詩人:どるとる | [投票][編集] |
ルールばかりのこの世界で自由なんてあるのかな
お利口さんになって
ルールを守って
赤信号の時は青になるまで待っていて右と左も確かめて
秩序と節操を持った
僕は非の打ち所のない完璧ないい人です
あからさまに正義をぶら下げた
ヒーローなんて今時流行らない
少し悪びれた
どこかダークな人の背中に憧れるこの頃
僕も遅咲きだけど大人になったな
昔好きだったヒーローはひたすらルールを守ってた
でもそんな僕も汚れてしまったよ
金汚いし ギャンブルにのまれた愚かな大人でヒーローからはほど遠い悪役にも満たないチンケなやつさ
僕が思うヒーローは
いつでもみんなのためにいて
困っていればすぐさまどこかから飛んできて助けてくれる
誰からも愛される
そんな存在だったのに
僕はヒーローになれなかった
僕はヒーローになりたかった
べつに特撮映画のようなヒーローじゃなくたって
誰かから信頼されるような大きな背中のヒーローになりたかっただけなのに
僕が思うヒーローは
僕自身が殺してしまったようなもんだね
鏡にうつる僕の姿は
まるでドラマによくあるような
通りすがりのエキストラ
なんの配役も与えてもらえない
たまたまそこを通っただけのどこにでもいる人
花屋の角を曲がり
奥へと入った
アパート住まいの
チンケなヒーロー
憧れはくずかごの中
ゴミに埋もれた夢
僕が思うヒーローは
もうここにはいない
僕自身が消し去ったから
誰の助けにもならない
邪魔者にしかなれない
やさぐれたヒーロー
その末路。