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どるとるの部屋


[2258] カメレオン
詩人:どるとる [投票][編集]


僕はたまらず倒れるのさ
なにもない広い大地の上に
まるで風景の一部になったように景色に巧く紛れるのさ

その場その場でいろんな色に染まるカメレオン
僕は今日も
自分の持つ色を隠して
嫌いな色で心を染めるそんな日常

誰かが笑えばあたかもつられたように
謀って笑ってる自分とか
誰かの話に合わせて
気を遣いまくって
神経削いでる自分とか
正直、吐き気がするんだ

だから 心を真っ白に染めて もはや悲しいとも切ないとも思えなくなるように
涙で目の前が見えなくならないように
僕はカメレオンになって 風景の中に溶け込むのさ

人ごみの中に
紛れる
誰も同じような
顔をした群の中

僕はカメレオン
みんなカメレオン

考えることは一緒のようだ

でもひとたび気を解き放てば
心はもとの色を取り戻して
僕は泣き出すだろう

やっぱり僕っていうオリジナルの色で生きていきたいのに
それでは生きてはいけない 悲しさがある

それでも 笑ってる
僕は僕を笑ってる

時には 泣き疲れ
泣けなくなって

社会という檻の中
僕らの叫びは届かない

悲しいよ…
さびしいよ…
外に出たいよ…

心を縛る邪魔な鎧を脱ぎ捨てたいよ

カメレオンは涙を流す

景色に紛れた自分の色とは似ても似つかない僕自身の色の涙を

ぎょろぎょろと
目玉を 動かして
飛び交うありとあらゆる情報をハエのように踏んづかまえて
血走った目玉で
愛する人には向き合えない

偽りの自分と本当の自分を使い分けながら僕は誰かのまえじゃえらそうだけど
誰かのまえじゃヘコヘコしてる

世の中のうまいわたりかた
知ったところで
悲しいだけだね

楽園はフィクションの中だけ

現実はもっと残酷さ

人の血だって黒く
よどんで生傷も生々しく
仕事はもっと
辛いんだ

そんな世界の中で
僕は
いつまで
僕でいられるのか

時の砂時計は落ち続ける。

2010/12/25 (Sat)

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