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どるとるの部屋


[1618] この夢が覚めるまで
詩人:どるとる [投票][編集]


今僕の目の前で沈んでゆくのはいつかの赤茶けた夕日かな
心を鬼にしてもう泣かないと決めたはずなのにまた泣き虫は僕に涙をよこせといいやがる

ドラマみたいな
現実感ってものがまるでない
作り物としての
産物をひたすら眺めるような

夢のように
幻のように
それはいつか
はじまったよ
夜明けの訪れのように
目を覚ましたときには幼い時の記憶は遠い思い出ほどぼやけて 気づいたらもうひとりで歩けてたよ

そんな理不尽なようで実に合理的な命ってもの授かったとき
僕は何を思ったのか
今では何でも文句もいえるけど きっとあの時は僕は真っ白な気持ちだったよ
純粋すぎて
心が美しすぎて

目覚めない夢の中で
終わりは唐突に訪れる
絶望は希望と同じ穴蔵の中に棲む
そして人の笑顔や涙もひとつの世界の中に集められてる

ああ誰かにはどうでもいいかもしれないけど
この長い長い夢から覚めれば 誰もがきっとそこにはもう存在しない存在だね
繰り返す営みが僕や君を見捨てたらもういられなくなるね

この夢は時に残酷なほど冷徹で
時に喜びに満ちあふれていて
とても理解の及ばない夢だから

この夢が覚めるまで
僕は僕で生きてこう
時にうなされることがあっても数少ない幸せにすがっていつもいつもあいかわらずの僕でいよう
たまに見え隠れする至福の香りに酔いしれながら

夢の終わりを待つこともなくただ繰り返す日々 それはさながら絶えず地面を打ち続けるごうごうとした滝のような夢のごとし

さあ 僕もそんなふうに意気揚々と生きよう。

2010/07/15 (Thu)

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