして間違った出会いじゃなかったし
けっして間違った恋じゃなかったけれど
さよならを言い交わした時 悲しくて悲しくて涙あふれそうになった
振り返らずに
振り向かずに
君に出逢えたこと
あの日から今まで
そのすべてを思い出しながら 僕はつよく微笑んだよ
街の明かり 切なげに僕の背中をそっと撫でた
風は優しく吹いてた
7月の終わり
僕らの物語の
表紙はそっと
静かに閉じられた
もう読み返すこともできない
僕がしたはじめての恋の結末
さらりと髪に降りかかる雨はまるで二人のかわりになったように泣いていた
それは、僕の我慢していた涙のようでもあったよ。