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どるとるの部屋


[1732] 幸福という名の絶望
詩人:どるとる [投票][編集]


確かなものなんて
数えるほどしかなく
不確かなものばかり
沢山あふれてる

今日も空は晴れてはいたけど
ぼくの心は人知れず
雨が降り続いていた

ああ
平凡という幸せに
すべてごまかされてしまうよ
これ以上ないようなおだやかな波にはこばれる
貝殻のようにゆらゆら揺られて
何も言えずにいる
ぼくは誰から見てもきっと幸せなのに
それでもまだ
どこかが満足できないよ
こんな気持ちは贅沢なのかな

でもそれは確かなことなんだ

幸せすぎて戦う必要がなくなっていつしか戦い方忘れた戦士のように
刃は意味のない
ただの刃物になってしまった

プライドなどという言葉は最早暗い海の底

幸福というのも
行き過ぎれば
絶望にも思えるね
沈んでく心
青 一色に染まる
日が傾けば
太陽は夜の腹の中

夜の胃液で溶けた意識の中で見た夢はただおぼろげにぼくを間違えなく朝へ連れて行く

そして目覚めるころにはまた幸福があたりまえな顔をして微笑むでしょう

そして争いのない
平和な生活は続く
優しさだけ
カバンに詰めて
出かけてゆくよ今日も。

2010/08/17 (Tue)

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