詩人:どるとる | [投票][編集] |
夢うつつの意識の中で通り過ぎる冴えた思考のカケラ やがて 誰かが今日もどこかでその短い生涯に幕を閉じる
そしてどこかじゃ誰かが新しい命を産む
僕がこの世に生をうけた日の夜はきっとふつうの日なのに
僕の母さんや父さんの心にはどう映ったのだろう
たとえば今日誰かが悲しくても
たとえば誰かにはとても嬉しい日だったから
誰かには雨降りで
誰かには晴天
そんな矛盾がある
でも仕方ない
それが運命さ
今日、僕にとってなんでもない日だったとしてもきっと
世界の誰かには悲しい日なんだね
こうしてあくびをしてる今もどこかで涙が流れて
どこかで血が流れてる
ひとつの同じ世界なのにね 不思議だね
幸せと不幸せが距離を隔てて 違うものを心に映してる
この夜の片隅で
そんなことを思う
ありふれた日常
平穏な日々
そんな毎日がどれだけ幸せなのか
考えもしない僕の愚かさを物語るちょっと離れた国での惨たらしい毎日
画面を通してしか
伝わらない痛み
それは同情にしか
過ぎないさ
でもわかってる
僕は幸せなんだ
いくつもの星が流れる夜にふと目を閉じたら 冴え渡る耳がとらえた誰かの声
そら耳なんかじゃないんだ きっと
分かり合える気持ち
分かり合えない部分
光と影の隙間を縫うように 勢いまかせで走りつづけてたどり着いたのは 狭い路地裏 孤独が身にしみるけど たいした事じゃない 小さな痛みさ
ああ 見えない答えに遮られる行く手
いくつもの扉
見えてても遠い可能性
期待より多い不安
それを踏み越えた時
僕に何が見えますか? わかりますか?
歳を重ね 時を経て
やがて 何かを気づく時 はじめて僕は大人になれる
きらめく 空の向こうに見える 夜明けの光
強がっても悲しいものは悲しいね
夜の片隅にたたずんで そんなこと思った
この夜の片隅で
僕の中の何かが変わった
硬い殻が破れた。